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 『ハリー・ポッター』シリーズ3作目となる『アズカバンの囚人』が、映画の公開と同時に発売! 今作ではPS2、GC、GBA、PCと、プラットフォームごとに各ハードの特色をいかした要素やミニゲームが搭載されており、シリーズの魅力がさまざまな形で楽しめる。このインタビューでは制作チームを指揮する金親晋太郎氏に、今作の特徴や開発裏話を語ってもらった。


――まずはじめに、シリーズ3作目となる『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』が発売されましたが、今作の仕上がりはいかがですか?
金親氏(以下、敬称略):私はイギリスに何年も住んでいるのですが、とても親近感が持てる感じに仕上がりました。シリーズの魅力であるイギリス独特の文化とも言えるボーディングスクール(全寮制学校)の雰囲気を、多くの人に味わってもらいたかったんです。
――プレイする点において、前作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』と最新作との一番大きな違いはなんでしょうか?
金親:一番大きく違う点は、メインキャラクターの3人をプレイヤーキャラクターとして操作できるというところですね。前作の発売後にユーザーからの意見で、全員でプレイしたかったと聞いて、今回は“ハリー”だけではなく“ハーマイオニー”と“ロン”も操作できるようにしたんです。
――ゲーム内での各キャラクターのイメージや特徴は、どのようにして固めていったのですか?
金親:“ハリー”はやはり主人公なので、運動もできて、勇気があってという、かっこいいヒーローをイメージしました。ただ魔法が一番強いのは、優等生の“ハーマイオニー”です。“ハリー”を素晴らしい魔法使いにしてしまったら、“ハーマイオニー”とのバランスが取れなくなってしまうので、彼の魔法の強さは普通にしました。
 “ハーマイオニー”は完全に優等生というキャラクターです。ちょっと頑固だけど、女の子なので、かわいく作りました。
 そして、実は今回のゲームで一番困ったのは“ロン”なんです。“ハリー”の親友で原作には欠かせない存在なのですが、ゲームにいかせる特徴がなく、企画中はユーザーが“ロン”になりたいという理由をすごく考えました。彼をいかにおもしろくするか話し合うために、「“ロン”ミーティング」を開いたくらいです。最終的に、「彼にはすでに学校に通っているお兄さんたちがいるので、一番学校に詳しいんじゃないか?」と思い、探索の能力を持つというキャラクターにしました。
――“ロン”でいると壁がちょっと違って見えて、どこでも隠し通路を見つけられるんですよね。
金親:ええ。“ロン”がもっとも個性の強いキャラクターになったんじゃないですかね。僕は“ロン”がいちばん好きなんですよ。等身大というか、共感が持てるんですね。
――「“ハーマイオニー”は優等生」というように、原作のキャラクター設定が前提にあってゲームもそこから脚色していくといった感じでしょうか?
金親:そうです、原作のイメージは大事にしていますね。例えばゲームの中での“ハーマイオニー”は、魔法のスペルを多くして一番複雑な魔法を持っているように、優等生らしい部分を強調しています。その他にも、彼女は体が小柄だからドアの下をくぐれるなど、キャラクター設定はやはり原作がベースになっています。
――GC版とPS2版はどちらもアクションゲームで、ほぼ同じつくりになっていますが、GBA版はまた別のジャンルですよね。GBA版の特色や内容を決めたのはどういうところからですか?
金親:前々作『賢者の石』、前作『秘密の部屋』でアクション要素の人気が高かったので、GC版とPS2版はその流れで制作しました。GBA版はRPG系です。『賢者の石』はGBカラー版とGBA版の2本を発売したんですが、GBカラー版がRPG、GBA版がアクションだったんです。今回、GBA版を制作すると決定した時にRPGを好むユーザーが多いだろうという理由から、GC版やPS2版とは異なるジャンルに決定しました。
――GC版とGBA版はリンクして遊べる、PS2版は「EyeToy(TM) USBカメラ」対応とそれぞれプラットフォームごとに独自の要素がありますよね。PS2版の「EyeToy(TM) USBカメラ」対応を決めたきっかけなどはあるんでしょうか?
金親:以前『ハリー・ポッター クィディッチ・ワールドカップ』というタイトルを発売したんですが、その開発チームの何人かが『EyeToy(TM)』の研究をしていたんですよ。『EyeToy(TM)』はヨーロッパで若い層、子どもたちの間で爆発的に売れたんですが、彼らから「面白いから『ハリー・ポッター』に入れたらどう?」と提案されたんです。『ハリー・ポッター』と『EyeToy(TM)』のユーザー層が重なっているということからも、取り入れることが決まりました。
――GC版とGBA版のリンクや、GC版の謎解きでフクロウの使用方法がポイントとなっています。GC、GBA版の特色といえる「動物を使う」というアイディアはどういったところから出たんでしょうか?
金親:“ハリー”たちと仲がいい森番の“ハグリッド”が、今作の「アズカバンの囚人」で「魔法動物飼育学」の先生になります。ですから、魔法生物にスポットを当てて動物たちを活躍させたかったんです。
――シリーズ3作目となりますが、今作『アズカバンの囚人』の制作で一番苦労したことはなんでしょうか?
金親:普通に開発していると最終段階で、発売に間に合わせるためにバグの修正作業がありますよね。今回はプレイヤーキャラクターが3人いるから、その作業が大変でした。自由度が高いゲームなので、いろいろなことができる反面、原作のイメージを壊さない程度にするバランス調整が大変でした。原作はもちろん、映画をたどってるわけではないんですけど、イメージを壊さないようにしなくてはいけないし、それなりに制限もあります。原作者の意向も重要ですから、かなり丁寧に作るように心がけました。
――では、話題をガラリと変えて、映画との連携などについてお聞きしたいと思います。映画とゲームが同時進行で制作されていたということですが、ゲーム制作はどのような形で進めていったんでしょうか?
金親:映画のゲーム版ではなく、原作のゲーム化というイメージで制作しました。ゲームデザイナーやプランナーたちも映画の資料を読んでいますから、映画の重要なシーンはなるべくゲームに盛り込むようにしたんです。前回はうちのデザイナーたちが映画の撮影が行われている現場まで行ってセットを見たりしていたんですが、今回はワーナー・ブラザーズのプロデューサーとコンタクトをとりまして、写真やイラストをたくさん送ってもらったんです。本当にすごく協力していただきました。
――映画もゲームも一体になって盛り立てていく感じですね。
金親:いただいた資料の中で1番役に立ったのは、メインキャラクター3人を演じる俳優さんたちが映画の撮影に入る前の写真です。前作から1歳年を取っただけなんですが、彼らがすごく成長していて驚きましたね。ゲームの中のキャラクターも2作目と3作目で、ずいぶん違うように見えると思うんですよ。
――原作者のJ.K.ローリングさんには、ゲームを見せに行ったりするのですか?
金親:もちろん完成版は見せますけど、まず最初に企画が決まった時点で企画書などを見てもらってます。もともと『ハリー・ポッター』1作目のゲーム化が決まったとき、ローリングさんが「原作のものだけでは、ゲームとしては物足りないんじゃないか」と70ページほど設定書を書いてくださったんですよ。裏設定というか、映画や原作の中にはない、新しい魔法やクリーチャーなどをゲームで使いやすいように書き出した設定書のようなものですね。
――原作者から直接、「これはこうしたほうがいい」とか「こうすれば面白いのでは」といったアイディアをもらったわけですね。
金親:はい。魔法やクリーチャー以外に、今作に登場する「魔法使いのカード」も原作者からもらった設定書の中に入っていたアイディアです。『ハリー・ポッター』シリーズではこの他にもオフィシャルというか、原作者自身がOKといって出してくれたアイディアをいろいろと取り入れています。
――映画の公開とあわせて、1作目は2001年12月、2作目は2002年11月に発売されました。3作目は2004年6月に発売と、前作の制作期間に比べて今回は余裕があったのではないかと思うのですが、そういった意味でメリットなどはありましたでしょうか?
金親:やはり今回は「EyeToy(TM) カメラ」対応やGCとGBAのコネクション要素、ミニゲームを収録できたことがよかったですね。これらは当初の段階でプランに入っていなかったんです。もし去年の12月に発売が予定されていたならば、盛り込めない要素でしたね。
――日本やイギリスだけでなく、世界的に人気が高い『ハリー・ポッター』シリーズですが、今作は何カ国で販売される予定なのですか?
金親:ヨーロッパだけで10カ国語以上制作していて、全部で20カ国だったかな……。“ハリー”を演じる声優さんだけでも20人くらいいることになります。
――全世界で発売となると、ローカライズ作業などはどういった流れを取ってらっしゃるんでしょうか?
金親:EAはすでに多数のローカライズ作品を発売しているので、各国で販売するプロセスができあがっています。ローカライズの過程を簡単に説明すると、まず最初に制作されるのは英語版で、その英語版がある程度完成してきたら、各国の会社に素材を送って一気にローカライズ作業に入ります。そして、翻訳済みのデータをゲームに収録するんです。ローカライズ作業に関しての障害はほとんどなく、問題や調整部分はまったく別のところで発生します。たとえば、PS2用ソフトの決定ボタンが日本版は「○ボタン」ですが、英語版は「×ボタン」など、地域ごとに異なっているシステムをしっかり直す作業が大変ですね。ちなみに、『ハリー・ポッター』シリーズは、「ハリー・ポッター用語」に間違いがないかなどワーナー・ブラザーズでもチェックしてもらっています。
――最新作が発売されたばかりで気が早いんですが、次の作品についてはもう考えてらっしゃいますか?
金親:まだなんとも言えませんが、色々と考えてます。前回は『秘密の部屋』の発売後にユーザーの意見を聞いて、メインキャラクター3人のフィーチャーを実現させたのですが、今回もユーザーに次回作への要望を聞いて、その意見を取り入れたいですね。
――ユーザーからの声は、やはりゲーム制作の上で重要なのでしょうか?
金親:うちはすごく重要ですね。製作スタッフは全員18歳以上の大人で、『ハリー・ポッター』のプレイヤーは6〜14歳くらいなわけですから、視点がまったく違います。ですから、ユーザーの声を聞くことを非常に大事にしています。今回も追い込みの3〜4カ月間は、ほぼ毎日子どもたちに試遊をしてもらって、ゲームバランスの調整をしたんです。
――日本人のゲーマーにとって「海外のゲームは難しい」というイメージがあるんですが、確かに『ハリー・ポッター』シリーズはすごくバランスがとれていると思いました。探索がとても楽しかったです。劇場公開と同時にゲームソフトも発売されていますが、映画を先に観るか、ゲームを先にするのかどちらがいいと思います?
金親:僕はどちらが先でもいいと思うんですよ。映画を先に観ても、ゲームを先にプレイしても別の面白さが出てくると思います。ゲームをプレイしたあとに映画を観ると、「ゲームの中で見たシーンはこうだったんだな」と、逆ももちろんありますし。もちろん本を先に読むって手もありますから。同じストーリーを3つの視点を変えてという考え方で、楽しんで欲しいです。
――では、最後にプレイヤーならびに、シリーズのファンに向けてのメッセージをお願いします。
金親:メインキャラクターの3人を操作できるようになっているので、3倍楽しいゲームだと思います。PS2版独自要素の「EyeToy(TM)」ミニゲームは、大きく動いて派手にプレイしてください。GC版とGBA版はそれぞれ違うゲームになっていますし、リンクするという独自要素も是非試してほしいですね。
――ありがとうございました。


金親 晋太郎 氏
(かなおや しんたろう)
クリス・ギル 氏
  『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の制作チームリーダー。英国の開発スタジオで本シリーズの制作に携わっており、前作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』も手がけている。

ハリー・ポッターと
アズカバンの囚人
画面写真
■メーカー:エレクトロニック・アーツ
■対応機種:PS2/GC/GBA
■発売日:2004年6月26日
■価格:PS2版/GC版 7,140円
 GBA版 5,040円
■関連リンク:公式サイトエレクトロニック・アーツ
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