2012年10月5日(金)
――今回のゲーム化の話ですが、いつごろ鎌池先生のところへお話が来たのでしょうか?
鎌池:去年の1月くらいだったかなと思います。
三木:バンダイナムコゲームスさんからゲーム化の企画が来るかもというお話は、それ以前から鎌池さんに軽く話していたりしましたよね。これは伊藤さんと二見さん(※『俺の妹がこんなに可愛いわけがないポータブル』などのプロデューサー)のお家芸なんですけど、伊藤さんが突然、意味もなく「『禁書目録』っておもしろいですね」と言ってくるんですよ(笑)。で、数回そういう現象があって、気付けば企画書を手に持っているという(笑)。
伊藤:でもその頃って、電撃さんのほうでもゲーム化が動いていたんですよね。
三木:そうなんです。アスキー・メディアワークスから『とある魔術の禁書目録』と『とある科学の超電磁砲』のゲームも動いている最中でした。なのでどうしようかと……。鎌池さんにバンダイナムコゲームスさんからゲーム化のお話が来ていますが大丈夫ですか? と聞いたら、「大丈夫です。やるならやりますよ」と(笑)。
鎌池:ただ、正式にゲーム化しますという話になったのはいつだったのか、ちょっと覚えていませんが(笑)。
伊藤:実はお話をした段階で企画書ができていて、それを渡すタイミングはいつがいいのかなと考えていたんですね。正式に企画書をお持ちしたのは、確か年明けの1月ごろだったと思います。
――今回のゲームは、劇場アニメの前日譚ということですが、それは企画の段階からだったのでしょうか? それともオリジナルのストーリーを考えられていたのでしょうか?
伊藤:企画の段階ではまだストーリーは決めていませんでした。ただ企画をお持ちした時には劇場版のお話が動いていたので、それに合わせたゲームを作りたいとお願いをしてみました。
三木:プロデューサー間でプレ打ち合わせをした時に、劇場版の話をたくさんしましたよね。
伊藤:ストーリーについてもですけど、設定についても掘り下げて聞かせていただきました。
三木:劇場版はプロットを鎌池さんが考えられていて、それがぼう大な量あったんですね。そこには前日譚のひな形となるものもあって、この貴重なコンテンツをこのまま埋もれさせてしまうのは惜しいな……と思っていたところに、バンダイナムコゲームスさんが「前日譚をゲーム化します!」と言ってくださいまして。
伊藤:最初は『禁書目録』シリーズのゲーム化の話だったんですけど、この前日譚のお話を聞いていると、『禁書目録』チームだけでなく『超電磁砲』チームも活躍していて、それなら『禁書目録』と『超電磁砲』を一緒にしたゲームにしましょうと。
――なるほど。ちなみに今回の物語は、原作でいうとどのあたりの時期に起きた事件となるのでしょうか?
鎌池:だいたい、大覇星祭(原作小説9、10巻)の少し前くらいですね。
――本作では『禁書目録』と『超電磁砲』のキャラクターが登場することになりますが、実際にこれら2つの作品をまとめてみていかがでしたか?
伊藤:現在シナリオを鎌池先生に監修していただいている最中なのですが、本作には“魔術・表”“魔術・裏”“科学・表”“科学・裏”の4ルートがシナリオとしてあります。それぞれのキャラクターが絡み合うシーンは表面的には多くないのですが、物語の裏でつながっているというところがよく描かれていると思います。
物語の当事者たちはそこに気付いてはいませんが、ゲームをプレイしてみると、別のキャラクターたちの行動の結果がリンクしているところなどはわかると思います。科学サイドの人間が起こした行動の結果が、魔術サイドの事件の解決につながっていたりとか、各シナリオでリンクする部分というのが、たくさんあります。
それぞれのシナリオには伏線がたっぷりと散りばめられているので、例えば“魔術・表”ルートをクリアしたあとに“魔術・裏”ルートをクリアすると、伏線の1つが明らかになったり、その逆のパターンもあったりします。そしてその中のルートの1つを、鎌池先生に書いていただきました。
三木:今回って、鎌池さんがどのルートを担当しているかって話してもいいんでしたっけ?
鎌池:どうなんでしょう(笑)。
伊藤:せっかくだし発表しちゃいましょうか!
鎌池:はい。今回は“魔術・表”のルートを担当させていただきました。このルートは、基本的に『禁書目録』の基本を踏襲しないといけないと考えていて、学園都市の外から魔術師がやってくるというセオリー通りの物語になっています。それと劇場版の前日譚でもあるので、劇場版の重要な要素がゲームでも登場したりといったこともあります。残りの3ルートについては、バンダイナムコゲームスさんにお任せしました。
伊藤:もちろんその3ルートについても、鎌池先生のシナリオとどうやってリンクしていくか綿密に相談させていただいたり、シナリオ全体の監修をお願いしたりと、いろいろとお世話になっています。
三木:ゲームをクリアしておけば、劇場でアニメを見た時に「おぉっ!」と驚くところもあると思います!
――『禁書目録』と「超電磁砲」は原作、アニメ、コミックと幅広く展開されていますが、まだシリーズに触れてたことがないというユーザーでも楽しめる作品にはなっていますか?
伊藤:もちろんゲームで初めてシリーズに触れるという人にも楽しんでもらえるよう、そこは気をつけています。
三木:そのあたりは鎌池さんがかなり気配りをしていました。上条が“無能力者(レベル0)”であったり、“幻想殺し(イマジンブレイカー)”がなんなのかといった説明など、『禁書目録』のチュートリアルに当たる部分を、あらかじめ書いてくれました。
鎌池:完全に原作を知らない状態からゲームをプレイしてくれる、という人がどれくらいの割合なのかはわからないのですが、基本的なところは押さえないと……というのが大前提として必要なのかなと。
伊藤:上条さんがインデックスにかみつかれたりとか、お約束な部分もバッチリ入っていますよ(笑)。
三木:インデックスにかまれることで世界観が表現できるのかと言われたら、首を傾げてしまうんですが(笑)。新しく『禁書目録』に触れる方に向けてというところは、鎌池さんに指摘されていたところでもあって、新しいユーザーを置いてけぼりにしないようにいろいろな工夫しています。
→以下、次回に続く!
【次回予告】ども、てけおんです。というわけでついに始まりました“とある魔術と科学の週刊詳報”。今回と次回は、キーマン3人による座談会をお届けいたします。今回はゲームを作ることになった経緯などにスポットを当てましたが、次回はゲームに登場するオリジナルキャラクターについての話などを聞かせていただく予定です。というわけで、次回もお楽しみに!
(C)鎌池和馬/アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX
(C)鎌池和馬/冬川基/アスキー・メディアワークス/PROJECT-RAILGUN
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※画面は開発中のもの。
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