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『霧の戦場のヴェルディーナ:C.A.R.D.S. RPG』インタビュー:新感覚のデッキ構築型カードSRPGや主人公の太ももへのこだわり、体験版からの改善点を紹介【電撃インディー#627】

文:電撃オンライン

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 アクワイアより5月23日に発売予定のPS5/PS4/Nintendo Switch/PC(STEAM)用ゲーム『霧の戦場のヴェルディーナ:C.A.R.D.S. RPG』。株式会社アクワイアの代表取締役社長である遠藤琢磨氏と、本作でプロデューサーを務める山田真充氏にインタビューを実施しました。

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遠藤琢磨株式会社アクワイア代表取締役社長。大学卒業後半年後に同社を立ち上げ、今に至る。『立体忍者活劇 天誅』、『侍』、『勇者のくせになまいきだ。』など、代表作多数。

山田真充『霧の戦場のヴェルディーナ:C.A.R.D.S. RPG』プロデューサー。直近では『超古代兵器ホリー』や『XALADIA: Rise of the Space Pirates X2』などの開発を担当している。


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■Nintendo Switch版
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ステージごとにほぼすべてのカードが引継ぎできるように調整【霧の戦場のヴェルディーナ】


――発売が近づいてきた(※)今の心境はいかがでしょうか?

山田
発売日が近づいてきているのが、あっという間のようで自分でも驚いています。今月の頭にちょうどマスターアップしたので、これからプロモーションに力を入れていきたいなというところです。

※インタビューは4月中旬ごろに実施

――開発を終えたということは、今はもう調整段階ですか?

山田
いったん開発の一区切りは付いていますが、まだまだバランス調整は続けています。

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――TurnBasedThursdayFestなど、各種イベントや体験版での反響はいかがでしたか?

山田
体験版を合計3回配信しましたが、叱咤激励も含めて多くのフィードバックをいただきました。それが3回の体験版の配信につながった感じです。

――3回の体験版配信というのはかなり多いですね。

山田
当初は3回も配信する予定はなかったのですが、1回目の配信のときにフィードバックを多くいただけまして。

 さらに公式ディスコードに参加してくれた方も100人以上いて、そこからの意見も取り入れてもう1回配信しようとなって……それが結果的に3回の体験版配信につながりました。

遠藤
3回目以降もフィードバックはあり、3回目の配信時にもバージョンアップしています。それが『Steam Nextフェス』のときですね。

――体験版からはどんな調整がされたのでしょうか。

山田
大きな調整はデッキの引継ぎです。当初はステージをクリアーしたときにカードを1枚だけ持ち越せるようにしていましたが、ほぼデッキすべてのカードを持ち越せるようになっています。

 あとはカードの効果やバランスの調整、ビジュアル面では会話パートをSDキャラが中心だったのが等身高めのキャラクターイラストに差し替えています。

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――具体的にはどんなカードの効果が調整されたのですか?

山田
主にはバフ系とかデバフ系のカードですね。使い勝手が悪いという意見もあったので、コストを軽くしたりドロー効果を追加したりという調整をしています。

 具体的には毒状態を解除する“解毒薬”はコスト0で使えるようになり、さらに強化すると最終的に2枚ドロー効果が付与されます。

 ユーザーからはデバフ解除に1コスト払うのはイヤだという意見も多かったので、いったんコスト0で調整したらいいバランスだったので、そのまま採用した形ですね。

――デッキ構築を重ねていくというゲームシステム上、体験版では面白さを十分に伝えるのは大変そうに思えますが、そこはいかがでしょうか?

山田
そうですね。そのため、体験版ではステージ4までガッツリ遊べるようにしています。そこで十分楽しめていただけたユーザーさんも多いのかなと思いますね。

遠藤
逆に体験版で満足してしまわないか心配でした(笑)。

山田
体験版の最後になるステージ4はストーリー的に大きな展開を迎えるシーンで終わりなので、製品版への続きが気になるようにしています。あとは体験版ではまだまだ入手できないカードもあるので、製品版でステージを進めるほどカードゲームとしての幅も広がっていくので、そこは楽しみにしていただければと思います。

アクワイアならではの尖った作品を作るためカードゲームにシミュレーションRPGを融合させた【霧の戦場のヴェルディーナ】


――カードゲームとシミュレーションRPGを融合させた独自性の強いゲームシステムは、どういったところから着想を得たのでしょうか?

山田
まず「デッキ構築ゲームを作ろう」というのが初期構想としてありました。『Slay the Spire』などすでに多くのデッキ構築ゲームがあるなかでどう差別化するかを考えるなかで、シミュレーションRPGと組み合わせれば、アクワイアならではの尖ったものが作れるだろうということで開発を進めていきました。

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――シミュレーションRPG部分など、カードゲーム部分以外に関するユーザーからの意見はいかがでしたか?

山田
「移動距離をもっと長くしてほしい」や「このユニットが弱すぎる」などの意見が多かったですね。とくに偵察兵であるセスに関しては耐久力が低いという意見が多かったので、製品版では調整を加えました。

遠藤
あとは、世界観をもっと知りたいという声も多かったですね。

山田
そうですね。オープニングからどんどんストーリーが展開されるなかで、もっとキャラクターのバックボーンを知りたいという声が多かったです。

 それに関しては、公式X(旧Twitter)でキャラクターの過去ストーリーを公開したり、ストーリートレーラーを作ったりして、作品と各キャラクターの魅力が伝わるようにしています。

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――カードゲーム要素に比べると、シミュレーションRPG要素は比較的シンプルな印象を受けました。

山田
そこは意識的にシンプルにしています。両ジャンルを掛け合わせたときにメインジャンルはあくまでデッキ構築ゲームであるとしています。シミュレーションRPG要素が強くなりすぎて、ユニットの強さでゴリ押しできるとデッキ構築の意味が薄くなってしまうので。

 シミュレーションRPGとしてはオーソドックスな作りなので、初めてシミュレーションRPGを遊ぶ人であっても問題なく楽しんでいただけると思います。

『C.A.R.D.S. RPG』というタイトルはユーザーからの意見で決定【霧の戦場のヴェルディーナ】


――開発はいつごろから始まったのでしょうか?

遠藤
開発・企画だと2022年の10月くらいからですね。

山田
企画がそれくらいからスタートして、実際にちゃんとした形で作ろうとなったのが2023年の1~2月くらいです。開発期間としては約1年といったところかと。実際には6ヶ月ぐらいルール設定などに時間を費やしたという感じです。

――初期からデッキ構築とシミュレーションRPGを組み合わせるという構想だったのですか?

山田
初期から構想自体は変わっていませんが、最初はカードバトル要素が薄かったりして、ユニットを動かすのがコスト制だったりという違いがありました。

遠藤
最初はテンポが悪い部分もあり大変でした。

山田
そうですね。デッキ構築ゲームを作るのも初めてだったので、探り探りで作っていった感じです。最初はシミュレーションRPG寄りのコストを意識した移動システムでしたが、やはりテンポが悪くストレスがたまるということで……。最終的にはオーソドックスなシミュレーションRPGの仕様に舵を切って、デッキ構築ゲームとして成り立つようにバランスを調整しました。

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――『C.A.R.D.S. RPG』という副題も、カードゲームという要素を伝わりやすくするために付けたのでしょうか?

遠藤
そこはむしろ逆で、まず『C.A.R.D.S. RPG』というタイトルが付けられました。ただ、それだけでは日本では伝わらないだろうということで、『霧の戦場のヴェルディーナ』を付けました。海外では、主題と副題が逆になっています。

――そうだったんですね。タイトルはいつもどうやって決めているのですか?

山田
今回は社長(遠藤氏)と話した上で決めました。普段もほぼ同様な流れですが、社長(遠藤氏)と担当プロデューサーが話して決めるケースが多いですね。

遠藤
『C.A.R.D.S. RPG』というタイトルに関しては、βテスト時にユーザーから寄せられた意見のなかから決めました。「このゲームにタイトル付けるならどんなものがいいですか」という意見を募ったら、面白いものがあったので。

――想定しているゲームボリュームはどのくらいになるのでしょうか?

山田
難易度“普通”でシナリオをスキップせずにプレイすると、およそ30時間程度遊べるボリュームにななっています。ただ、強いカードを序盤に入手できたり、デッキ構築が上手かったりすると順調にステージを進められる人もいるので、クリアタイムはバラバラになるのではないかと思います。

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――おすすめのデッキ構築法などはありますか?

山田
デッキ枚数を少なくしたりドローカードでデッキを循環させる、いわゆるデッキ圧縮に関してはカードゲームに慣れたユーザーさん向けの戦略であるかなと自分は思っています。一般的なユーザーさんには攻撃バフ系などを重視した攻撃特化型デッキなど、シナジーを考えてデッキを作っていただければ存分に楽しめます。

――個人的には“仕切り直し”などのドローカード+0コストカードでデッキを回すのが強そうに感じましたが……。

山田
それも定番の形になるとは思います。そういったデッキタイプを見つけてもらうのも楽しみのひとつだと思うので、ぜひ自分なりのデッキ構築っていうところを見つけていただきたいですね。

 ドローカードに関しては、意識的に気持ちよく使えるようにしています。極論カードゲームで一番面白いのって「ずっと俺のターン!」やってるときじゃないですか。体験版の1回目の配信時も、そういう「ずっと俺のターン!」ができるデッキをYoutubeに上げている人がいました。流石にあそこまで強いデッキを作られるのは想定外でしたが(笑)。

遠藤
そういう強いデッキを構築するのもカードゲームの楽しさだと思いますが、開発者としては怖い部分でもありますね。

山田
もし強いデッキを構築できた方は、ぜひX(旧Twitter)やYouTubeで自慢していただければ!

遠藤
強すぎる部分が発見された場合、それを修正することも考えると思いますが、修正することによって逆に不満が生じる可能性もあるので、どのように対策するのかは悩みますね。

山田
そこは難しい部分です。少しは調整するかもしれませんが、極端にゲームバランスに影響を与えない限りは許容しようかと考えています。あくまで対戦ゲームではないので、禁止カードなどを作る予定はないです。

――アップデートなどでカードや対戦モードの追加予定などはありますか?

山田
今のところはないですが、反響次第で検討します。対戦は今のゲームシステムでは難しいので、作るとしても特別なモードを作ることになりそうです。

ヴェルディーナの太ももはデザイナーの趣味によるもの!【霧の戦場のヴェルディーナ】


――ちなみにお二人はカードゲームのプレイ経験はいかがですか?

山田
普段から新作のカードゲームが発売されたら一通りは遊んでいます。主にデジタルTCGですね。リアルTCGに関しては、昔中学生くらいのときに『遊戯王』や『デュエルマスターズ』を遊んでいた世代です。

遠藤
自分のころは周囲でTCG自体を遊んでいる人がいなかったですね。ボードゲームが主流の世代です。

――開発チームにはカードゲームのプレイヤーも多かったのでしょうか。

山田
カードゲーム自体が初めてという人も多かったです。ただ開発するときに参考として『Slay the Spire』などに触れてみたという声は聞きます。

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――やはり『Slay the Spire』は開発時に意識を?

山田
そこは意識していますね。1回目に体験版を配信したときも『Slay the Spire』と比べる意見も多かったので、開発の参考にしています。

――具体的にどのような部分が『Slay the Spire』と比べられたのでしょうか。

山田
やっぱりカードのバランスですね。例えばさっき言ったデバフ解除系のカードやカードの入手数、デッキ構築の体験の濃さみたいなところが比較対象になっていました。『Slay the Spire』であればもっとデッキ構築の頻度が多いのにこのゲームは少ないなみたいなところがあったりとかしたので、そこは改善しています。それ以外にも、寄せられた要望に対しては一つ一つ対処していきました。

――バランス調整は、主に気持ちよくプレイできるようなアッパー調整がされたのですか?

山田
主にバランス調整ですが、操作性やビジュアル面も体験版から向上しているので、そこは期待して欲しいと思います。あとはストーリーを進めるにつれて強いカードもそろってきてより濃いデッキ構築が楽しめるかと思いますので、そちらも注目していただければ!

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――製品版ではステージごとに3枚カードを捨てる仕様になっているようですが、これにはどういった狙いが?

山田
人によっては強制感もある仕様かもしれませんが、ある意味リワードのようなシステムでもあって、それを利用してデッキを圧縮できる形にしています。

――やり込み要素はどんなものがあるのでしょうか?

山田
ワールドマップでは自由にステージを選べるようになっています。そこでカード収集やデッキ構築を自由に楽しんでいただけるので、実績(トロフィー)の解除を目指していただければと思います。

遠藤
もう少し開発期間や予算があれば、サブクエストなども実装したいところでしたね。

――標準の難易度としてはどれくらいのプレイヤーを想定しているのでしょう?

山田
『Slay the Spire』を参考にしてはいますが、あれは比較的コアユーザー向けの難易度になっていると思うので、本作ではもっとミドルユーザーでも楽しめるような調整にしています。本作は難易度調整などもあるので、ゲームがあまり得意ではない人でも楽しめるかと思います。あとは指揮官スキルで全キャラのパラメータの底上げやユニット解放などもできますので、ぜひ活用をして遊んでほしいです。

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――指揮官スキルでオススメの取得方法があれば教えてください。

山田
まずはユニットの解放を目指すのがオススメです。攻撃力と移動力を考えると騎兵のエリック、デッキ構築の幅を広げたいなら盗賊のジェイドを取得するのがいいと思います。

――山田さんの好きなユニットは誰でしょうか?

山田
やっぱり主人公のヴェルディーナですね。とくにこの太ももが……。

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――ヴェルディーナの太ももは、かなり話題になっていましたね。

山田
好きな人は結構好きだと思うので、そこに刺さるようなデザインにしていますね。

遠藤
ちなみにこれは、デザイナーさんに「太ももをちょっと太く」ってリクエストしたの?

山田
いえ、デザイナーの方が元々太もも大好きで、何も言わなくても最初から太ももは太かったです(笑)。自分のなかでも「このキャラは太ももが太いんだな」ということでイメージが出来上がって、そのまま最終的なデザインになった感じですね。

――ちなみにほかのキャラクターも初期は太かったりしましたか?

山田
いえ、ヴェルディーナだけです。そこはほかのキャラクターも太くしてしまうとヴェルディーナの太さが目立たなくなるという、デザイナーさんの配慮でしょうね。

――ちなみに遠藤さんの好きなキャラは誰でしょう?

遠藤
自分は騎兵のエリックです。平均年齢が若い傭兵団のなかでは、比較的おじさんキャラですね。まあアレックスなんかは鎧姿なので年齢不詳ですが……。

山田
まあ、アレックスの年齢はプロフィールには書いてありますしね。ちなみに32歳です。

遠藤
アレックスは、兜を脱いだりしないの?

山田
エンディングなどでその予定もあったのですが、兜を脱いだ顔がイメージに合わない人もいるだろうなと思ったのであえてやめておこうとなりました。もしアップデートでクエスト追加や続編の発売などがあれば、そこで公開するかもしれません。

 ちなみにエンディングではCGイラストが表示されるのですが、そこでアレックスが兜を脱がせられそうになっています。ほかの団員の様子も含めて象徴的なシーンになっているので、ぜひクリアして見ていただければと思います。

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――最後に、本作を楽しみにしていただいているユーザーに向けたメッセージをお願いします。

山田
発売までもう一ヵ月くらいとなっています。Nintendo SwitchやPC(STEAM)で体験版を配信中なので、ぜひ遊んでみてください。感想や意見などはDiscordやXで投稿していただければ、何らかの形でゲームに取り入れる予定です。

 それと本作は音楽にもこだわりがあるので、ぜひパッケージ版のサントラもチェックしていただければうれしいです。



遠藤
私としても、やっぱりサントラとアートブックが封入されたパッケージ版を購入していただけるとうれしいです。実はパッケージ版が手に入るのは日本だけになっていて、値段的にもお得で貴重になっています。それほどパッケージ版は数を作れていないので、早いもの勝ちにはなると思いますが、ぜひ早めに予約していただければと思います。

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 電撃インディーでは、インディーゲームの中から最高のタイトルを決める投票企画“電撃インディー大賞2024”を実施中です。対象タイトルは“2023年4月1日から2024年3月31日までに発売したタイトル(早期アクセス版を含む)”となっていますので、ぜひ皆さんの大好きなインディーゲームを教えてください!

投票期間:2024年5月19日(日)23:59まで
対象タイトル:2023年4月1日から2024年3月31日までに発売したタイトル(早期アクセス版を含む)
応募資格:特になし
投票方法:かならず注意事項を確認のうえ、“電撃インディー大賞2024”投票フォームより応募してください(投票は1人1回までとなります。複数回の投票は集計・抽選の対象外となります)。
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