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DENGEKI SCHOOL MAGAZINE
クリエイターインタビュー
「知らない」ということは自分にとって大きな損失です
渡辺祐介 氏広告業からゲーム業へ
――まず最初に、渡辺さんがゲーム業界に入ったきっかけを教えてください。
渡辺祐介氏(以下、敬称略):僕は現在の仕事をする前に、広告のグラフィックデザイナーをしていました。と同時に自分のデザイナーとしてのフィールドを広げるため、キャラクターや物体など、さまざまなデザインを行えるゲームの仕事にも興味を持っていたんです。あるとき、たまたまSCEの人材募集記事を見て、いい機会だからと応募したところ、そのまま採用されたというのがきっかけですね。それまではまだ、ゲームを本職にしようとは全然思っていませんでした。
――SCEに入社されてから、どのようなタイトルに関わってきたのでしょうか?
渡辺:まずはPSの初代『サルゲッチュ』ですね。仕事を始めてすぐに、ステージのメインデザインをまかされました。右も左もわからないなか、制作ツールの使用法を勉強しながら作業していたことを、よく覚えています。次にかかわったのがPS2の『チェキッTV』という、ちょっと変わった作品で、携帯電話のiモードとPS2をつなげる作品でした。配信されるニュースやユーザーへのアンケートをダウンロードすると、それらをキャラクターたちがおもしろおかしく伝えてくれるという。この作品で初めて、ゲーム内のキャラクターのデザインを担当しました。そのときにとてもショックなことがあったのです。僕がカワイイキャラクターを50体ほどひたすら描き、そのなかでどれが一番カワイイと思うか、ユーザーさんにアンケートをしました。キャラクターのなかには、僕の思い入れが強いヤツから、数合わせのため短時間で描いたようなヤツまでいたのです。もちろん僕自身としては、最も思い入れの強いヤツが当然一番人気になると思っていました。しかし結果をみると、最後に数合わせで描いたキャラクターが一番だったんです。これは本当にショックで、同時に勉強にもなりました。市場と自分の価値観の間にある溝の深さを痛感させられたのです。その後、PS2の『サルアイトーイ』という、EyeToyカメラを使うゲームにアートディレクターとして参加している間に、PS3で『EOJ』の企画を立ち上げることになりました。
――そのタイミングで『EOJ』の企画を立ち上げることになった経緯をお聞かせください。
↑時間を気にせず全世界の人たちといつでもオンライン対戦が可能。『EOJ』の大きな魅力の1つだ。
渡辺:『サルアイトーイ』の開発中、「CyberCode(サイバーコード)」のデモを見る機会があったのですが、「この技術を生かしてゲームを作りたい」と強く感銘を受けました。そこで『サルアイトーイ』の制作と並行して、「CyberCode」を使うゲームの企画に挑戦してみようと決心しました。もちろんすぐに現在の『EOJ』の形になったわけではなく、たくさんの企画が生まれては消えていきました。カードを使うアイデア自体は変わりませんが、当時は「デュエルマスターズ」や「遊戯王」の全盛期だったこともあり、最初は子ども向けの企画として動いていました。例えば、今よりもクリーチャーのデザインがカワイイ感じだったり、ストーリーモードを作り、4マスぶんの大きさを持つボスを登場させたりといった感じに。この企画を僕の上司に相談したところ、「どうせやるなら世界に通用するカードゲームにしよう」と言われたんです。そのひとことを聞いてすぐにシアトルへ飛び、世界的に有名なトレーディングカードゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」を制作しているWizards of the Coast社へ『EOJ』を売り込みました。そこから全世界に向けた現在の『EOJ』の形に近づいていくことになりました。またPS3の開発環境について、すごく早い段階から話を聞くことができたのも大きかったです。手の上のカードからモンスターが飛び出るという実写との融合を考え、よりリアリティのあるグラフィックを実現できるPS3で開発したほうがよいだろうということになりました。その段階で、最初に新しいハードを購入していただけるユーザーはある程度年齢層が高いだろうと判断し、現在の少しシリアスな世界観に落ち着きました。
――『EOJ』を作る前から、トレーディングカードゲームのファンだったのでしょうか?
渡辺:いや、じつは遊んだことはなかったです。しかしさまざまなアニメやコミックで「カードからクリーチャーが出現する」という世界観は数多く表現されていました。だから頭の中に世界観のイメージはあったんです。それで「CyberCode」を最大限に活用できるのはトレーディングカードゲームではないかと、すぐにたどり着いたのだと思います。それから実際にいろいろなトレーディングカードゲームをプレイして、そのおもしろさに衝撃を覚えました。本当にビックリしましたね。
――渡辺さんは現在、『EOJ』でどのような仕事を行っているのでしょうか?
渡辺:僕は今、シニアゲームデザイナーという肩書きです。わかりやすくいえばディレクター職ですね。ただ『EOJ』に限っては、企画立案から、世界観設定、グラフィックデザインなど、ほぼ全般的に監修という立場でかかわっています。やはりすべてを監修するほうが、自分のやりたいことを表現できるので魅力的です。

↑PLAYSTATION EyeというUSB接続カメラと、実際のカードを使用して遊ぶ操作感は、新時代を感じさせてくれる。
多くのことに興味を持つ
――自身がクリエイターとして、常に心がけていることはなんでしょうか?
渡辺:たくさんあるのですが、すぐに思い浮かぶことは「どんなことにでも興味を持つ」ということですね。『EOJ』を開発することになって感じたのは、「知らない」ということが、自分にとっても会社にとっても非常に不利益であるということです。もちろん興味を持つだけでは話にならないので、興味を持ったことに対して自分なりにいろいろと感じることが大事だと思います。本当にトレーディングカードゲームとの出会いは衝撃的でしたね。遊ぶ前はトランプのようなイメージしかなかったのですよ。それで実際に遊んでみたら、ものすごくおもしろかったんです。すぐにハマりましたね。心がけていることといえばモチベーションの維持も大切です。1つのことを最後までやりとげるということです。これも『EOJ』の開発を通して感じたことですね。1からすべてに携わることは本当に大変でした。ゲームの開発にはだいたい2、3年は普通にかかります。その長い期間のなかで心が折れそうになることは山ほどあるんです(笑)。それを鉄の心で乗り切るには、先にあるビジョンを見据えて自分で目標を立て、モチベーションを維持してそれに向かっていくことが重要だと思います。

定期的に普段とは異なる環境に身を置くことは重要です ――今うかがったことを普段から実践するためには、クリエイターとしてどのようなことを意識しておけばよいのでしょうか。
渡辺:定期的に、普段の生活とはまったく異なる環境に自分を持っていく、というのはすごく重要だと思ってますね。僕自身もじつは茶道をやっているんですよ。休みの日の茶道で、普段の生活のさまざまなことがすべてが浄化されていますね。
――これからクリエイターを目指す人たちへアドバイスをお願いします。
渡辺:「あらゆる方面にアンテナを張れ」ということですね。よく言われることだとは思いますが、本当に重要なことです。そういう人が開発チーム内にいればすごく助かりますし、自分もそういう存在になりたいですよね。このことは、ゲーム業界に限らず重要なことだと思いますよ。あとは協調性ですね。ゲームは1人で作れないので。
――では最後に読者へのメッセージをお願いします。
渡辺:まだ『EOJ』をプレイされたことがない方は、ぜひ1度遊んでみてください。3×3マスという限られた空間で繰り広げられる戦いが無限に広がっていますから。きっとトリコになると思います。カードからクリーチャーが出現するという点も含めて、楽しんでいただきたいですね。『EOJ』は今後もまだまだ発展し、展開していくので、すでにプレイされている方たちは、対戦を通して腕を磨きながら期待して待っていてください。磨いた腕を披露する場も、用意したいと思っていますので。
『EOJ』の開発資料を公開!
渡辺氏が現在携わっている『EOJ』の開発資料を、少しだけ見せていただいた! 完成までの過程がよくわかるぞ。
前身となる企画書
数多く書かれた企画書の一部を紹介。名前や雰囲気が『EOJ』に残っているクリーチャーもすでに存在していた。
カードデザインの変遷…
最初は上の写真にある試作カードでプレイし、ルールを構築。「CyberCode(複数の黒い四角)」を含めたカードデザインは、下の写真のように変化していった。なお一番左のカードデザインは、裏面に「CyberCode」を示し、表にイラストや能力を描くというデザインだったようだ。
そして完成!
こうして『EOJ』は完成。渡辺氏は現在、第3弾『SET.3』を開発中だ。
『EOJ』の5月付けアップデートを渡辺氏が振り返る!!
5月29日に行われたアップデートでは、多くのユーザーが注目していた数枚のカードが能力修正されている。今回のアップデートについて、渡辺氏にうかがってみた。
更新内容1 宣教師関係の能力修正
同種族枚数制限で[宣教師]の種族は全体で5枚までしか入れられなくなりました。これが一番修正の効果としては大きいと思います。そして土と木の[宣教師]の、特殊能力発動タイミングを相手ターンに変更しました。[宣教師]の強さは発売前から制作チーム内でも話し合っていたのですが、『SET.2』から遊び始める初心者の方をフォローする意味で強いカードとして残していたのです。上級者の方は、おそらく使わないだろうと。ただ、それでもやりすぎましたね(笑)。もう少し早いタイミングでの修正を検討していたのですが、調整とPS3への実装に時間がかかってしまいました。
更新内容2 機巧戦艦の能力修正
これもかなり暴れました(笑)。修正後は『機巧戦艦』が機巧フィールド配置中に【迎撃】が発動し、それ以外のときに【結界】が発動します。発売直後から検討を重ね、ユーザーさんの意見も踏まえたうえで、この修正となりました。今回修正されたこれらのカードは使えなくなったわけではありませんし、ほかにも魅力のあるカードがまだまだあります。今後も最強を目指し新しいデッキコンセプトを研究していただければと思います。
更新内容3 切断対応&各種システム周り
オンライン対戦時、切断された側のプレイヤーに名声とランクポイントが入ります。またバトルアリーナで詳細なアニメ設定が可能になりました。
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