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■ インタビュー ■

目指したのは作り込まれた「一発ネタゲーム」!

「東京ゲームショウ2006」で発表されて以来、タッチペンを使って魔女を調べまくるという「魔女チェックモード」で話題になった『どきどき魔女神判!』。電撃オンラインでは、本作開発に至る経緯や魅力について、プロデューサーの松下氏にインタビューを行った。プロデューサー自身が語る本作への意気込みをぜひ感じてみてほしい!

しっかりと作りこまれた「一発ネタゲーム」

――この作品はどういった経緯で作られることになったのでしょうか?

松下佳靖氏(以下松下、敬称略):もともとは、まったく違う内容のゲームでした。魔女には普段使ってるものとは違う「本当の名前」というものがあり、魔女はその名前をかくしているという設定で、誘導尋問などをしながら本当の名前を当てるという内容だったんです。ですが、この作品を「DSで作る」という話になり、DSのタッチパネルを利用すると面白いんじゃないかと思って、女の子にタッチして「魔女の紋章」を探し出すという「魔女チェックモード」が入るようになりました。一方で、「本当の名前を探す」という設定は分かりにくいのでなくし、「タッチすると何かリアクションが起きる」というのを1つのコンセプトとして企画を考え直した結果、今のような形になりました。

──タイトルが『どきどき魔女裁判!』から『どきどき魔女神判!』に変わったのは何故ですか?

松下:もともとの企画は、かなり過激な内容だったので、仮称という前提で「魔女裁判」という言葉を使ったのですが、今作の内容にはあわないので、よりストーリーに即した「魔女神判」というタイトルになりました。あとは、既成の言葉ではなく造語にしたかったということもありますね。

──対象年齢が15歳以上ということで、DS用ソフトの中ではかなり高いと思うのですが、それも最初の企画の名残なんでしょうか?

松下:むしろ、「面白くなるのであれば、少しくらい対象年齢が上がってもかまわない(笑)」と思って突き進んでいった結果ですね。そういった意味では、システム面も充実しています。ゲームショウで発表されて以来、「魔女チェックモード」ばかりが有名になっていて、「一発ネタゲーム」なんだろうと思われていると思いますが、私が好きな一発ネタゲームというのは、ちゃんと作りこまれているゲームなんです。例えばタッチしたときの反応が少しでも遅れたり、画面の切り替わりがモタモタするというのはAVGとして失格だと思っているので、『どきどき魔女神判!』でもそういう部分はかなり開発の人にがんばってもらいました。シナリオについても、仕様や企画で縛ってしまうと面白いものができなくなってしまうので、ある程度作った後は、キャラクターの性格や基本的な設定が変わらない範囲で、シナリオライターさんやスクリプターさんが面白いと思ったものを集めて、みんなでゲームを作っていきました。例えばタッチの反応に関して言えば、「こういうキャラクターならこういう反応をするだろう」とみんなが考えてきたアイデアを集めていったので、私から見ても意外な反応があり、メチャメチャ面白くなっていると思います。

「魔女チェックモード」だけのゲームじゃない!
1本のゲームとしても遊べる「魔法バトル」

──「魔法バトル」についてはいかがでしょうか?

松下:いろいろなバージョンを考えていたのですが、魔女と出会ったらその画面のままバトルに移行するというのは、最初から決めていました。例えば、横向きのバトルシーンだと画面が切り替わってしまい、ミニゲームをしているような感じになってしまうので、それは絶対避けたかったです。

──すると「魔法バトル」はアドベンチャーの延長にあるということですか。

松下:そうですね。AVGでゲームの途中で「~を解け」みたいなミニゲームが始まるのは、個人的に興ざめしてしまうので、直前の画面からスライドして、プレイヤーが“アクジ”視点のまま移行できるように気を使いました。企画のすりあわせがきちんとできていないと実現できないので、戦闘システムについては企画の一番最初から考えていました。戦闘に限った話ではないのですが、最初から企画は練りこんであったので、途中で変更されたものはありません。妄想のような企画をきれいにまとめられたなとも思います(笑)。

──「魔法バトル」で注目してもらいたいことなどはありますか?

松下:撃ったミサイルが地面に落ちたときも、そのまま消えるかと思ったらバウンドして敵にぶつかるなど、計算式が凝っているんです。バトルシーンだけでも1本のゲームとして遊べるように作ってあるので、楽しみにしていてください。ゲームが進むといろいろなキャラクターの能力が使えるので、どのキャラクターにどの能力が効くかを試してみるのも楽しいと思います。

ちょっとエッチな漫画を読むときのドキドキ感を!

──個性的なキャラクターが登場しますが、お気に入りは誰ですか?

松下:私としては"ルル"がうまく作れたんじゃないかと思います。性格が悪いので嫌われるかと思ったのですが、とりあえず開発スタッフからの評判がよかったので安心しました。"アクジ"はあまりしゃべらないので、ベラベラしゃべってストーリーの進行役を務めてくれますし、"ルル"と"まほ"は当初の設定が強く残っているので、思い入れも強かったので。藤ノ宮(※1)も"ルル"に関しては「毒があるけどかわいいという部分がうまく出せた」と言っていました。"まほ"も初めに貧乳の子をクリックしても楽しくないと思ったので(笑)、巨乳になりました。あとは私がレトロゲームマニアなので、"れんげ"にはそういう設定を付けました。既存の作品だと、「レトロゲームマニア」といっても中途半端なものも多かったんですよ。でも"れんげ"は超マニアックです。13歳なのに『サスケVSコマンダー』(※2)の話をしたり、社員でも知らないようなネタまでしゃべります(笑)。

──「知ってる人間だけついて来い」みたいな感じですか(笑)。

松下:わりと上の年代の人にも楽しんでほしいというのもありますので、そういう仕込みも用意してあります。少年向けコミック誌のちょっとエッチな漫画を読むときのドキドキ感が出ているタイトルなので、30代くらいの人にも「あの気持ち」を思い出していただければなと思います。そういうドキドキ感を出せるか心配だったんですが、実際にプレイしてみたら自分でもドキドキしたので(笑)、いい感じにできたと思います。

──中学生がプレイしたら、忘れられないタイトルになりそうですね(笑)。

松下:友だちみんなでこのゲームを遊んだ後、いい歳になってからまた会ったときに「そういえば『どきどき魔女神判!』ってあったよな」みたいな話になったらいいなと思います。だから、実際にお店に行って、初めてエッチな本を買うときのようなめちゃくちゃ恥ずかしい思いをして買ってほしいんです(笑)。そういう気持ちを忘れてしまった人も、そのころのピュアな心を思い出して遊んでください。

──最後に、ユーザーにメッセージをお願いします。

松下:まじめに作ったので、ネタとして興味を持った方だけでなく、ちゃんとゲームとして楽しみたいという方にもオススメできます。それから、クリックするとちゃんと反応が返ってくるゲームなので、いろいろな場所をクリックしてみてほしいですね。ストーリーをなぞるだけならそれほど時間はかからないと思いますが、寄り道がたくさんできるゲームなので、いろいろなキャラクターと話をしたり反応を見たりして、好きなだけ遊んでみてほしいです。

──ありがとうございました

 

プロデューサー
松下佳靖氏
YOSHIYASU MATSUSHITA

松下佳靖氏

SNKプレイモア コンテンツ事業本部 ソフト開発グループ。
『どきどき魔女神判!』のプロデューサー。他にも『ティンクルスタースプライツ』などを手がけた。

どきどき魔女神判!

『どきどき魔女神判!』

■メーカー:SNKプレイモア
■対応機種:DS
■ジャンル:AVG
■発売日:2007年7月5日
■価格:5,040円(税込)
■関連サイト:公式サイトSNKプレイモア
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【用語解説】

※1 藤ノ宮
藤ノ宮深森。本作のキャラクターデザインを担当。代表作は『ティンクルスタースプライツ』など。

※2 『サスケVSコマンダー』1980年に発表された、忍者をテーマとしたアミューズメント施設向けシューティングゲーム。松下氏いわく「誰も知らないですよね。でも“れんげ”は知ってるんです。13歳なのに(笑)」。