電撃ドットコム > 電撃オンライン > レビュー > 『ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-』

◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-
レビュアー
ただ坊

人と神が紡ぎだす物語、再び……
いよいよすべての謎に決着がつけられる!!

 ども。いつの日か戦乙女に出会って、エインフェリアに選定されたいなぁと思っております、ただ坊です。いよいよ発売された『ヴァルキリープロファイル2-シルメリア-』。みなさんはもうプレイされましたか? 前作『ヴァルキリープロファイル』がPSで発売されたのは、1999年の12月。この偉大なる前作は、ベスト版も合わせると、60万本を超えるヒットを記録しました(今年の3月にはPSPでリメイク版の『レナス』も発売されてます)。ファンの間では「神ゲー」とさえ呼ばれているくらいの人気作だけに、プレイしたことがある人も多いと思います。そんな前作をプレイしてトリコになった人からすれば、『シルメリア』の登場は「待ちに待った!」というのが正直なところでしょう。なにせ、6年越しの続編になるわけですからね。でも、ファンのなかには、続編の仕上がりに若干の不安を覚えている人もいるのでは? というのも、これまで映画にせよ小説にせよ、そしてゲームにせよ、続編が前作を上回るほどおもしろかったタイトルって、数えるほどしかないと思うからです。そもそもじつは、僕も実際に『シルメリア』に触れるまで、いくらかの不安があったくらいなんです。僕自身、前作の大ファンなので、その世界観や完成されたシステムが壊れることに、すごい恐怖感があったわけですよ。期待が半分、不安も半分、ってところですかね。でも! 実際に『シルメリア』に触ったとき、その不安はあっけなく吹き飛びました。前作から大幅な変更が加えられている部分も多くありますが、それでも間違いなく、『ヴァルキリー』してるんですよ、このゲーム。ここでは、そんな本作の魅力を、できる限りお伝えして、購入を迷っている人の背中をポンと押してあげたいなぁ、と思っております。

●『シルメリア』の魅力 その1
  3Dに生まれ変わったグラフィックは、神秘的なほどに美しい!

 前作では物語全編が2Dのドット絵で描かれており、その驚異的な描き込みが「神のドット」と賞賛されていました。しかし本作では、全編が3Dでの描写へと変更されています。これは、ファンの間ですごく賛否両論を呼びました。インターネットなどの書き込みで、「すごくキレイになってる!」と賞賛している人もいれば、「2Dの方がよかった」という声もありましたし、電プレに寄せられるアンケートでも「3D化は正解!」という人と、「なぜ3Dになったのか?」と残念がる人が半々くらいでした。でも、それはあくまで写真を見たうえでの判断だと思うんです。実際に動くゲーム画面を見たら、その驚異的な美しさにビックリするハズです。
  前作の持つちょっとくすんだ感じの、独特なイメージを踏襲しつつ、今そこにある空気や光、土のにおいや風の動きまで感じさせてくれるこのグラフィックの精度の高さときたら。不覚にも、「これだけの表現が出来るのなら、まだまだPS3はいらないのではあるまいか?」とさえ思ってしまったほどです。ちょっとオーバーかもしれませんけど、それくらい本作のグラフィックのクオリティは高いです。また、物語の大事な局面で、イベントデモが挿入されるようになったのも、3D化の大きな恩恵でしょう。前作ではイベントといっても、基本的にはキャラの顔がカットインする程度のものでした(それはそれで、いい味出てましたけど)。しかし、本作ではイベントデモで、各キャラが表情豊かに動き回るわけです。見ていてより、キャラに感情移入できるようになったと思いますよ。ちなみに僕のお気に入りのイベントは、とあるダンジョンでアリーシャが水浴び(まぁ、下半身だけですけど)をするシーン。物語的にもすごく重要なシーンなんですけど、それはさておき、アリーシャの健康的なナマ脚がステキです。ヒザまで隠れる大きなブーツを履いてるばっかりに、脚が太めに見えてしまう彼女ですが(失礼?)、脱げばやっぱりスゴかったんだ! と、わけのわからん感動を受けました。開発スタッフの大きなこだわりを感じるこのイベント、アリーシャファンの方には、ぜひ見てみてほしいものです。ちなみにこれらのデモシーン、アルバムなどで何度も鑑賞できたりするわけではありません。何度も見たいデモシーンがある場合は、手前のセーブデータを残しておかなければならないわけです。セーブスロットは豊富に用意されているので、多めにセーブデータを用意することをオススメします。クリア特典でもいいから、アルバムモードなどが用意されていたらうれしかったなぁ。ちょっと残念なところです。

●『シルメリア』の魅力 その2
  「移動」という概念が加わった戦闘シーンは、より戦略的に!

 ダンジョン内をうろうろしている敵と接触すると、バトルへと突入します。前作のバトルでは、戦闘開始と同時に敵を攻撃する(もしくは敵に攻撃される)ことになりましたが、本作ではまず、戦闘フィールドへと移動するように仕様変更されました。戦闘フィールドに散らばっている敵に走って近づいて、味方の攻撃範囲にとらえれば、晴れて攻撃を加えられるようになります。○、△、□、×ボタンを押すことで、各ボタンに対応したキャラが敵へと攻撃を繰り出すので、タイミングよくボタンを押すだけで、簡単にコンボを狙っていけます。うまくコンボをつないで「決め技ゲージ」をためれば、各キャラの必殺技である「決め技」を発動可能。この辺のプレイ感覚は、前作のそれを踏襲しているので、前作をプレイしている人なら違和感なくプレイすることができると思います。もちろん、敵にも攻撃範囲は存在し、コレにとらえられると味方が攻撃をうけてしまうので、いかにうまく、敵の攻撃範囲を避けながら相手に近づくかが、戦闘のキモとなってきます。うまくすれば、1度も敵の攻撃を受けずに、戦闘を終えることも可能となりますよ。戦闘の基本は今述べたとおりなのですが、このほかにも戦闘シーンにはさまざまな新システムが満載! これらを1つ1つ羅列していくと、ちょっとこんがらがってしまうかもしれないので、ここではそれらを項目立てて説明していきましょう。

■戦闘システム1
  部位破壊

 攻撃時に敵の特定部位に一定以上のダメージを集中させれば、「部位破壊」が発生。これにより、敵の脚を破壊して移動を不可能にさせたり、武器を壊して攻撃力を低下させたりできるなど、さまざまな戦術を生み出せる。また、壊した部位によってさまざまなアイテムが入手できるので、狙う価値は高い。

■戦闘システム2
  ブレイクモード

 部位破壊が成功すると、一定の確率で「ブレイクモード」へと突入する。これは、AP(行動ポイント。戦闘ではこれを消費して移動したり攻撃したりできる)を消費せずに、一定時間攻撃し放題になるという、ボーナスタイムのようなもの。うまく突入できれば、ボス級の敵でも一気に大ダメージを与えることができる。

■戦闘システム3
  リーダーダウン&ダイレクトアサルト

 集団で攻めてくる敵グループにはリーダーが存在する。このリーダーを撃破すれば、その場で戦闘を終了させることができる「リーダーダウン」が発生。大量のザコに囲まれて、どれだけ味方が不利な状態になっていても、リーダーさえ撃破してしまえば勝利となるので、多少レベル差がある敵にも戦略次第で勝利することができる。さらに、画面右に表示される「エクステンドゲージ(戦闘開始時はゲージMAX)」を減らすことなくリーダーを撃破できれば、リーダーが持つ貴重なレアアイテムを入手できる「ダイレクトアサルト」になるのも特徴。エクステンドゲージが多ければ多いほど、入手経験値も多くなる。

 とまあ、ざっと説明するとこんなところでしょうか。これらを盛り込んだ戦闘シーンは、前作より戦略要素・爽快感とも、大幅にパワーアップしています。個人的には「どの方向から移動してリーダーに近づけば、敵の攻撃範囲に入らずにダイレクトアサルトを狙えるか」、といった戦略を考えているときは、さながらSLGをプレイしているような感覚でお気に入りです。コレはすごく新鮮なプレイ感覚だと思いますね。

●『シルメリア』の魅力 その3
  キャラの育成が非常に幅広い

 各キャラには前作同様、スキルを習得させて、能力をアップさせることができます。ただし、スキルの習得方法は大きく変化しているのがポイント。前作では、スキル書を使用するだけで覚えることができましたが、本作では武器や防具、アクセサリに設定されている「ルーン」を、特定の組み合わせで装備しなければ習得できなくなりました。こうして書くと、なにやら複雑に思えるかも知れませんが、原理自体はすこぶるカンタン。すなわち、アイテムごとに設定されているさまざまなルーンを、スキルの発生条件に合わせて装備すればいいだけです(スキル発生に必要なルーンは、装備画面で確認可能)。このとき、武器や防具はおもに街の武器防具屋で購入したり、ダンジョンの宝箱から入手できたりしますが、アクセサリに関しては、敵の部位を破壊して集めなければ、なかなか目当てのものを手に入れることが難しくなっています。「ダイレクトアサルト」で敵を倒していくと、どうしても部位破壊を狙う機会が少なくなるので、スキルを習得させたい場合は、わざと「ダイレクトアサルト」をあきらめ、敵の部位を徹底的に破壊していく、というように、戦闘が単調にならないところがおもしろいですね。
  なお、このスキルは、各キャラのCP(キャパシティポイント)を使って装備します。強力なスキルほど、必要となるCPは増加するので、強いものだけでかためる、という力技はできません。では、どれとどれの組み合わせが強力か、というと、これは戦況によって変化するので、一概には決められません。攻撃力に特化したスキルの組み合わせにするか、長期戦を睨んで防御重視のスキルにするか、それはプレイヤーの戦略次第といえます。こういったキャラ育成の幅広さも、間違いなく『シルメリア』のおもしろい部分だと思いますね。

●『シルメリア』の魅力 その4
ダンジョンの謎解きもますます難解に!!

 各ダンジョンに仕掛けられたパズルは、「光子」と呼ばれる特殊能力を駆使して解き明かすことになります。この光子とは、手から放った光で敵を一時的に拘束する、という特殊能力。さらに、拘束した敵にもう一度光子を当てると、その敵と自分の位置を入れ替える「交換転送」を発動できます。この交換転送を使えば、一見たどりつくことができそうもない高所にも、知恵を絞れば到達することができちゃったりするんですね。しかもこの交換転送、物語の後半まで進むと、すごくシビアなタイミングで光子を発射しなければ、発動できない場所も出てくるので気が抜けません。いかにもレアアイテムが入っていそうな宝箱がすぐそこに見えているのに、どうやって交換転送すれば、そこまで到達できるのかがわからない。そんな、知恵の輪のようなもどかしさを感じる部分も出てきます。間違いなく、前作の「晶石アクション」より難易度は上がっているのですが、それがまたおもしろい。この難易度こそ、『ヴァルキリー』だよな、と妙な納得を覚えてしまうほどです。

●残念な部分はもちろんある!
  でも、それさえも許容範囲です

 さて、ここからは残念な部分を少々。まず、物語的な部分から。ネタバレになりそうなので多くは語りませんが、本作のストーリーは基本的に1本道となっています。そして、その物語はほとんどがメインキャラたちにスポットが当てられて進行していくので、サブキャラ的な扱いとなっているエインフェリアたちの物語が、若干説明不足になっているように感じられるんです。これは残念。もちろんこれは、メニューのステータス画面で、各キャラの「経歴」を見れば十分補完可能です。また、物語も非常に壮大なものになっていますので、これ以上肉付けして説明することが増えてしまうと、バランスが非常に悪くなってしまうとも思います。しかし! 『ヴァルキリー』といえば、やはりエインフェリアたちの物語も、重要なウェイトを占める部分。せっかくですから、サイドストーリー的な位置づけで、彼らの活躍を描くミニストーリーを楽しめるなどの特典があってもよかったのではないかなぁ、と思ってしまいます。すごく贅沢なことを言っているとは思いますけど。あとは、やれることが非常に多いのに、それに対する説明がちょっと足りない気がするところでしょうか。『シルメリア』の神秘的で壮大な世界観は、多くのプレイヤーをひきつけると思いますが、ゲームとしての難易度は若干高めなうえに、いろいろと説明不足な部分も多いので、途中でつまづいてしまうプレイヤーも多いのではないかなぁ、と不安に思う部分もあるんです。せっかく完成度の高いゲームなのに、やめてしまうのは非常にもったいない。ぜひ、最後までプレイして、この悲しくも美しい物語を、骨のズイまでしゃぶりつくしてほしいと思います。もし、どうしてもクリアできない局面が出てきた場合は、電撃プレイステーションの攻略を読むか、弊社発行の攻略本(7月14日発売)を読んでもらえればと思います。プレイヤーのみなさんがつまづきそうなところを、徹底的にフォローしておりますので(ちょっと宣伝っぽくてスイマセン)。あとは、前作をプレイしておかないと、お話的に理解しにくい部分もあるかもしれません。これは続編モノの宿命だと思いますし、さまざまなフォローもなされているとは思いますけど、やっぱり物語は前作の知識がある方が楽しめます。とはいえ前作も、そしてこの『シルメリア』も、間違いなくあなたの心に残る名作だと思うので、コレを機会にぜひ、両方まとめてプレイしてみてはいかがでしょうか。難易度は高いですが、クリアしたときは、これまでに感じたことのない達成感と感動を味わうことができると思いますよ。ぜひ、遊んでみてくださいね。



 
ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-』画面写真

レビュアー紹介

ただ坊
 島本和彦先生のマンガに激しく同調し、映画「ロッキー」を見ては涙するという熱血な部分と、ベストプレイスが「ディズニーランド」という癒し部分を併せ持つ、自称永遠のピーターパン。仕事中に聞くBGMがB’zの時は絶好調なとき、GARNET CROWの時は最高潮のときだと豪語する、へっぽこ三文ライターでもある。正直、アリーシャの美脚には心を折られた。いいよいいよ!! ナマ脚いいよ~!!

●習得済み精神コマンド
「不屈」「ひらめき」「根性」「熱血」「気合」「魂」(「集中」が欲しい、と本人談)(ついでに「加速」も覚えやがれ、と担当編集談)

●好きなゲーム
『スパロボ』シリーズ
『キングダムハーツ』シリーズ
『KOF』シリーズ


ヴァルキリープロファイル2
-シルメリア-
『ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-』パッケージ写真
●機種:PS2
●メーカー:スクウェア・エニックス
●ジャンル:RPG
●価格:8,190円(税込)
●発売日:2006年6月22日

(C)2006 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved. /Developed by tri-Ace Inc./Character illustration: KOU YOSHINARI/YOU YOSHINARI

■ソフト紹介ページ


今すぐ購入!
Amazonで購入
TSUTAYA onlineで購入