クリエイターインタビュー:(株)カプコン 松川美苗さん

お話を聞いた人→『逆転裁判4』プロデューサー松川美苗(まつかわみなえ)さん

 4月12日に発売した『逆転裁判4』のプロデューサー・松川美苗さん。「同じ職場に1年以上いたことがないんです(笑)」と語る彼女がカプコンに入社し、ニンテンドーDS版『逆転裁判』シリーズを手掛けることまでの波乱万丈の人生とは……? ポジティブさはじける松川さんの明るい語り口に、会社でうまく渡り歩くヒケツを見た!!

逆転裁判4『逆転裁判4』
■メーカー:カプコン
■発売日:2007年4月12日
■ジャンル:AVG
■定価:通常版/5,040円(税込)
     :限定版/9,240円(税込
■関連サイト:公式サイトカプコン

クリエイターの生い立ちや趣味趣向を知れば、アイデアや発想のヒミツがわかっちゃうかも…!? ゲーム業界の第一線で活躍する敏腕クリエイターに、その華麗なる生き様について突撃取材。未来のクリエイター必見のインタビュー集。4月は『逆転裁判4』プロデューサーの松川美苗さん。

第1回 大学生時代に開花したゲーム好き

――まず子供の頃のお話をゲーム中心でお聞かせくださいませ。

松川美苗(以下松川、敬称略):1975年に大阪市内で生まれて、普通の4人家族(ご両親に妹さん)の家で育ちました。小学校も中学校も普通の公立でしたし、勉強がガチガチにできるわけでもありませんでしたね。で、ゲームと初めて出会ったのが小学4年生のときのファミコン。それを叔母に買ってもらうために苦心しました(笑)のが、私のゲームとの始めての接点ですね。そのとき、本体と一緒に買ってもらったのが『ドンキーコング(※1)』と……。名前を忘れちゃったんですけど、シューティングゲーム。シューティングゲームは全然ハマらなかったですね(笑)。そして、その次に絶対欲しかったのが、『スーパーマリオブラザーズ(※2)』。ちょうど物心ついた頃に、ファミコンブームがドッと火を噴いて、「やりたいなぁー」と思っていた小学生時代でした。でも、うちの家は割と厳しくて、「ゲームするんだったら勉強しなさい」と言われていて。20分ゲームするのなら20分勉強、ゲーム1時間なら同じ1時間勉強……。

――勉強とゲームの等価なんですね。

松川:そう、等価交換でいってたんですよ(笑)。『ドンキーコング』やるぐらいならよかったんですけど、『ドラゴンクエスト(※3)』とか始まると……。

――10時間以上勉強しないと!(笑)

松川:そうなんですよ。でも、小学生がそんなにも勉強するはずもないので、我が母親ながらすごいシステムを考えたなと。まだ当時はゲームに対する影響とかが、それほど話題になっていた時代でもなかったのに。まぁとにかく母親に見張られながら小学生時代はゲームと勉強をしてましたね。

――中学時代はやはりゲームと勉強に明け暮れる日々で?

松川:いや、中学に入ってからは自分では全然ゲームをやらなくなりましたね。ただ妹がスーパーファミコンを中学入学のお祝いに買ったんですよ。それで、一緒に買ったのが『ファイナルファンタジー6(※4)』。コタツに入りながら、妹がプレイするのを見るというゆるいプレイを(笑)してました。「そこちゃう、そこ調べて。あそこの街行って、あれ調べようや」なんて。確かクリアするのに1年ぐらいかかったんですけど、エンディングで姉妹2人で号泣していたら、お母さんに見られて、「あんたら2人でなに泣いてるの!?」って言われたり(爆笑)。そのちょっと前だったと思うんですけど、『ドラゴンクエスト3(※5)』を妹と一緒にやってて、天空からお母さんのサイフがファミコン直撃で降ってきて……(笑)。冒険の書が消えて……。2〜3時間、お母さんに対して姉妹で猛講義。うちでは“おサイフ直撃事件”としていまだに有名な事件ですね(笑)。それから冒険の書が消えるあの音楽(※6)がトラウマになって。「あー、怖い!!」。電源入れるたびに「お姉ちゃん、今日も消えてたらどうしよう!」なんて言われながら、妹と一緒に時間つぶしとかにRPGでちょこちょこ遊ぶぐらいでしたね。

――あまりゲームをしなくなったとのことですが、
   ゲーム以外に何かハマっていたものがあったんですか?

松川:何をしてたんだか覚えてないんですよ(笑)。ただ私立中学受験に失敗して、そこで勉強をしないでいいことを理由に遊び呆けていましたね。けれど、今度は高校受験で苦労して……勉強って大切でね。今思えば、本当に勉強はしておいたほうがいいです。今、中学生に戻ったら、たくさん勉強します。高校に入ってからは生徒会やったり、クラブに燃えたりとかして、普通の高校生してましたね。中学生のときは勉強嫌いだったんですけれど、高校性になってからはまじめに勉強しました。テスト前とかだけですけれど(笑)。それでも大学に行けたのは、父親と母親が、「大学に行ったら好きなことさせてあげる!」と餌をぶら下げてくれたからだと思います。

――じゃ、高校生のときはゲームは離れちゃった感じで?

松川:離れてましたね。ゲームをやる妹に「あーでもない、こーでもない」っていうぐらいだったと思いますね。だから、私はなぜここにいるのかが意外なんですけど、大学は園田学園女子大に進学しました。後期試験が止ん事ない理由でなくなってしまって、レポート提出に振り返られたんです。家でレポート書きながら、テレビを見ていたんです。そのときプレイステーションの『ファイナルファンタジー7(※7)』のCMがガンガンやってて、それでゲームを買ったんですよ。そしたら、「おもしろいゲーム」って! 今までは妹のゆるプレイを見ているだけだったのが、実際にゲームをやり始めて、そこからRPGとか、物語を楽しむゲームとかにハマり始めたと。当時どこにそんなお金があったんやろと思うんですけど(笑)。

――デフォルトでやんわりゲーム好きというのがあって、
   大学で開花したというところですか。

松川:大学ですね。間違いなくそうですね、私は。大学の友人で、後に銀行に就職した大学の友人なんですけど、ゲームの話ができる子が1人だけいて、その子とお昼休みに大学の講堂とかで、「あんた、どこまでいった?」とか言いながら。「あんた、もうそんなところまでいったん!? すごいなぁー」、などとよく話をしました。周りにゲーム仲間がいなかったので、その女友だちと妹だけが情報源でした。当時『ファイナルファンタジー7』で某キャラクターが生き返るっていうガセネタ(※8)があって、それに踊らされて(笑)、「じゃ、海チョコボだ!」と、2人で研究してたりしましたね(爆笑)。

――大学の後期試験があったら、こんな生活はなかったですよね。

松川:大学の後期試験が飛んでなかったら、私ゲームやってなかったと思うので、今ここにもいなかったでしょうね。

【第2回(4/27更新)に続く】

【編集部注釈】

※1 ドンキーコング……1981年にアーケードで任天堂から発売されたアクションゲーム。ファミコン版は1983年7月発売。あのマリオが初めて登場した作品でもある。

※2 スーパーマリオブラザーズ……1985年9月にファミコンで発売されたアクションゲーム。日本国内で681万本、全世界で4024万本も売れており、世界一売れたゲームとしてギネスブックにも登録されている。

※3 ドラゴンクエスト…ドラクエと略される、日本のロールプレイングゲームのパイオニア的ソフト。第1作目は1986年にファミコンで発売されており、スーパーファミコン版やゲームボーイ版、パーソナルコンピューターのMSX(エムエスエックス)版も存在する。キャラのつねに正面を向いているため、人物に話しかける際に東西南北を選ぶ必要があった。

※4 ファイナルファンタジー6…1994年4月にスーパーファミコンでスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたロールプレイングゲーム。

※5 ドラゴンクエスト3……正式名称は『ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…』。1988年2月にファミコンで発売されたロールプレイングゲーム。ソフト欲しさに学校を休んで買いに行く小学生などが多数現れるなど、社会現象となった。『2』までのシリーズ作では、復活の呪文という長い長い文字のパスワードが表示され、それを紙に書き起こし、次回プレイ再開時に入力すれば続きをプレイすることができた。パスワードの書き間違いによるプレイデータ消失に悲鳴をあげるユーザーも多かった中、『3』では待望のバッテリーバックアップ方式が採用され、話題と多くのユーザーの悲鳴を呼んだ。

※6 冒険の書が消えるあの音楽……デンデケデンデケデンデケデンデケデーンデン。本体を入れた際に冒険の書が消えていると、この不気味なメロディが流れる。当時のゲームは、カセットへの衝撃などでよくセーブデータが消えることが多々あった。

※7 ファイナルファンタジー7……1997年1月にプレイステーションでスクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたロールプレイングゲーム。これまで任天堂のハードでしか遊べなかったシリーズ作がプラットフォームをプレイステーションへ移ったことでも話題を呼んだ。文化庁メディア芸術祭第1回のデジタルアート(インタラクティブ)部門優秀賞受賞作品。

※9 某キャラクターが生き返るっていうガセネタ……物語上、亡くなってしまうキャラがある手順を踏むと生き返るというウソ情報がユーザーの間で広まった。多くの人がダマされて、いろいろな方法を試した。海チョコボを作るという方法もその1つ。

(C)1983 Nintendo
(C)1985 Nintendo

(C)1988 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

(C)Media Works 2000-
インフォメーションお問い合わせプライバシーポリシーRSS