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●滞在2日間の超ハードスケジュール、
 日本での『R&C』発売日の印象は?

――:先日、PS8周年記念ソフトとして『R&C』が発売されましたが、発売日当日はお二人で秋葉原を視察されたそうですね。
テッド:日本に来るまで、インタビューなどのプレスツアーで世界各国を回ってきましたけど、日本以上の規模のディスプレイはどの国にもありませんでしたね。
マーク:渋谷の駅前にあった『R&C』の大きい看板を見たときは、ホントに驚いたよね。
テッド:我々のタイトルを評価してくれ、また、ここまで大々的に宣伝してくれるSCE JAPANに感謝しています。
――:ハードに同梱された「アクションパック」も発売されたことで、初めて遊んだPS2のゲームが『R&C』だった、なんてユーザーも多くなると思いますよ。
テッド:バンドルソフトに選ばれるなんて、ホントに光栄です。『グランツーリスモ3』以来、ですもんね。
――『R&C』は日本では発売されたばかりですが、アメリカ、ヨーロッパではすでに発売されているそうですね。欧米のユーザーの反応はいかがです?
テッド:買ってくださったユーザーからは高い評価を頂いています。イロイロなBBSの書き込みの意見もすこぶるイイですよ。
――:すでに欧米あわせて累計出荷100万枚を超える大ヒットになっているそうで。スゴイ!
マーク:ちなみに欧米のマーケットは、発売後に一気に売れる日本と違って、じわじわと売れる、というモノなんですけどね。TVCFは発売後から展開されるくらいなんですから。
――:そのようなマーケットで、いきなり100万枚突破しているんですから。いかに人気が高いかが、よくわかりますね。
テッド:日本でもみなさんに遊んでいただけるように祈っています!


 ●たったの1年間で、『R&C』が完成した!
――:お二人がタッグを組んで制作したゲームといえば、『スパイロ』シリーズがまず思い浮かびますが、『R&C』ではそれぞれどのような役割だったのでしょうか?
テッド:ボクは総合プロデューサーですね。あとは、マークと共にゲームのマクロデザイン、そしてアートスーパーバイザーを担当しました。
マーク:ボクはゲームデザインコンサルタントということになっていますが、ステージ構成や難易度調整などのチューニングにも携わりました。
――:このゲームの企画は、お二人の間で生まれたのでしょうか?
テッド:というワケじゃなくて、企画はインソムニアック・ゲームスのスタッフ間の雑談じみた会議の中で生まれたんですよ。社のポリシーは「全員参加」でして、1つのゲームについて社員がみんなコメントできるような環境が作られているんです。現在、ボクを含めて48名が在籍しているんですけど、例えばプログラマーがキャラクターデザインについて意見を出したり、グラフィッカーがゲームシステムについてアイデアを出したり、というカンジで、今回の『R&C』の企画についても、みんなが出し合った意見で作られていったんです。
――:そのブレーンストーミングでは、イロイロな意見が出たんでしょうねぇ。
テッド:ですね。で、結局は「とにかく武器をいっぱい出したい」というのと、「惑星間を移動して冒険したい」という2つのコンセプトが固まりましてね。その後はPS2というハードを研究して、プロトタイプを制作して…。実際に制作に入ったのは、2001年の11月くらいでしょうか。
――:当初から「武器をいっぱい出す」という要素がコンセプトにあったそうですが、でしたらロボット(=クランク)がどんどん武器をくっつけて戦う…なんてゲームが出来上がる、と単純に想像してしまうんですけど、そこにラチェットが入ってくる、というのがオモシロイなぁと思いました。
テッド:主人公を二人にした狙いは、2つありまして。1つは「アクションの楽しさをより増やす」ということです。キャラクター1体だけのアクションでは、動かす楽しみに限界があるのではないかと考えました。そこでもう1体、まったく違うアクションを楽しめるキャラクターを作ることで、その問題を解決したのです。
――:確かにラチェットとクランクでは、まったく別のゲームのようなアクションが楽しめますもんね。クランクがガジェボットに命令する※写真1、という操作が最たるモノでしょう。
テッド:それともう1つの狙いは、「物語をより濃いモノにする」ということです。物語の冒頭では、偶然出会った二人が「互いのメリットになる」という理由だけで一緒に行動することになるんですけど、途中でケンカして仲違いしつつも、徐々に熱い友情が育まれていく…、といったように、主人公を二人にすることで、物語を更におもしろくすることができたのです。ちなみにラチェットは、「ロンバックス」という、我々が産み出した架空の種族の生物なんですよ。
――:なるほど、そういうワケですね。そういえば、マークさんが手掛けた『ジャック×ダクスター』も主人公が二人でしたが…?
マーク:そうなんですよ。でも、まったくの偶然で、『R&C』に関してはインソムニアック・ゲームスのアイデアですよ。
テッド:偶然とはいえ『ジャック×ダクスター』が先に発売されたワケでして。できるだけ似ないように、とスタッフ一同注意したトコロでもありましたよ(笑)。


●脇役の個性が強い!
――:もちろん『R&C』に登場するキャラは、ラチェットやクランクだけでありません。ビッグバッドボス※写真2やキャプテン・クォーク※写真3などなど、個性がすんごく濃い脇役が実に多い!
テッド:ミーティングで「こういうキャラを作りたいよね」と大まかな設定を決めてからは、キャラクターデザインのスタッフが詰めていった、というカンジで作っていきました。いかにも悪役、というイメージに、インソムニアック・ゲームスのアイデアがうまくプラスされていると思いますよ。特にキャプテン・クォークが、うまくプラスされた成功例の最たるモノなんじゃないかな。
――:キャプテン・クォーク!! とってもカワイイ&カッコイイです。プレイしたユーザーなら、誰もが彼のファンになるハズですよ。
マーク:彼の活躍に注目してほしいですね。ゲームクリア後には、ファン感涙の映像もありますよ!
――:それは楽しみです。全国のクォークファン、頑張ってクリアしましょう! クォークといえば、ステージ3「テクノポリス」に登場する彼の仲間・トレーナーおばさん※写真4もインパクト大ですよね。あのブヨンブヨンした動き、あのしゃべり方…モデルが身近にいらっしゃったりして?
テッド:あぁ、ヘルガね(笑)。彼女のモデルは、ドイツ人女性で砲丸投げの選手なんです。とはいっても、スリムな、筋肉隆々の本人とはまったくの別人になっていますけど(笑)。これに限らず、キャラクターデザインのスタッフはとんでもないアイデアを出す連中なんですよ。
――:彼女もインソムニアック・ゲームスのキャラクター作りの成功例の1つ!? というワケかぁ(笑)。


●実際にプレイしてみてのオモシロさ!
 ガラメカの秘密、隠し要素に迫る!

――:『R&C』を実際にプレイしてみて、ACTはキャラクターを思い通りに動かせることが楽しいんだ、というACTの原点を再確認しました。操作がとっても複雑だったり、3Dマップだと迷ってしまったり…なんてコトが多々ありますが、『R&C』に限ってはまったくなく、安心して遊べますよね。
テッド:そう言っていただけるとウレシイです。
マーク:『R&C』のマップデザインには、相当の時間と労力をかけました。プレイヤーが迷わない工夫の1つとして、マップのどこにいても見えるランドマークを必ず設置したり、ね。
――:一見、広大なマップでも迷わないのは、そのためなのかー!
マーク:あとは、新しいアクションができることによって初めて踏み入れられるようなエリアに分けたこともポイントだったと思います。これによって、プレイヤーはマップを少しずつ理解できる、という効果があるんですよ。
――:背景がカワイイ&カッコイイから、いろんな場所を見て回っているだけで、マップの構造がわかってきちゃうんですよねー。そうそう、カワイイ&カッコイイといえば、ガラメカでしょう! 見た目やネーミングがカワイくて、実際に使えばカッコイイアクションが楽しめる! 全部で36種類あるガラメカ、全部まったく違う効果を持っていますが、違いを考えるのはタイヘンだったのでは…?
テッド:違いを考えるという苦労はまったくなかったんだけど…、企画段階でスタッフが持ち寄った60種類以上のアイデアを絞り込む方がタイヘンでしたよ。
――:当初はそんなにあったんですか? インソムニアック・ゲームスのスタッフはアイデア豊富すぎ!(笑)
マーク:実は、登場するガラメカはそれ以上あるんですよ。2周目をクリアすれば、全部手に入るんじゃないかな?
――:2周目で初登場のガラメカがあるとは! クリアしてぜひ手に入れたいですね。手に入れたいといえば、ゲームの序盤、ステージ5「ブラックウォーター」で登場する「ランチャーNO.8」が、値段が高すぎて買えないんですけど…。どんな威力を持つのか教えてください!
マーク:高価なガラメカは、2周目で買えると思いますよ。2周目では、敵を倒して出るお金が倍になりますから。しかも、1周目をクリアした時点のお金とガラメカを引き継いだままで、2周目にチャレンジできますし。だから、あの威力はぜひゲットして自分の目で確かめてくださいね。
――:わかりました。これは何がナンでもクリアしないと! …あのぅ、よりクリアしやすくなるための方法をこっそり伝授してください。どのガラメカがオススメですか?
テッド:うーん、ボクはガラメカ全部がオススメなんですけど、今日のオススメ(笑)は、「ビデオミサイル」かな。自分で上手にミサイルを操作して敵に当てた瞬間が心地イイからね。
マーク:ボクは、ガラメカによるコンボ攻撃がオススメ。「バルルングラブ」で敵を誘導して、敵が一カ所に集まったら「マシーンブラスター」に持ち替えて一掃する!
テッド:他にはこんなのも。「バルルングラブ」で敵を誘導して、「メルモビーム」で集まった敵をチキンに変身させてから、「サックキャノン」でチキンを吸い込んで、撃つ! チキンに変身させた時にお金がもらえるし、吸い込んだ時にもお金がもらえるので、とてもお得ですよ。
――:なるほどなるほど! さっそく試してみます!
テッド:自分のアイデアしだいで、イロんなバリエーションのコンボ攻撃が生まれますよ。


●隠し要素もたくさんあります! やり込みがいバッチリ!
――:本日は、来日2日間というハードスケジュールの中、お時間を割いていただきまして、ありがとうございました! …最後に1つ質問が。プレイ中にイロんなことを試していたら「スキルポイント」という文字が画面内に現れたんですけど、あれは…?
テッド:それは隠し要素の1つで、全部で30の「スキルポイント」があります。例えば、ステージ9「ガスパー」で、イチバン移動速度が速い船を砲台で倒した時(※写真5)に「スキルポイント」をゲットできるのですが、これを半分ゲットすると別の隠し要素がオープンになる特典がありますよ。ちなみに全部見つけると、さらに別の隠し要素がオープンになります。ぜひ探してみてくださいね。
マーク:2周目以降に、「スキルポイント」の隠されている場所がわかるようになっているので、まずは1周目をクリアしてから探すのがラクだと思います。
――:隠し要素がテンコ盛りですね。いったい全部でどれくらいの隠し要素が…?
テッド:
大きく4つの隠し要素があります。ですが、ムービーが見られるようになったり、スタッフロールが見られるようになったりと、細かい要素がいっぱいありますので、頑張ってくださいね!
――:いやはや、『R&C』はホントにやり込み要素が多いですねぇ。『R&C』1本で、かなーり長く楽しめるハズです。読者の皆様、ぜひお正月休みにいかがでしょうか? といったトコロで、インタビューを終了したいと思います。本日はありがとうございました!
(2002年12月4日収録)

テッド・プライス (Ted Price)
インソムニアック・ゲームス社長
 プリンストン大学卒業。1994年に Insomniac Games 社を設立するまでは設立されたばかりの製薬会社で財務を担当していたという異色の前歴の持ち主(そのお陰か、今でも社員の健康保険には相当気を遣っているとか)。
 昔からのゲーム好きだが、会社を興した理由が「マーケットリサーチという名目でゲームが経費で買えるから」という、ホントかウソかわからないコメント。
 会社の経営や事務処理に追われるかたわらで、ゲーム全体のアートディレクション、そしてワイヤーフレームモデル制作も行う働き者。
 オールディーズから最新のモノまで、幅広くロックミュージックを好み、彼のオフィスにはいつもそういった音楽が流れている。最近のお気に入りは、アメリカのヘビメタバンド「SINCH」。
『ラチェット&クランク』では、総合プロデューサー、マークと共にゲームのマクロデザイン、そしてアートスーパーバイザーを担当(「非常に優秀なチーフアーティストが2人いるので、今回は美術に関しては最終承認を出すだけで良かったんだ」との事)。
マーク・サーニー(Mark Cerny)
サーニーゲームス社長
 超一流のゲームデザイナーであり、PS2本体のソフト開発に直接加わったプログラマーであり、そして数々のヒット作を生み出してきたプロデューサー。まさに「天才」という呼び名がふさわしい人間。
 アメリカの飛び級制度を利用して、弱冠13才で名門カリフォルニア大学バークレー校(UCB)に入学、在学中に学校内のゲームセンターに入り浸る(この時期、全米初の『ディフェンダー』100万点突破プレイヤーとなる)。
 1981年、17才でアタリに入社。19才の頃にたった一人で(音楽以外)制作した『マーブル・マッドネス』が、1985年に大ヒット。
 1986年、セガと契約して3年間を日本に滞在、家庭用、業務用のハード、ソフトの開発に手広く関わる。
 1989年、アメリカに開発会社Sega Technical Institute(STI)が設立された際にカリフォルニアに戻り、『ソニック2』などの開発に参加。
 1992年、クリスタル・ダイナミクス社にて3DO用タイトルの制作を担当。
 1994年、ユニヴァーサル・インタラクティブ・スタジオ(UIS)設立時に技術担当副社長として参加、後にパートナーとなる Naughty Dog,Insomniac をこの時期に見出す。
 1996年、彼のプロデュースした『クラッシュ・バンディクー』が世界中で大ヒット。
 1998年には独立してCernygamesを設立。引き続きクラッシュシリーズ、スパイロシリーズを始めとする、様々なタイトルのプロデュースを行っている。
 2001年、『ジャック×ダクスター』、そして2002年末、最新作の『ラチェット&クランク』が全世界で発売。
 これまでに彼が手がけてきた数々のキャラクターアクションゲームのうち、すでに10本がミリオン以上のセールスを記録。
 日本語が堪能(JIS第二水準漢字まで読み書き可能)、箸を使う際のマナーから最近ヒットしているテレビ番組まで、日本文化への造詣が極めて深い(奥様も日本人)。つい最近、黄色の Ferrari 360 Modena を購入。
『ラチェット&クランク』での役割は「ゲームデザインコンサルタント」という事になっているが、実際にはプロジェクトに極めて密接に関わっており、ステージ構成や難易度調整などマクロからミクロにいたるまで細やかなチューニングを行っている。

テッド・プライス (Ted Price)
インソムニアック・ゲームス社長

マーク・サーニー(Mark Cerny)
サーニーゲームス社長

※写真1
※写真2
※写真3
※写真4
※写真5

ラチェット&クランク
■メーカー:SCE
■対応機種:PS2
■発売日:2002年12月3日
■価格:5,800円
■関連リンク:SCE
Created and developed by Insomniac Games.
(C)2002 Sony Computer Entertainment America Inc.



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