タイトル |
バトルフィールド2142 |
レビュアー |
カゲロー |
100年後の戦争でも、やっぱり
「メディーック(衛生兵)!!」って叫んでました
マンガやゲームの中の地球は、核の炎に包まれたりスペースコロニーが独立戦争起こしたり宇宙怪獣が攻めてきたので銀河殴りこみ艦隊で撃退してついでにマシーン兵器のパイロットが1万2千年後に帰還したりと、いろいろ大変なことが起きています。
でもまあ、現実の地球は宇宙戦争みたいな大変なことは起きてないし、なかでも日本は幸いなことにとても平和です。そんなお国柄のせいか、ゲームに関してはけっこう成熟してるはずなのに、FPS(ファーストパーソンシューティング。一人称視点のゲームです)に関しては、国産ゲームの大ヒット作ってほとんど聞きません。FPSといって思いつく作品をザッとあげると、『DOOM』、『ハーフライフ』、『QUAKE』、『ゴールデンアイ 007』とかでしょうか。みごとに全部海外産です。FPSを楽しむにはキーボードとマウスによる操作が必須ということも、日本ではFPSが定着しなかった理由の1つなのかもしれません。日本では、ゲームといえば家庭用ゲーム機で遊ぶもの、でしたからね。
まあそんなわけで日本ではそんなに知名度がないかなあ、って印象のFPSなんですが、先日、FPSの超人気シリーズ『バトルフィールド』の最新作『バトルフィールド2142』が発売されました! これがとても面白いのでみんなに知ってほしい! ということで『バトルフィールド』なんて聞いたことがないよ、っていう人のために簡単にシリーズの説明をしておこうと思います。
●『バトルフィールド』ってなんスか?
最大32人対32人という大規模な戦闘が楽しめる、PC用のオンラインゲームで、ジャンルは、まああんな前置きをしたくらいですから、当然FPSです。シリーズの第1作で、第2次世界大戦をテーマにした『バトルフィールド1942』は2002年に発売されました。
プレイヤーが操作するのは、赤軍か青軍(勢力はマップごとに違いますが、1つの戦場には2勢力しか登場しません。例えば連合軍対日本軍、みたいに)のいずれかの勢力に所属する兵士です。それぞれの勢力にはチケットという一定のポイントが設定されていて、味方の兵士が倒されたり、自軍の拠点を奪われると少しずつ減少していきます。そして、先に相手のチケットを0にした勢力が勝者となります。
プレイヤーは基本的には歩兵を操作するのですが、ゲーム中には戦車、ジープ、ヘリ、戦闘機、戦艦、上陸艇などなどさまざまな兵器も登場し、プレイヤーが自由に扱うことができます。歩兵道を極めるもよし、戦車や戦闘機を乗り換えながら戦ってもよしと、幅広い遊び方ができるのが大きな特徴といえます。
『バトルフィールド』は第1作登場後、『~1942』用拡張パックが2本発売され、次にベトナム戦争が舞台の続編『バトルフィールド・ベトナム』、そして架空の現代戦が舞台の『バトルフィールド2』が発売されています。
●で、なにが面白いんスか?
このゲームの面白さは、死と隣り合わせの戦場の雰囲気を味わう……というよりは、ドカドカ撃ちあってボカンボカン爆発してバタバタ倒されてぽこぽこ復活してまたドカドカ撃ちあうみたいな、お祭り騒ぎっぽいところにあると思います。正直なところ、実際にプレイしてもらうのが一番てっとり早いんですが(公式サイトなどで体験版をダウンロードすることができます)、それを言ってしまうとこの記事いらないじゃん、って怒られてしまうので、ゲームの雰囲気を伝えらられば、と印象に残った体験談を書いてみます。
- 歩兵運搬車の操縦席に乗り込んで、車を発車させようとすると、続々と味方歩兵が乗り込んできました。極度の緊張状態におちいった自分はハンドル操作をミスり、味方を満載したまま崖下に転落しました。
- 前線めざしてとぼとぼ歩いていると、後ろからジープが走ってきました。その運転手が「乗れ! 乗れ!」と言ってきたので素直に乗りました。しばらくたつと、「降りろ! 降りろ!」と叫び始めました。んー? と戸惑っていると、ジープは猛スピードで敵の戦車に体当たり。ジープは大爆発し、当然自分も死にました。運転手は脱出してました。あとで知ったのですが、ジープを戦車に体当たりさせるのはけっこう有効な攻撃手段なのだそうです。カミカゼネー。
- 海戦マップで、普通は艦砲射撃にしか使われない敵の戦艦が、なんでか知らないけど味方が守る島に横付けしてきました。物珍しかったのか、島を守っていた味方の守備兵(自分も)はみんな大喜びで敵戦艦に泳いで乗り込んでいきました。狭い敵の艦内で両軍入り乱れての白兵戦が始まり、辺りは地獄絵図と化しました。
- 決死の覚悟で敵陣に潜入し、強力なタイガー戦車を奪ってなんとか自陣へ戻ってきました。そしたら敵と間違われ、一斉放火を浴びて死にました。
- 体力の減った味方の兵を治療してあげたら、その兵がコクコクと首を上下に振り始めました。たぶんありがとう、ってジェスチャーなんだろうなあ、と思って、こちらもコクコクしながら治療をしていたら、敵に手榴弾を投げ込まれ、2人ともコクコクうなずきあいながら吹っ飛ばされました。
あれ、なんかバカゲーの紹介みたいになっちゃった……。まあなんだ、いろんなことができる自由度の高さが魅力だ、っていうことを言いたかったんですよ!!
●最新作はどんな感じなんスか?
『バトルフィールド2142』はタイトルの通り、未来が舞台になっています。『~1942』から200年後ですね。システム的にはとくに革新的なものが追加されたわけではないので、シリーズをプレイしてきた人はすんなりと、そうでない人もわりとすんなりと楽しめると思います。最初は一方的に殺されまくるとは思いますが……。
個人的に心配していたのは、舞台が未来になったことで、兵器が超高性能になっているのかな、ということ。かすれば即死の殺人レーザー光線が飛び交ったり、スナイパーライフルのズーム機能がすごいことになって敵の毛穴まで見えたり、爆弾の威力が地形を変えるくらいすごかったり、戦闘機のホーミングミサイルでヘリがぼとぼと落ちたり、みたいな。で、実際プレイしてみたら、取り越し苦労でした。武器の性能自体はさほど前作と変わった印象はなく、相変わらずドタバタ感あふれる戦闘が楽しめました。本作で追加された、未来の世界の2足歩行型ロボット・バトルウォーカーも、硬くて強くて小回りが効いて、陸上戦の主役になるかー!? と思いきや、EMP兵器というアンチ武装があるので、わりとあっさり撃破されちゃいます。大型兵器に乗ったもん勝ち、というシチュエーションにならないようなバランス調整はさすがです。もちろん、光学迷彩とか、簡易バリアーとか、一見サッカーボールだけど自分から戦車の下に転がっていって爆発するサッカーボール型爆弾とか、さすがは未来兵器やでー、と思わせるハイテク装備も用意されていて、いいアクセントになってます。
●新モードは流行ってるんスか?
本作では、従来のコンクエストモードに加え、新登場のタイタンモードが追加されました。このモードの勝利条件は、敵の空中母艦「タイタン」を撃墜すること。地上戦では「タイタン」のバリアーを破るためのミサイル施設を巡ってドンパチして、「タイタン」内部では動力部を守るためにドンパチしてと、1粒で2度楽しいモードとなっております。攻撃と防衛の配分を考えて戦闘しなければならない分、従来のモードより戦略性が増していますね。とくに、艦内は歩兵でしか侵入できないので、歩兵戦が好きな人はこのモードに参戦することが多いようです。
ですが、マルチプレイヤーモードのプレイ状況を見ると、現在のところはコンクエストモードのほうが数が多いです。「タイタン」撃破までの手順がめんどくさいとか、兵士の経験値にあたる「キャリアポイント」目当てでプレイする人が目立つとかが問題となっているようで……。この辺りは次の項目で。
●なんか問題でもあるんスか?
まずは、前作から導入されたアンロックシステム。一定の「キャリアポイント」を貯めることで、使用できる武器が増えていくというものです。これについて、電撃プレイステーション編集部屈指の『バトルフィールド』愛好家である青毛野郎は「『バトルフィールド』はある意味スポーツゲームのようなものなのだから、全員が同じ条件で戦えないというのはどうなんだろう」と話していました。自分も同意見でして、増えた装備をカスタマイズする楽しみがある、というのはわかりますが、最初から全部オープンにしてもいいんじゃないかと思うんですよね。やりこみ要素は、メダルとかバッジとか、勲章があるわけですから。そんなわけで、使用武器を全部そろえるために前述の「キャリアポイント」を貯めなければいけないんですが。タイタンモードはポイントが稼ぎやすい仕様となっているので、一部のプレイヤーの中には戦闘そっちのけでポイント稼ぎに終始している人がいるようなんです。今後のパッチで、なんらかの調整が入るといいですね。
そして、これはもう過去の問題なんですが、『バトルフィールド2142』発売時は日本にサーバーがなかったため、日本人プレイヤーはアメリカのサーバーに接続してマルチプレイをしていました。当然、ラグのせいで快適にプレイできる環境ではなく、悲しい思いをしながら戦う日々が続きましたが、先日、日本でも公式サーバーが立ち上がりました。一度に6つものサーバーが稼働を始めたんですが、連日満員大入り! サーバーを立ち上げてくれたエレクトロニック・アーツに大感謝です。
●とりあえずやってみないとわかんないッスよね
そッスね。32人対32人みたいな大人数の戦いとかになると、参戦してるだけでなんとなく楽しいですよ。最前線でバリバリとマシンガン乱射したり、建物のカゲに隠れて狙撃しまくったり、負傷兵を治してまわったり、遊び方は書ききれないくらいにあるので、きっと自分なりの楽しみ方が見つかると思います。うっかりっぷりでは誰にも負けない自分の場合は、味方の戦車にひき殺されたり、パラシュート開くのが遅れて墜落死したり、目の前の兵士は味方かな、敵かな、と迷ってるうちに射殺されたり、そんな毎日を楽しんでいます。みなさんもぜひ、爆音と銃声と悲鳴と衛生兵を呼ぶ声が絶えることのない、壮絶な戦場に足を踏み入れてください!
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