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司令官の苦労と喜びを満喫できる、新感覚の経営型ACT!(3,205文字)
●あのCMでおなじみの『ピクミン』とは?
"これまでにない"とか、"まったく新しい"といった形容詞(枕詞!?)は、新しいゲームを紹介するときによく使われる表現だが、この『ピクミン』ほど、その言葉がふさわしいゲームは珍しい。制作を指揮したのは、『マリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズの生みの親である宮本茂氏。いまや任天堂だけでなく、世界を代表するゲームクリエイターの1人だ。氏が「ゲームの楽しさとは何か?」を追求して作り出しただけに、『ピクミン』はまさに"これまでにない"画期的な内容のゲームとなっている。それでいて、任天堂らしい丁寧な作りと演出、そしてプレイアビリティーがバッチリ確立されており、"アリ(ピクミン)の群を引き連れて、箱庭世界を冒険する"というアイディアが、ゲームとしてちゃんと面白く完成しているのはお見事。プレイすればするほど深みにハマる、ゲームキューブの本体ごと購入しても惜しくない1本なのだ。『ピクミン』の麻薬的な魅力を、詳しく解説していくと…!?
●ピクミンをどんどん増やしていく楽しさ
仲間が増えるのってきもちイイ!!
そもそも「ピクミン」とは、プレイヤーの分身であるキャプテン・オリマー(宇宙航海士)が、事故で不時着した惑星で出会った不思議な生物のこと。頭に葉っぱが生えているので植物っぽいが、2本足で活発に歩き回るヘンなヤツらだ。このピクミン、なぜかオリマーの指示に忠実に従い(オリマーの頭のアンテナがポイント!?)、彼に代わって獰猛な敵生物と戦ったり、重いアイテムを協力して運んだりしてくれる。ちっちゃい体にもめげず、勇敢に巨大生物や栄養源に群がるその姿は、まさにアリそのもの!! 実際、この星の植物や動物はみんなサイズが大きいので、『ピクミン』をプレイしていると、自分が小さくなってアリといっしょに裏庭を冒険しているかのような錯覚にとらわれたりする。
このピクミン、ちょっとしたことですぐ死ぬかわりに、簡単に数を増やすことができる。フィールド上に落ちているペレット(飴玉!?)や、倒した敵の死骸をオニヨン(ピクミンの巣)に運ぶだけで、新しいピクミンが"湯水のごとく"湧いて出るのだ。最初は1匹しか存在しなかったピクミンが、いつのまにか100匹近い大群に! このピクミンの群が、オリマーの指示に従って、右から左へと、じつになめらかに動き回ってくれるのだ。何気に見落としがちだが、これは相当スゴイことで、4人のキャラクターが並ぶだけで画面がチラついていたファミコン時代の『ドラゴンクエスト』の頃と比べると、まさに雲泥の差だ。
とにかく、「栄養源を集める」→「ピクミンを増やす」という単純作業が無性に面白い。しかもこのピクミンたちが、どこまでも健気にオリマーの後ろについてくる姿のかわいらしさときたら! フィールドを走り回るピクミンを見ているだけで、なんかこう、幸せな気持ちになることうけあいだ。
●ピクミンとさまざまなエリアを冒険する楽しさ
常に新たな発見と驚きが待っているぞ!!
ゲームの目的は、事故で惑星上の5つのエリアに散らばった宇宙船のパーツを集めて、再び宇宙に飛び立つこと。制限時間は、宇宙服の生命維持装置のバッテリーが切れるまでの30日間だ(1日がだいたい15分くらいで終了)。
オリマー1人にできることは限られているので、いかにピクミンをうまくコントロールするかが攻略のカギ。冒険の舞台となる5つのエリアは、自然豊かな森から、昼でも暗い火炎地帯、そして見渡す限りの大水原など、バラエティに富んでいる。ピクミンには赤・黄・青の3種類が存在し、それぞれ火に強い、身が軽い、水の中にも入れるなど、それぞれ特長があるのだ。これをうまく使い分けなければ、先に進めないエリアも存在する。
このあたりのパズル的な要素のバランスのよさは、さすが任天堂(そして宮本氏)。簡単には解けないけど、いろいろ試しているうちに攻略の糸口が見えてくるといった、絶妙な難易度が最後まで保たれている。ときには些細なミスでピクミンが全滅してしまうこともあるが、比較的容易に建て直しができるので、例のテレビCMを見て『ピクミン』に興味を持ったゲーム初心者でも、思う存分『ピクミン』の世界を楽しむことができる。
また、ゲーム的な面白さとはまた別に、この先がどんな地形になっているかを想像するドキドキ感や、見たこともないモンスターがいつ出てくるかわからない緊張感など、常に新しい驚きに満ちているのだ。
●ピクミンの群をコントロールする楽しさ
ピクミンの中途半端な賢さに夢中!
そしてさらにゲームの攻略に彩りを添えているのが、ピクミンたちの中途半端な賢さ。目標の近くに投げつけるだけで、敵を攻撃したり、栄養源を運んだりと、万能の活躍を見せてくれるピクミン。でも、どこか融通がきかないところがあり、目の前の道を無視してわざわざ遠回りしたり、寝ている敵を不用意に起こして食われるなど、知性はだいたい小学生低学年程度(!?)。プレイヤーがちゃんと監視して、ときどき手伝ってやらないと、どんなことをしでかすかわからない危険性をはらんでいる。
また、普通に歩いていても転んで遅れたり、障害物に"ひっかかって"ついてこられなくなるなど、迷子になることもしばしば。日没時にオニヨンの中に戻っているか、オリマーの率いる隊列に加わっていないピクミンは、すべて食べられて死亡してしまうので、常に注意を払わねばならない。気分はもう、子どもたちを遠足や修学旅行についていく、引率の先生といった感じだ。
●そしてピクミンとお別れする悲しさ
なんかバリバリ食われてるんですけど…
そんなこんなで、ピクミンに対して深い愛情を抱くようになったプレイヤーが最初に受ける衝撃が、ピクミンのあまりにあまりな死にっぷり。敵に食われる、敵に踏み潰される、炎で焼け死ぬ、水に溺れる、バクダン岩の爆発に巻き込まれる、etc…。とにかくあっさり死にます。手塩にかけたピクミンの隊列が、ちょっと水の中に入っただけで、悲鳴をあげてのたうち回ったあげく、残らず全滅してしまう(オリマーは平気なのでよけいに悲しい)。
しかも、だいたいにおいて原因はプレイヤーの操作ミス(命令ミス)だったりするので、罪悪感はハンパじゃない。これがショックでゲームを続けられなくなった人もいるほどで、メインのユーザー層であろうお子様たちに、大自然の摂理というか、弱肉強食の無常さを容赦なくつきつけるのだ。
ちっちゃなピクミン、かわいいピクミン。そしてはかなく死んでいく…。ゲームの終盤になるともう感覚がマヒしてしまい、1匹や2匹の死ではビクともしない。それどころか、バクダン岩を持たせた黄ピクミンに自爆攻撃をさせるなど、非情になりきっている自分を再発見したりして、それはそれで自己嫌悪になったりする。現実世界でも、兵隊を指揮している隊長や将軍は、こういう苦労を背負ってるのかなと考えると、なんだかゲームの奥に込められた、意味深なメッセージみたいなものを感じてしまうのは、自分だけだろうか?(←たぶん考えすぎ)。
●最後に
個人的には超お気に入りで、点数をつけるなら100点満点で95点(しかもオススメの赤)は確実な『ピクミン』。続編モノではなく、完全オリジナル作品というのもポイントで、こういう作品がリリースされつづける限り、任天堂への支持は揺るがないんだろうなぁ…、としみじみ実感してしまうくらいの名作だ。
このゲームは時間制限があるため、1プレイは計算上約5~6時間で終わることができるので、楽しいだけに「もっと『ピクミン』を遊びた~い」と思う人も多いはず。でも何度も繰り返しプレイするのが前提のゲームだし、本編とは別に、さまざまな仕掛けが施された5つのエリアで1日に何匹ピクミンを増やせるかを競う「チャレンジモード」も用意されているので、これで全然OKだと思います。
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