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■ インタビュー ■

最大100人が多彩なアクションや戦略を駆使して戦う戦争システムが、MMOファンから圧倒的な支持を受ける『ファンタジーアース ゼロ』。運営状況や今後を運営&開発スタッフに直撃!

スクウェア・エニックスのPlayOnlineタイトルとしてサービスを開始した『ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン』が、昨年末に運営をゲームポットへ移管。タイトルを『ファンタジーアース ゼロ』へと変更し、基本プレイ料金が無料になった。サービス開始からわずか3ヶ月で会員登録数が20万人を突破し、今、最も勢いのあるオンラインゲームの1本。敵味方最大100人(50対50)が入り乱れて戦うMMOアクションRPG×ストラテジーという新境地を開拓した本作の魅力を改めて紹介するとともに、今後の展開について運営&開発スタッフに語ってもらったので紹介しよう。

『ファンタジーアースゼロ』

『ファンタジーアース ゼロ』

  戦乱の大地メルファリアを舞台に、プレイヤーは5カ国のいずれかに所属し、世界の覇権をかけた終わりなき戦いに身を投じることになる。本作最大の特徴が、最大100人のプレイヤーが繰り広げる大規模戦争だ。プレイヤーは、ウォリアー、スカウト、ソーサラーの3クラスのなかから1つを選択。各クラスが得意とする多彩なスキルや、ジャンプ、サイドステップなどのアクションを駆使して戦っていく。敵軍の進攻を妨害する建築物を建設したり、強力な能力を持つ召喚モンスターに変身して戦うことも可能で、戦略性も高い。戦争に負けても経験値を失うといったデメリットがないので、気軽にプレイできる。

運営移管後のサービスと現状の仕様について

――開発元のマルチタームさんへ質問です。運営移管から5カ月が経過しますが、運営を行っているゲームポットさんの印象をお聞かせください。

鈴木康仁氏(以下、鈴木。敬称略):運営がゲームポットさんに変わってから、やはりスピード感が違いますね。オンラインのイベント展開を始め、毎週1回行われるゲームのアップデートによって、現場が提供したい内容をよりダイレクトにユーザーさんにお届けできるようになりました。また、ユーザーさんの反響もダイレクトに返ってくるようになったので、うれしいですね。

――アイテム課金については、どのようにお考えですか?

鈴木:そうですね。以前は、パッケージ販売という部分でユーザーさんを限定していましたが、基本プレイを無料にしたことでユーザーさんに提供しやすくなったと思います。

――ここからは、ゲームポット運営チームのお二人にも加わっていただきます。課金で購入したエンチャントアイテムで強化したウォリアーや、遠距離攻撃が強く思えますが、現在の各クラスバランスについてどう思われますか?

前島一仁氏(以下:前島。敬称略):ユーザーさんも危惧されているように、エンチャントしたウォリアーや、ジャッジメントレイなどの遠距離魔法が強いというのは、もちろん認識しています。ただし、これらのバランス調整は非常に難しいため、テストサーバーを一般ユーザーに開放し、大勢の参加者の意見を参考にしながら対応したいと考えております。そういった事情で、現段階では公開サーバーでの調整を行っていません。

――テストサーバーの開放は、どれくらいの間隔で実施されますか?

前島:不定期ですが、月に1~2回は開放したいと思っています。とくにスキル調整や新しい要素が完成した際に、そのつどテストを行い参加者を募集する予定です。ユーザーさんと直接、お話をきけるチャンスなのでいろいろなご意見をお聞きしたいですね。

――そういった部分で、テストサーバーの開放が今後いかされてきそうですね。では、魅力的な課金アイテムが増えるなか、リング(戦争で獲得できる貨幣)を使用する用途が減ったように思えますが、改善策を考えていますか?

鈴木:確かにリングの使い道が少ないので、今後はリングを大量に消費して購入できる新デザインの装備品を追加する予定です。

前島:ほかには、カジノでリングを消費して遊べる施設を用意するなどして、ゴールド、リング、オーブ、それぞれの通貨に意味を持たせたいと考えています。

――課金アイテムで、現状の武器や防具の性能をこえる装備品は登場しますか?

前島:その予定はありません。もし、出すとしたら、課金アイテムだけではなく、ゴールド(基本通貨)とドロップアイテムでも、同性能を用意した上で出します。無課金でも時間をかければ、課金と同じ性能の装備を入手できるようにしたいので。

――現在人気の課金アイテムを教えてください。

前島:おかげさまで回復アイテムやエンチャントアイテムが好評です。武器では、いまだに両手武器の「デスサイズ」(巨大鎌)が1番人気ですね。防具では、とくに頭装備が好評です。とくにウォリアーは、フルフェイス系が多いので、リボンなどのかわいい頭装備が女性に人気です。

今後実装予定の新要素について直撃!

――今後のアップデートで追加される新要素について、まずは5月の内容をお聞かせください。

鈴木:5月のアップデートで大きな要素としては、称号とランク、部隊服2、訓練所の実装と、テストサーバーの解放を予定しています。まずは称号ですが、戦争で特定の条件を満たすと獲得でき、種類も豊富に用意しています。

――例えば、クリスタルをたくさん採取することでクリ掘り名人の称号を獲得できる、といった具合ですね。

鈴木:そうですね。一定のランク以上である条件を満たすと獲得できる称号もあります。また、自分の好きな称号でいられるように、特定のNPCに話しかけることで、称号を固定できます。ランクに関しては、戦争で勝利することで上昇することぐらいしか、現段階では発表できません。部隊服2は、すでに完成しており、現在は入手方法や性能の最終調整に入っています。

木崎昌幸氏(以下、木崎。敬称略):訓練場は、自国のプレイヤー同士で戦争を楽しめる場所で、各国の首都に設置します。基本的なルールは通常の戦争を踏襲していますが、参加人数の変更など一部のルールをプレイヤーが設定できます。また、戦闘後に低レベルのキャラクターは経験値をもらえるほか、訓練所専用に新しいマップも作っています。

和賀潤氏(以下、和賀。敬称略):5月中旬に開放するテストサーバーでは、すでに公式サイトにて発表していますが、新建築「サイドオベリスク(仮称)」とクリスタルの大・中・小のテスト、スキル調整などを予定しています。サイドオベリスクは、オベリスクの小さいバージョンで支配領域に関係なく建築することができます。

――それでは、6月以降のアップデート内容についてお聞かせください。

鈴木:6月末にカジノ島を実装します。また、これまでカジノ島と呼んでいましたが、正式名称がヴィネル島に決定しました。街の各地にNPCが配置されており、アイテムや装備品の購入もできますよ。もちろん、ヴィネル島にしかない施設、カジノと闘技場は公開用テストサーバーに実装して、ユーザーさんに体験してもらう予定です。

木崎:闘技場は、通常の戦争とは異なるルールで遊べます。闘技場用にも新しいマップを作っていますよ。

――それでは、ユーザーさんがもっとも注目している上位クラスについてお聞かせください。

鈴木:はい。これまで上位クラスと呼んでいましたが、完全な新クラスという扱いになりました。というのも、上位クラスと言うと現状の3クラスを強化したクラス、といったイメージが強いと思います。そうではなく、戦場での役割や使用スキルが3クラスとはまったく異なることから、新クラスという位置づけに変更しました。

――新クラスの種類やスキルなどの特徴を公開できる範囲でかまいませんので教えてください。

鈴木:新クラスは、攻撃特化タイプ、罠を設置するタイプ、味方の補助を行うタイプの3タイプを想定しています。スキルに関しては、9割がまったく新しいものになり、一部、現状のスキルをおり交ぜる形になります。まずは攻撃特化タイプですが、特定の攻撃スキルを連続で使うことで、特殊行動が可能です。これだけ聞くと強そうに思えますが、エンダーペインを使用できないため、敵から攻撃を受けると特殊行動が失敗するといった、弱点もあります。罠を設置するタイプは、戦場にワナをしかけることで、前線のコントロールを行えるような役割を想定しています。味方の補助を行うタイプは一定時間、自分の周囲にいる仲間の能力を強化したり、周囲の敵を弱体化することができます。ただし、効果時間が非常に短いため、前線で戦っている仲間と行動をともにする必要があります。また、防御力は非常に低く、やられやすいです。

――味方の補助を行うタイプは、HPを回復できるスキルを使用できますか?

前島:HPを回復するスキルは用意しない予定です。また、新クラスの実装と同時に、既存の3クラスにも新しいスキルを追加します。新クラスを含む全6クラスは、それぞれ戦闘スタイルが異なるため、既存の3クラスを引き続き使う人も多いと思います。そういった人たちに楽しんでもらえるように、3クラスにも新スキルを追加します。

――現在、使用している自分のキャラクターを、新クラスに変えることは可能ですか?

前島:じつは、クラスチェンジ機能を実装する予定なので、1キャラクターで全クラスを遊べるようになります。当然、1キャラクターで全クラスの装備品を所持することになるため、バンクの拡張も行います。期間限定でしか入手できないイベントアイテムも増えているので、全部残せるようにしたいですね。

――新クラスにクラスチェンジするための条件はありますか?

前島:新クラスに、すぐにチェンジできるわけではありません。というのも、新クラスはいずれもテクニカルなものになるため、今の3クラスをある程度使いこなせないと、うまく扱えないでしょう。そういったことも含め、新クラスになるための条件を検討しています。但し、厳しい条件にする予定は今のところありません。

――ズバリ、新クラスは年内に実装されますか?

鈴木:現段階では、年内を目標にしています。

――それは楽しみですね。それでは、新たな召喚モンスターについては検討されていますか?

前島:現在の召喚モンスターがもっと活躍できるように、まずはバランス調整を優先したいですね。

――マップの改変も引き続き実施する予定ですか?

鈴木:現在は、闘技場や訓練場用の新マップを優先していますが、マップの改変も引き続き行う予定です。もちろん、クリスタルやキャッスルの配置替えも行います。

――新しいBGMを検討していますか?

鈴木:『ザ リング オブ ドミニオン』の頃は、『ファイナルファンタジータクティクス』などの作曲を手がけた崎元さんにお願いしていました。BGMを追加するときは、そのイメージをくずさないようにしたいと思っています。

――クライアント依存以外でラグ対策を考えていますか?

木崎:クライアントに頼っている分が強いので軽量化を検討しています。具体的には、キャラクターのテクスチャを消して黒く表示したり、全員が装備品をつけていない状態で動かしたりと、ラグの調査を続けています。

――バックストーリーに関連したクエストの実装予定はありますか?

鈴木:ヴィネル島を舞台に、ストーリーの関連性がある連続クエストを考えています。複数のクエストをクリアしていくことで、バックグラウンドに関わるストーリーを楽しめます。

――そのほかの新要素は何か検討していますか?

前島:ユーザーさんから要望の多いものを優先して検討していますが、実装に時間がかかるものと、そうでないものがありますので、そのバランスを見て調整しています。4月のアップデートで追加した軍団範囲チャットやログの行数設定機能など、比較的要望があり、実装が容易なものに関しましては、優先して追加、修正をします。

オンライン&オフラインイベントについて

――第1回デザインコンテンストが、10日間ぐらいで400通ぐらいの応募がきていて好評ですね。

前島:そうですね、ありがたいことです。このままのスペースで行くと、膨大な量になりますが、1つ1つじっくり審査させていただきます。

鈴木:優秀な作品は、実際にアイテムとしてゲーム内に実装する予定です。ただし、マントなどヒラヒラする部分に関しては、モデルの担当と相談して若干変更する場合もありますが、できる限り忠実に再現したいと思います。

――『ザ リング オブ ドミニオン』の頃、巨大ボスが登場するイベントがありましたが、そういったイベントは実施されますか?

鈴木:巨大モンスターの行動パターンなどを改良したのち、ゲーム内イベントで出したいと考えています。また、戦争システムが充実してきたら通常のモンスターを強化する方向で進めています。

――一定時間内で領土を奪い合う「エスセティア大陸争奪戦」のようなイベントも実施されますか?

前島:3ヶ月周期で3つのイベントをまわせていければなと思います。8月からは闘技場のイベントも加わりますので、夏はイベント三昧になりますよ。闘技場のイベントは、毎月リーグ大会を実施し、12月に決勝戦を行う予定です。サーバー間を越えた王座決定戦や、ネットカフェでの大会も企画する予定です。

――それぞれの立場から今後の意気込みなど、読者に向けてコメントをお願いします。

鈴木:皆様のおかげで、『FEZ』は順調に成長しております。もちろん、今後も進化を続けますので、応援のほどよろしくお願いします。また、開発スタッフを募集していますので、「自分なら『FEZ』をもっとおもしろくできる!」という、血気盛んな人をお待ちしております!

木崎:ユーザーさんの皆様に楽しんでいただけるように、これからも闘技場などの大きな仕様を実装していきますので、よろしくお願いします。

前島:ユーザーさんからいただいたご意見やご要望のメールは、すべて目を通していますので、どんどん送ってください。また、安心してゲームを楽しんでもらうために、更新レポートやゲーム外でのサポートなどもやっていますので、『FEZ』未体験の方もぜひプレイしてみてください。今後も『FEZ』を長く続けたいと思いますので、よろしくお願いします。

和賀:皆さんと一緒に楽しめるようなイベントをどんどん企画したいと思います。また、GMとして積極的にログインしてユーザーさんと触れ合う機会を作っていきたいですね。そこでいただいたご要望なども開発にまわしていますので、どんどん話しかけてください。

――お忙しい中ありがとうございました。

前島一仁 氏
KAZUHITO MAEJIMA

ゲームポット エンタテインメント事業本部 オンラインゲーム事業グループマネージャー。本作ではプロデューサーを努める。

和賀潤 氏
JUN WAGA

ゲームポット エンタテインメント事業本部 運営チーム企画担当。また、GMも担当しておりゲーム内でも頻繁に活動している。

鈴木康仁 氏
YASUHITO SUZUKI

マルチターム ネットワークゲーム開発部 副部長。『ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン』の立ち上げ時から開発に携わっており、『ゼロ』ではディレクターを務める。

木崎昌幸 氏
MASAYUKI KIZAKI

マルチターム ネットワーク開発部。本作のプランナーを担当し、クエストやチュートリアル戦場の仕様作成、最近は闘技場を制作中。

ファンタジーアース ゼロ

『ファンタジーアース ゼロ』

■メーカー:運営ゲームポット/開発マルチターム
■対応機種:PC
■ジャンル:MMOアクションRPG×ストラテジー
■発売日:オープンサービス実施中
■利用料金:基本プレイ料金無料、一部アイテム課金
■関連サイト:公式サイト/ゲームポット
■電撃OnlineGames Webブログ「DOGの『FEZ』プレイ日記」

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