2012年6月20日(水)
スクウェア・エニックスは3DS用RPG『ブレイブリーデフォルト』の作曲をSound Horizon(サウンドホライズン)のRevo (レヴォ)さんが担当することを発表した。この発表が行われたSound Horizonのポニーキャニオンへの移籍第1弾制作発表会の模様をレポートする。
『ブレイブリーデフォルト』は、“成長と冒険の物語”を最新の技術で見せる完全新作のRPG。風のクリスタルを司る巫女アニエスが、ティズという少年とともにクリスタル解放の旅に出るという物語が展開する。
Sound Horizonは、サウンドクリエイターであるRevoさんが主宰するアーティスト集団。幻想的な物語を音楽で表現する独特のスタイルをとっており、その音楽性は“物語音楽”と評されることもある。前作アルバム『Marchen』(aの上部にはドイツ語のウムラウト記号がつく)は12万枚以上の売り上げを記録し、パシフィコ横浜などでの大規模なコンサートを成功させてきた。
▲「いつかはゲームの音楽を作りたかった」と語るRevoさん。昔からゲームが大好きで、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』、『サガ』シリーズが好きだという。 |
6月19日に行われたSound Horizonのポニーキャニオンへの移籍第1弾制作発表会では、Revo (レヴォ)さんの2012年度の展開が発表され、その中で『ブレイブリーデフォルト』との大型タイアップが明らかとなった。
この大型タイアップに際して、Revoさんは『ブレイブリーデフォルト』の全楽曲を担当した他、Sound Horizonとは別名義の新プロジェクト“Linked Horizon(リンクトホライズン)”を始動することを発表。『ブレイブリーデフォルト』のサウンドトラック(発売日未定)や、楽曲をボーカルアレンジしたマキシシングルCD『ルクセンダルク小紀行』(8月22日発売予定)とアルバムCD『ルクセンダルク大紀行』(9月19日発売予定)を発売すること、11月25日に横浜アリーナでコンサートを行うことなど、さまざまな展開を明らかにした。
なお、この発表会の司会・進行を務めたのは、Sound Horizonの曲でドイツ語のナレーションを担当したサッシャさん。また、会場には、Revoさんの特設サイトで内容を伏せて募集された30人の認定特派員も参加して、発表会の模様をツイッターやフェイスブックで紹介するというユニークな試みも行われた。
発表会には『ブレイブリーデフォルト』のプロデューサーを務める浅野智也さんが登場。ステージ上でRevoさんとトークを行い、制作秘話やRevoさんを起用した経緯を語った。なお、司会を務めたサッシャさんはRevoさんとの共演経験があり、フランクな雰囲気でトークがはずんでいた。
――この『ブレイブリーデフォルト』は王道のRPGということですが、その内容について教えてください。
浅野:日本のRPGファンに向けて開発する、王道のファンタジーRPGを目指しています。ここで言う“王道”とは、ジョブチェンジやアビリティのシステムがあってターン制のバトルを楽しめる、ベーシックでスタンダードなRPGをきちんと作るという意味です。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』を楽しんできたRPGファンに、安心して楽しんでもらえるような内容になっています。
Revo:自分は体験版と、体験版よりも先が遊べるバージョンも遊ばせてもらいました。まだバランスを調整中の、ある意味でレアなバージョンですね。今の時点でどこまで言えるかわからないけど、ユニークな仕掛けも多いです。
浅野:バトルについては、ベーシックな作りの中にワンアクセントを加えている感じです。もうすぐ配信される予定の体験版Vol.3では、その新システムを実際に触ってもらえるようにしています。
▲『ブレイブリーデフォルト』は、キャラクターを成長させる楽しさや、冒険の中で何かを発見する楽しみなど、正統派RPGの遺伝子を受け継いで作られている3DS用のRPG。『FF』シリーズでおなじみのジョブチェンジも用意されている。 |
――浅野さんからRevoさんに作曲のオファーをする際、ちょっとしたエピソードがあったそうですが?
浅野:自分はそもそもSound Horizonのファンで、『Chronicle 2nd』の頃から聴いています。初めて聴いた時、ファンタジー感やゲーム感がすごくって感動しました。今回、作曲をしていただけて本当に奇跡のように感じています。
自分はこれまで『ファイナルファンタジーIII』のDSでのリメイクや、『光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝』というDSのRPGを作ってきたんですが、Revoさんは『光の4戦士』をエンディングまで遊んでくださっていて、うれしかったです。何か運命的なものを感じました(笑)。
――Revoさんは、ゲームの作曲のオファーが来た時にどう感じましたか?
Revo:とにかくビックリしました。ゲームが好きでRPGも好きなので、いつかはそういうこともあるとは思っていたんですが、油断してましたね。ずっと先の出来事だと思っていたら、いきなりやって来て驚きました。
人生にもありがちですけど、こういうことって突然起きるんですよね。でも、この機会を逃すわけにはいかないと、2つ返事で「やります!」と答えました。
たとえばJ-POPをやっているミュージシャンの方がゲームの音楽を作るとなったら、想像がつきにくいじゃないですか。でもSound Horizonは中世的でファンタジー的で、ゲーム寄りの世界観なので、親和性が高いですよね。浅野さんには、そういう部分が見えていたんじゃないかと思います。
浅野:ファンの方にはわかると思いますけど、Revoさんの音楽を聴くと、それでゲームを遊びたくなりますよね? 絶対に合うと思いますよね?
今回、本当にRevoさんに感謝しているんですよ。曲のクオリティが高いのはもちろんなんですけど、『ブレイブリーデフォルト』にすごく愛着を持っていただけているのがうれしいんです。
このゲームのシナリオはものすごくボリュームがあるんですけど、そのシナリオをちゃんと読み込んで曲を作ってくれているんです。それこそ、村人1人1人のセリフまで目を通してくれています。
普通の感覚だと、タイアップとして1~2曲だけ提供していただくケースもあると思うんですけど、今回はRevoさんが全曲を作ってくれました。あの、最初の話では「多くても20~30曲ぐらいです」なんて話していたんですけど、最終的にはその倍以上になっちゃいましたね(笑)。
Revo:これまでの自分史上でも最多だと思います。1曲1曲は短いものもありますけど、トータルの曲数はすごいことになっています。
――曲作りはどのような環境で行われたのですか?
Revo:すべての資料があったわけではありませんけど、街や国のイメージボードを見せてもらいました。これがもう、すごくクオリティが高くって! ご存知の方もいると思いますが、自分は絵が上手じゃないんですよ(笑)。
こんなにすごいグラフィックに、へぼい曲はつけられないと、かなり気合が入りましたね。ゲーム中の世界は、実際にはない虚構の世界ですけど、そこにちゃんと現実感を持たせられるように意識をしました。
▲まるで絵本の中を歩き回れるような、非常に細かく描かれたグラフィック。しかも3DSなので、立体的な演出を楽しむことができる。 |
――ゲームにおいて、音楽はとても大事ですよね。
浅野:本当にそう思います。Revoさんの曲は、聴いていてすごく残るんですよ。
――ゲームをやると音楽を思い出して、音楽を聴くとゲームを思い出すことはありますよね。
Revo:いいセリフですね! なんだか、音楽と時代の関係みたいですね。
――ここからは浅野さんにお聞きします。この『ブレイブリーデフォルト』はたくさんの体験版を配信していますが、その理由はなんですか?
浅野:スタンダードなものをていねいに作っていることを、実際に触って試してみてほしいと思ったんです。ちなみに、体験版を遊んだみなさんからご意見をいただいて、それを製品版にフィードバックしています。
それから今回、グラフィックについてちょっとおもしろい表現をしています。3DSの立体視演出を生かして、街のグラフィックなどを立体的に見せているので、ぜひ体験版で試してみてください。
――実は私も体験版を遊んだんですが、街のグラフィックがファンタジーRPGらしくって楽しかったです。2次元と3次元が融合したようなグラフィックで、すごかったです。
浅野:ありがとうございます。『ブレイブリーデフォルト』のグラフィックは、『タクティクスオウガ』などを作った吉田明彦がコントロールしているので、とてもクオリティが高くなっています。
――さてここで、会場のみなさんが最も聞きたいことを代弁しましょう。ずばり、サウンドトラックの発売はありますか?
浅野:当然あります! 発売日や詳細については続報をお待ちくださいといったところですが、ゲームの発売日を発表するぐらいのタイミングで公開できると思います。
これはRevoさんのファンにぜひオススメしたいのですが、初回限定版をゲットしてください。Revoさんのアルバムはいつもデザインが凝っているので、このサウンドトラックもかっこよくデザインしています。3DSのゲームらしく、3D感を感じられるようなパッケージを目指しました。
――何か仕掛けはあるんですか?
Revo:まあ、普通のサントラです(笑)。めちゃくちゃ大ボリュームではありますけど。
あ、ちょっとおもしろい部分がありました。ゲームの音楽って、ループする前提があるので、サントラではラストをフェードアウトする形にするじゃないですか。でも今回、いくつかの曲はサントラ限定でエンド部分を作っています。そもそも曲を作っていて、「こう終わらせたい」と思っていた部分もあったので。
こういった曲のエンド部分はサントラでしか聴けないので、ぜひ試してみてほしいですね。
▲フィールドからバトルまで、あらゆる曲をRevoさんが作曲。その曲数は、30曲をはるかに超えるものとなっているらしい。 |
――それでは、最後に一言ずつメッセージをお願いします。
浅野:1人のファンとして、Revoさんの音楽でゲームを遊びたいという願いが叶ってうれしいです。Revoさんのファンのみなさんも、新しい形で音楽を楽しめると思いますので、『ブレイブリーデフォルト』にご期待ください。
――発売日はいつですか?
浅野:近いうちに発表できると思います!
Revo:曲はもう全曲終わってますから、あとは浅野さんしだいですね。なんて言うと、プレッシャーですかね(笑)。
『ブレイブリーデフォルト』を遊んでいると、ちょっと昔の『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』みたいな感じがするんですよ。なんとなく、そういうRPGが持っていた雰囲気を感じるんですよね。
キャラクターの頭身が高すぎないところも、なんとなく昔っぽいというか。ただ、古臭いわけじゃないんですよ。なつかしい感じというか、古いけれど新しいみたいな。浅野さんからも、そういう話を聞いた覚えがあります。
曲についても、そういう部分は意識しました。Revoファンが驚くような斬新なものもありますし、ゲームファンが「ああ!」と思える懐かしいものもあります。単に雰囲気がいいとかじゃなくて、一度聴いたら口ずさめるような、メロディを大切にした曲作りをしました。
古臭い曲作りのスタイルかもしれませんが、ゲームを遊ぶと覚えてもらえるような曲にしています。通勤や通学の時に、口ずさんでもらえるとうれしいです。今回、サウンドトラックも出ますけど、まずはぜひゲームで曲を聴いてほしいですね。
ええと、話しながらだんだん前のめりになってきてますけど、そんな熱い感覚です!
→熱意がこもったRevoさんのメッセージを掲載!(2ページ目へ)
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MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.
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