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 マシンの挙動から背景グラフィックまで徹底的にリアルに作り込まれた究極のレーシングシミュレーター。フェラーリやポルシェなど世界50社以上の人気マシンが300種類以上登場する他、実在のサーキットを再現した47のコースが収録されている。Xbox LIVEでは、カスタマイズした愛車で世界中のプレイヤーと腕を競うことも可能だ。

  • ■メーカー:マイクロソフト
  • ■ジャンル:RCG
  • ■価格:2,940円(税込)
  • ■年齢区分:全年齢対象(A)

ライトユーザー代表:田渕健康

 作り手の「個性」が色濃く出ているゲームシステムやエキセントリックなストーリー展開が好み。アクションからシューティング、はては美少女ゲームまで「広く浅く楽しむ」ライトユーザー系ライター。

ガチンコなレースゲームだが間口は広め

 実車の再現度、リアルな挙動、圧倒的ボリュームのコースバリエーションと3拍子揃ったレースゲームと評判の『Forza Motorsport 2』。さっきまで『Test Drive Unlimited』でゆるーいハワイ気分を満喫してただけに、その難易度の違いに思わず愕然。ぶっちゃけた話、己の運転技術の未熟さゆえに車がまったく曲がってくれない。そこで、今度は理想的とされるライン取りをコース上に表示させつつドライブしてみると、意外なことに世界一過酷とよばれるニュルブルクリンク北コースもキレイに走れてしまった。レースシミュレーターと聞いて上級者ばかりが楽しめるもの……と身構えてしまいがちだけど、初心者でも楽しみつつ運転技術が学べる間口の広さを実感。ちなみに、本作ではフレームレートが前作の2倍にあたる秒間60フレームに向上しているため、気になる画面の流れもいたってスムーズ。グラフィックの素晴らしさと相まって、じっくりとレースを楽しみたい人にぴったりな仕上がりとなっている。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
実在する名車たちが続々と登場。どの車もメーカー監修のもとエクステリアのみならず、エンジン音、挙動などがリアルに再現されている。

こだわりのカスタマイズでマイカーをアピール

 本作にはリアルなレースが楽しめるゲームモードが多数用意されているが、注目したいのが「すべての車をカスタマイズできる」という点。タイヤやサスペンションまわりといった細かなチューニングはもちろん、ペイント機能でデカールをデザインすることで車に貼り付けられるのだ。デカールのデザインは●や■などの単純な図形の組み合わせで描かなければならず、相当な根気が求められるのがネック。しかし、時間と情熱さえあればネットで話題の「痛車(※アニメキャラクターなどのイラストをペイントした車)」ですら再現可能。カスタマイズした車はXbox LIVEを使ってほかのプレイヤーに配信できるため、コミュニケーションツールとして日本独自のオタク文化を世界にアピールしてみるのもおもしろい……かも!?

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
チューニングを試行錯誤する楽しさと、自由自在なペインティングで車をカスタマイズする喜びが味わい尽くせる。スタイリッシュに決めるか、ネタに走るかは自分次第!

SLGユーザー代表:弩左右衛門

 ヘビーではないけどゲーム歴は長い、SLGプレイヤー代表。SLGと聞くと心がうずく偏執狂。SLGとつけば、ドライブライフSLGだろうが環境シミュレーターだろうがなんでもやります、楽しめます。リアルな趣味は車いじりですが、最近ガソリン高いし、車壊れてるしでゲームに逃避中。

今じゃ乗れない車も乗り放題

 いわゆるドライビングシミュレータな訳ですが、収録車種がかなりツボにはまりました。フェラーリ、ポルシェなんかはいうに及ばず、アストンマーティン、マゼラティ、ジャグアー、ロータス、コーベット、シェルビーetc、etc……名だたるメーカーの名車がこれでもかというくらい出てきます。特に、古い車好きとしては、コーベットの「ZR-1」、「ロータスエラン」、「ジャグアーE-type」、「フェラーリDino」あたりが使えるのはとてもうれしい。しかもフルスロットルで走れます。僕の持っている1974年製の「アルファロメオスパイダー」は、ぶっ壊れて東北道に置いてきて以来、怖くて踏み込めません。そういう意味でも普段のストレス発散にいい感じです。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
「ポルシェ」と名がついてますが、フォルクスワーゲン製。空冷4気筒エンジンをミッドシップに積んでいるMR車。価格が安かったので「プアマンズポルシェ(貧乏人のポルシェ)」と呼ばれました。こんなある種微妙な車があるのも魅力。音が水冷っぽいのはご愛嬌!?

ただ走るだけで楽しい

 「ジャグアーE-Type」は、世界で最も美しいと言われたスポーツカーです。ホイールベース(車の前輪から後輪までの長さ)は長くて、取り回しは悪い(曲がりにくい)んですが、そういった細かなところまでも忠実に再現されてます。とにかく直進安定性の車なんですね。そんな車でレーシングコース走るなよ! って感じなので、フリーランで優雅に走る。他の車と速さを競って、傷つけるなんてありえません。いや、実際はレースにも出てるんで別にレースしてもいいんですが、その場合はやはり好敵手たる「フェラーリ250GT」あたりを相手にするといい感じです。ちなみに、まったく逆のコンセプトで作られたのが、「ランチアストラトス」。左右と前後の車輪の幅がほぼ正方形で、スタビリティ(操舵性)を高めることで、ラリーを制した車です。こちらも、よく再現されてとにかくくるくるよく曲がる。そういった車の個性を感じながら走るだけで、何時間でも飽きません。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
優美な走りは女王と呼ぶにふさわしい。発売当時は、フェラーリやアストンマーティンと同性能のスペックで価格は半分とかなり好評を博しました。「ランチャストラトスHF」はその名(High-Fidelity)の通り、操作性の高さがウリ。直線的なフォルムはリトラクタブルライト(格納式ライト)と相まって日本でも人気の高い車です。

最後にゲームスタジオさんへのお願い

 日産が打倒ポルシェを掲げて、その威信を賭けて開発した「スカイラインGT-R(R32)」も登場します。無論ポルシェ911RSも使えますから、どっちが速いか試してみるのも一興。ちなみにこつこつポイントを貯めてカスタマイズもできるので、ライバルに負けたら勝てるまでカスタマイズするのもアリです。ブレーキやサスをいじって、さらに軽量化してと、実際のバックヤードビルダー(※1)のようにとことんまで、自分好みに改良しましょう。言っとくと最初にエンジンいじってはいけません。排気量が上がったのに足回りが追いつかないと曲がれずに壁に一直線です……。対決関係では、個人的には、折角トヨタの「2000GT」があるなら、「スポーツ800」やホンダの「S800」があると浮谷東次郎氏と生沢徹氏の名勝負なんかが再現できてうれしかったんですが、それは次のシリーズに期待でしょうか? ちなみに生沢徹氏が乗ってた「S600」には、セガの元社長の入交氏が手を加えたバージョン(※2)もあったそうですよ。それと、アルフィスタ(※3)としては、「アルファロメオ」を入れていただきたい。他にも世界初の量産ターボ車「BMW2002TURBO」とか、マーコスを筆頭とした一連のミニのバックヤードモデル。すでに入っているメーカーでも、「マツダコスモスポーツ」や「ハコスカ」、「アルピーヌルノー」、「ロータスヨーロッパ」も欲しいところです。ここら辺が入ると一気に、スーパーカーブーム世代が食いつきますよ。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
本作にはいわゆる映画「007」に登場する車も収録されてます。こういった車を集めてボンドカップを行うとか、1970年以前の車でレースするとか自分レギュレーションを決めてみてはいかが?

※1 バックヤードビルダー
バックヤード(裏庭)というように個人または小規模の自動車工場あるいは小規模のチームを指す。イギリスではこういったガレージメーカー製の改造車で草レースが頻繁に行われていた。

※2 セガの元社長の入交氏が手を加えたバージョン
セガの元社長である入交昭一郎氏は、1965年当時、本田技研工業のエンジニアであった。ホンダのライバル会社であったプリンス自動車(後に日産と合併)の契約ドライバー・生沢徹氏と交流のあった入交氏は、彼のホンダS600をチューニングして会社をクビになりかけたことがあるらしい。

※3アルフィスタ
イタリアの自動車メーカー・アルファロメオの自動車を所有者する人の総称。転じて、アルファロメオ愛好者を指す場合もある。

ヘビーユーザー代表:西岡浩二郎

 模型などの立体物やメカ好きでしたが、RPGをきっかけに剣と魔法の世界にはまったことから、世界観とか設定重視の3DRPG好きとして今に至ります。アニメや漫画もたしなみつつ、最近はフィギュア(主に美少女系)も…。

RPG的に楽しめるレースが良い感じ

 サーキットが舞台のレースゲームということで、戦っていくための愛車を決めるところからスタートです。日本車も選べるので、自分の車など、気に入ったのが見つかるといいですね。ゲームはレースをすることで使える車種が増えていく「アーケードモード」もあり、マルチプレイを含めた気軽なプレイがしたいのならこちらなのでしょうが、メインは賞金でチューニングしながらレースを戦っていく「キャリアモード」とのことなので、こちらでプレイを進めてみました。RPG好きとしては、自分の腕とマシンスペックの上昇で勝利を重ねていけるのは楽しいです。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
今回、自分が持っているのとはグレード違いですが、MINI Cooperがあったので、これでプレイを始めました。早期に乗り換えが必要になるのだろうと思っていたら、意外とチューンナップでがんばれました。

実はビギナーにも優しい!?

 自分はあまりレースゲームが得意な方ではないのですが、このゲームでは、理想的な走行ラインに加え、コーナーでのブレーキタイミングを色で表示してくれる機能があります。緑ならハンドル操作だけで曲がることができ、黄色や赤ならアクセルをゆるめるなりブレーキを踏むなりして減速することで、色が緑へと戻っていくのです。これは、非常に助かりました。これを見ていれば、コースアウトやコーナーでスピンすることもなくなるので、かなり楽に走れます。こういう本格的なレースゲームに敷居の高さを感じていた人には、ちょうどよさそうです。

『Forza Motorsport 2』 『Forza Motorsport 2』
敵車自体は、お決まりのコースを走る、クールなマシーンドライバー。次世代機になっても無機質なのはちょっと残念です。トップに立ったら、あとはミスさえなければマシンスペックの勝負というのは、リアルといえばリアルですけどね。