2012年6月29日(金)
バトルを楽しめる本格的な体験版が配信され、いよいよゲーム内容が見えてきた3DSの大作RPG『ブレイブリーデフォルト』。はたして、本作独自の新システム“ブレイブ&デフォルト”は本当におもしろいのか? 体験版をプレイした電撃の編集者による生の声を、座談会形式でお届けします。
ちなみに体験版のプレイとあわせて、開発中の最新版サンプルロムもひと足お先にプレイしてきました。未公開のシステムもあるので、まだ書けない部分ばかりですが、その最新版を遊んだ本音のインプレッションもお伝えします!
▲『ブレイブリーデフォルト』の座談会に参加した3人の編集者。左から、そみん、野村、Rustyという男臭いメンバーが本音でトーク! |
●野村一真(36歳) 『ロマンシング サ・ガ』をこよなく愛する、電撃オンラインの副編集長。体験版Vol.3ではナイト×ナイトという結論に落ち着く。
●Rusty(40歳) さまざまなゲーム雑誌でスクウェア・エニックスのゲームの記事を担当してきた編集者。体験版Vol.3では、モンク×黒魔道士という火力重視を中心にいろいろと試した。
●そみん(36歳) どんなゲームも楽しく遊ぶ雑食派ゲーマー。体験版Vol.3では、リアルラックが低いのにギャンブル性が高いモンク×モンクで挑み、“練気”が失敗しまくって自爆して負けた。
野村:今回の体験版Vol.3をプレイする前に、スクウェア・エニックス宣伝部の宣伝プロデューサーの佐々木隆太郎さんが「今回の体験版は簡単すぎるからちょっと不満」と言っていたんだけど、あれはウソ。佐々木さんはウソをついた(笑)。
Rusty:(笑)。たしかに簡単は言いすぎな気がする。
野村:絶妙なバランスの歯ごたえだと思ったよ。不愉快すぎず、愉快すぎず、ちょうどいい感じだった。細かいところだけど、選んだジョブによって所持アイテムが変わる部分も、ちゃんと考えられているなと感心した。まさに絶妙。
▲6月27日に配信されたばかりの体験版Vol.3では、ナイト、モンク、白魔道士、黒魔道士の4種類から好きなジョブを選べる。 |
Rusty:ナイトやモンクはHPを回復できるハイポーションを持っていて、魔道士系はMPを回復できるエーテルを持っている。ちゃんと考えられているね。
そみん:ジョブ選びのバランスや運もあるでしょうけど、初プレイで最後まで勝ち抜ける人は相当少ないと思います。
野村:オレはクリアできたよ。ナイトと白魔道士の鉄板コンビで。
そみん:たぶん、最後のオミノス戦まではほとんどの人がたどり着けると思いますけど、BPを前借りした魔法の連続攻撃を受けるときついですって。一度劣勢に回ると、リカバリーできずに負ける流れになりやすいと思います。あとは、アクアランタンとフレアランタンとのバトルも、油断すると厳しいかな。
野村:フレアランタンの全体攻撃の“焚書”がヤバイね。“沈黙”の効果もあるから。
▲全体攻撃でダメージが高い上に“沈黙”の効果を持つ“焚書”がやっかい。ここで初めて敗北する人もいるのでは? |
そみん:黒魔道士でBPを前借りして倒そうとしたら、フレアランタンのほうが行動が早くて“沈黙”にさせられてしまい、何もできずにBPがマイナスになって大ピンチになったこともあります。
野村:あのうざい“沈黙”を見た瞬間に、オレの中での結論はナイトに決まった。
Rusty:ちなみにランタン系の敵は、当初は物理攻撃に強くて魔法攻撃に弱いという設定にしていたらしいけど、今回の体験版ではどんな攻撃も効くように調整したらしい。以前の設定のままだったら、ナイトだと苦戦したかもね。
野村:それは不愉快な設定だ(笑)。でも、時にはそういう敵がいてもいいのかも。暗黒剣や魔法以外で攻撃すると分裂する『ファイナルファンタジーIII』のモンスターのように。
そみん:あれは不愉快すぎるかも(苦笑)。
野村:今回の体験版で戦う敵キャラのチョイスも、かなりセンスを感じた。不愉快な意味も含めて(笑)。最初はウルフやゴブリンみたいな、いかにもザコっぽくて弱い敵から始まって、徐々にいやらしくなっていく感じ。特にゾンビは地味に硬くて、“毒”も使ってきて不愉快だった(笑)。それでいて、アンデッド相手には、本来はHPを回復する魔法を攻撃に利用できるというお約束がちゃんと入っているのもいい。
Rusty:ゾンビは一応、火も弱点だった。
そみん:ケアルのほうがダメージが高いですけどね。
▲意外と面倒な“毒”の攻撃をしてくるゾンビ。意外と防御力が高いが、ファイアやケアルで攻撃すると大ダメージを与えられる。 |
野村:たぶんゾンビは、魔法での攻撃のほうが有利にデザインされていると思う。逆にその次に戦うランタン系の敵は“沈黙”を使うから、魔法だと苦戦するバランス。そんな感じで、選べるジョブを意識してバランスがとられているのがいいと思う。
Rusty:今回の体験版だとザコ敵相手でも意外と大変なイメージだったけど、製品版だとどうなるんだろう。
野村:おそらく、ザコ戦については比較的短時間で簡単に勝てる流れを組むと思うんだよね。そうしないと、全体的なテンポがよくならないので。逆にボス戦は、かなり時間を使う本格的なバトルになると思う。詰め将棋的というほどガチガチな一択ではないかもしれないけど、ちゃんと考えないと勝てないようなバランスのボス戦になるような気がする。
ターン制のコマンド選択型という、ある意味でちょっと古臭く、とてもオーソドックスなシステムだけど、しっかり楽しめるバトルになるんじゃないかな。ボス戦が熱いというか、重くなるのは間違いないだろうね。まあ、重くていいんじゃないかな。ボス戦の前にはきっとセーブポイントがあるだろうし、まずは負けてから対策を練るくらいのバランスでいいんじゃない。
これはプロデューサーの浅野さんに声を大にして言いたいけど、ここでひよってヌルいチューンナップをしてしまうと残念な気持ちになる。逆にちょっと理不尽気味なチューンナップになってくれるといいなあ。
そみん:体験版よりも、もうちょっと難しいくらいがいいです。ただ、“ブレイブ&デフォルト”のシステムは、コアゲーマーとしては遊びごたえがあって楽しい反面、ライトユーザーには少し敷居が高いような気がしました。
野村:このゲームのターゲットとしては問題ないんじゃない? メインの層は30歳以上のゲーム好きになると思うから。
Rusty:初プレイの際に戸惑う人はいると思うけど、そこまで複雑なシステムじゃないから、すぐに慣れるんじゃないかな。ターン制のコマンド選択型バトルがベースになっているから、むしろ誰でも遊べる安心感があると思う。
そみん:個人的には、ある程度難しいゲームのほうが大歓迎ですけど。ボス戦では、最初は一度負けるくらいのバランスがちょうどいいというか、歯ごたえがあって好きです。
野村:わざわざ自分でダメージ計算までシミュレートしながらコマンド選択型バトルを遊んでいた時代を思い出して、楽しみな感じがする。
そもそもテーブルトークRPGを遊ぶ時って、そういう計算をして遊ぶこともあったから、なんだか懐かしい感じ。サイコロを振ってダメージを決める乱数の部分まで踏まえて計算できるから、すごく計算したね。素早い敵を相手にした時、1D6のダメージを堅実に与える魔法と、よけられる確率は高いけど2D6ダメージを与える片手剣と、確率的にはどちらのほうが効率がいいかとか(笑)。
Rusty:そういう部分まで考えてプレイする感覚は久しぶり。ちょっとキツ目のバランスのほうが、考えて遊ぶようになるから。あまり理不尽だとつらいけど。
野村:『真』がつかない、昔の『女神転生』シリーズぐらいになるといいな。主人公がムドであっさり呪殺されて、茫然とする感じ。
そみん:あれは難易度が高すぎると思います(苦笑)。
野村:今回の体験版を遊んでいて「いいな」と思ったのが、バトルが終わってもHPやMPが回復しないこと。開発スタッフはあえて狙ったんだろうけど、あのいやらしさはいい。
▲体験版のバトルは連戦仕様。勝ち抜くと、HPやMP、状態異常が回復せずに次のバトルへと進むので注意が必要だ。なお、BPは初期値のゼロに戻る。 |
Rusty:連戦という設定があるとはいえ、“毒”や“沈黙”のような状態異常が回復しないのが大変だった。
そみん:昔の『ファイナルファンタジー』みたいに、同じ状態異常でも戦闘終了後に回復するものとしないものがあるのかもしれません。“毒”は戦闘終了後に回復するからバスナの魔法が有効で、“猛毒”は戦闘終了後に回復しないからエスナの魔法が有効とか。
Rusty:『ファイナルファンタジーII』は、エスナで石化を治せるようになるまで熟練度を上げるのが基本だった。それはさておき『ブレイブリーデフォルト』の体験版では、そういう状態異常の回復はもちろん、HPとかの回復をせずに勝ってしまうと、次がつらくなる。
野村:ある意味、古典的だよね。HPが減った状態でオミノス戦に突入すると、すでに半分詰んだような感じになる。連続戦闘って、その厳しさがいいんだよ(笑)。
そみん:次の戦闘に備えて回復をしてから敵を全滅させようと思ったら、モンクが計算外のクリティカルを連発して敵を倒してしまい、結果として回復ができないまま次の戦闘であっさり敗北……なんてことがありました。
野村:そんな感じで仕上げてほしい。今回の体験版は、体験版としてはちょうどよかったと思う。製品版がこれより難しいくらいの歯ごたえだと、きっと話題になるから。
そみん:“たたかう”連打で勝てるボス敵ばかりだと、クリアしても何も印象に残らないですから。
Rusty:たまには『ロマンシング サ・ガ2』の最終ボスくらいの絶望感がほしい。容赦なく7回連続行動をしてくるような。
野村:たぶん、体験版と同じか、それより簡単な難易度にしちゃうと、体験版を遊んでシステムに慣れたユーザーが満足できないというか、余裕でクリアできすぎると思う。
そみん:あとは時代の流れやユーザーの流れをどう考えるかでしょう。我々みたいな30代コアゲーマーは難しいゲームのほうが好きですけど、もっと若いユーザーは難しさをストレスと感じるかもしれませんし。
野村:大まかな流れとして、超カジュアル路線と超ヘビー路線がある中で、あとはどこを狙うかじゃないかな。売上本数が200万本とか400万本とかを超えるには、カジュアルにゲームを遊ぶライトな層もとり込まないと難しいと思う。
ただ、これはあくまでオレの勝手な私見なんだけど、『ブレイブリーデフォルト』を買うのは『ダークソウル』をやり込むようなユーザーなんじゃないかな。日本国内には、重いゲームを好むユーザー層が30~50万人はいそうな気がする。
Rusty:難しさやゲーム性の部分がきちんと評価される流れは来ているかも。
そみん:難しいRPGはレベルの重みが出るから、好みなんですよ。
野村:これはあとでもう一度言おうと思うけど、最新版のサンプルロムを遊んだら、まさにそうだった。レベルが1上がるとしっかり強くなって、“育った感”がある。たぶん、攻撃のヒット回数は素早さに依存しているから、レベルが上がると複数回ヒットしやすくなって、目に見えて強くなる。
Rusty:これは体験版でも確認できるけど、攻撃が3回ヒットする時はちゃんと武器を3回振るのが、アナログな感じがして気持ちいい。
そみん:あの演出は気持ちいいですよね! 『ファイナルファンタジーII』あたりを思い出します。最終的には16回とか武器を振るのかと思うと、とても楽しみです。
▲攻撃が複数回ヒットする時は、その回数分、ちゃんと武器を振り回す。初期の『ファイナルファンタジー』シリーズが好きなユーザーは懐かしいはず! |
“ブレイブ&デフォルト”がターン制バトルの歴史を変える!→(2ページ目へ)
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