スペシャルインタビュー
スペシャルインタビュー
新しいアイデアを持つクリエイターを発掘するオーディション企画「ゲームやろうぜ!」。未来のゲームクリエイターを目指す電プレの読者に向け、この主催者でもある桐田氏にお話をうかがった。
■アイデアが生まれる瞬間に立ち会えるのが仕事の醍醐味

  ↑発想は『バイトヘル2000』制作後の雑談のなかから生まれたものだとか。
──まず、これまでたずさわったタイトルにどのような形で参加していたか教えてください。
長井氏(以下敬称略):作品によって立場は異なりますが、基本的にはディレクターやアソシエイトプロデューサーとして関わっています。ゲームの大きな方向付けですとか、人員構成を決めたり、あとはプロモーションや、社内の人との折衝といった、マネジメントのようなことをしつつ、開発現場のほうも見ていました。ボクはプロデューサーより現場に近い形で仕事をしています。ぶっちゃけて言うと、データの打ち込みなんかもしてるので、なんでもやっているわけですが(笑)、そんな立場ですね。
──仕事の醍醐味や難しさを感じるところは?
長井:正直、難しいことしかないです(笑)。人と人の間に挟まることが多いので、そういう中間管理職的な部分はとくに難しいです。開発現場から上がってくる熱い思いを受け止めてどう商品にまとめていくかも難しい部分です。逆に、おもしろいところであったりもします。ボクは人と会って話をするのが好きなので、そういう会話から、新しいアイデアがポンポン出てくる感じなんです。スタッフの方と話しをしていて、最初に要求していたよりもさらにいいものがあがってきたときなんかも醍醐味を感じる1つです。今よりもうちょっと上の立場になると、意見がアイデアにまとまる瞬間を見る必要はなくて、出来上がったアイデアを見て「いいんじゃない?」という感じになってきます。上の人はそれはそれでいろいろと大変なんですが…。
──企画会議のような、アイデアを吸い上げていくような場の雰囲気はどんな感じですか?
長井:アイデア出しの時は、「会議」という雰囲気とは違って「ああいうことがおもしろいよ」的な意見を出して、それをプログラマーと相談して、できるできないを判断していく感じですね。『バイトヘル』のときは「何十時間会議」っていうのが2週に1回くらいあってものすごく大変でした。
──何十時間もやっていると当然煮詰まりますよね?
長井:それは煮詰まりますよ! ほんとにもう(笑)。
「ひよこ鑑定」でひよこの位置が真ん中か左側かで、3時間くらい話してるんですから(笑)。「え~それは違うんじゃないか」とか言ったりして。

■広い視野でアイデアを集めゲーム的な視点でまとめる

──チーム内でユニークなアイデアを出すコツは?
長井:なんでしょうねぇ……。ボクなんかだと、仕事をサボってネットなんかを見ているのがコツになるのかな(笑)。趣味を広く持つのが大事かと思いますね。とくに『バイトヘル』や『ちょっとショット』だと、広く浅くという感じが向いてますね。もちろん最初からゲームになると思って考えているわけじゃないですけれど、世の中のいろんな事象に興味をもつことで、「ひよこ飼うのってゲームになるよね」という話が出てくるんだと思います。私の見ているチームには、かなりのゲーム好きももちろんいるんですけど、ゲームだけ詳しい、という人は全然いないんですよ。ゲームは好きだけれど、それだけにならないようにしておくと、アイデアは出やすくなるかなと思います。逆にゲームにある程度詳しくないと、アイデアがいくら出たとしても「攻撃を受けたときにこういう風に倒れると見ていてわかりやすい」みたいな、ゲーム文法的な視点が抜けちゃうので困るんですが。『バイトヘル』の件で言うと、ディレクターのピエール瀧さんは、アーティストとしていろんなものを見てきてるんですけど、同時にゲームのほうも30年やっていて、ゲームの文法というものもわかっている人でした。ぼくらも、ゲーム制作のベテランをそろえていたので、ゲームの文法を押さえつつ話せたのはよかったなと思います。


■ゲーム作りに欠かせないのはプレイヤーの視点を意識すること

  ↑豊富な種類のミニゲームやツールが詰まったバラエティソフト。「バイト」と称するミニゲームをプレイ、稼いだお金でガチャガチャをまわせば、新たなバイトやツールが入手できる。
──長井さんのモノづくりに影響を与えたものは?
長井:大学生のころはマンガを描いていて、社会人になってからは、女子プロレスにはまってみたりもしてました。最近では、映画の「仁義なき戦い」シリーズをよく見てますね。なんというか、私がゲーム業界に入ったころの、混沌としたパワーを強く感じますね。ゲームで言うと、最近ではPS2の『龍が如く』(セガ)です。テレビゲームって意外と制約が多くて、表現できないものが多いエンターテイメントだったりするんです。それをここまで描ききった名越さん(総合プロデューサーの名越稔洋氏)はすごく尊敬しています。あとは『真・三國無双』シリーズ(コーエー)ですね。大量の敵を一気になぎ倒すといった、そう快感は当然スゴい。それに加えてこのゲームがスゴいなと思うのは、ボクのようなヌルいユーザーにもあきらめさせずに何度もプレイさせるための工夫が、ゲームの隅々まで徹底して行き渡っている部分です。いいデザインだなと思ってプレイしてました。
──それでは、クリエイターとして必要なものとは?
長井:そもそも、商売だっていうことを忘れないことだと思います。お客さんがプレイしてナンボのものなんだから、その相手を見ずに作ることは自己満足になってしまう。会社に入って作るのであれば、ユーザーさんへの意識がないと残っていけないと思います。ただし、商売っ気だけではマズいのでその辺のバランスをとることも、もちろん大事ですね。
──「相手を見て作る」ということは、学校などで勉強している段階から意識しておくべきものですか?
長井:そうですね。むしろ、勉強している段階だからその点を意識してほしいです。入社してから意識するのでは遅いくらい。お客を意識してものを作れる人のほうが、絶対戦力になると思います。例えば「これは操作性を犠牲にしてまで入れる必要があるものなのか?」という視点でモノを考えることは、学生のころから持っていてほしい。アートとエンターテイメントの違いはその点だと思います。さらに言えば、それって「自分を甘えさせない」ことにも通じると思うんです。例えば『バイトヘル』の時は読み込み時間をどこまで減らせるか、という努力を死ぬ思いでやったんですけれど、途中で「この辺でいいかな」って思うことがあるんです。そこでさらに先に進めるのは、読み込み時間の短縮がプレイヤーにとって大事なんだという意識がプログラマーにあるからだと思うんですよ。
──最後に『ちょっとショット』の魅力とファンへのメッセージをひと言お願いします。
長井:動画を編集するソフトは、世間一般ではツールに分類されますが、私のなかでは「動画をいじって、みんなで見ている時は遊びでしょ?」という感覚です。遊びをゲームというワクのなかで限定しないで、新しい遊びを提供する、というところを『ちょっとショット』は目指しています。ゲーム業界を目指す人は、このソフトでクリエイター魂を見せてほしいですね(笑)。


(C)Sony Computer Entertainment Inc. (C)2005 Sony Computer Entertainment Inc.
ゲームメーカーの本音をお届け
株式会社テクモをへてSCEに入社。PS2ソフト『幸福操作官』やPSPソフト『バイトヘル2000』の開発に、ディレクターやアソシエイトプロデューサーとしてたずさわる。最新作は、PSPカメラ付属の編集ソフト『ちょっとショットEdit』。
 PSP用カメラと付属の画像編集ソフト『ちょっとショットEdit』のセットで登場する『ちょっとショット』。カメラを使って撮影した動画や画像をその場で編集可能で、特殊効果で画像を加工するのはもちろんのこと、テロップやBGMなどの効果をつけることも簡単にできるのが魅力。テロップの文字やエフェクト、効果音などの素材も豊富に用意されている。
 動画は1回に15秒間の録画が可能で、間欠撮影やコマ撮りもOK。動画データをAVI形式に変換してPCで鑑賞することもできる。
↑テロップをモザイク処理で、ワイドショー風の証言映像もこのとおり!
 静止画は、フレーム撮影やタイマー撮影のほか、音に反応してシャッターを切る「番犬撮影」機能も用意されている。
↑文字を入れてグリーティングカードを作ることも簡単にできる。
 カメラは本体上のUSB端子に接続して使用。両脇のネジでしっかり固定できる。有効画素数は131万画素。専用のケースも同梱されている。
(C)Media Works 2000-
インフォメーションお問い合わせプライバシーポリシーRSS