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2009年9月26日(土)

「今はまだ評価してほしくない」――MMORPG『ZIPANG』開発者トークショー

文:電撃オンライン

 アクワイアはTGS2009の会場で、PC用の新作MMORPG『ZIPANG』の開発者トークショーを実施した。

 トークショーにはプロデューサーの薬師寺健治氏、ディレクターのリッチー・キャスパー氏、シナリオ担当の竹本拓穂氏、メインプランナーのキム・ジェウォン氏が登場。キム氏を除く3人が、『ZIPANG』のメインコンセプトやこだわりなどを語ってくれた。

「今はまだ評価してほしくない」――MMORPG『ZIPANG』開発者トークショー 「今はまだ評価してほしくない」――MMORPG『ZIPANG』開発者トークショー
▲『ZIPANG』プロデューサーの薬師寺氏。▲左からメインプランナーのキム氏、ディレクターのリッチー氏、シナリオ担当の竹本氏。

 話題は、まず『ZINPANG』のメインテーマについてから始まった。竹本氏の説明によれば、プレイヤーは安芸、出雲、伊予の3つの国からどれか1つを選んで所属。その国の1人の武士としてゲームをスタートさせる。

 シナリオ全体を通しての特徴は『ZIPANG』には“悪役”がいないことだという。既存のMMORPG、特にファンタジー系の作品には世界を滅ぼそうとする巨大な敵がバックストーリーに設定されているケースが多いが、『ZIPANG』ではそれぞれの国が自分たちを正義と信じ、己の国を守るために戦っている。戦争とは起こるべくして起こるもの、というのが基本コンセプトだ。

 またキャスパー氏は『ZIPANG』には大名に成り上がる、剣の道を究めるという2つのテーマも存在し、どちらを選ぶかはプレイヤー次第だと説明。選択によって、シナリオが分岐することもあるという。

 開発時のこだわりについての質問には、薬師寺氏が同社初のMMORPGゆえにエンジンから開発している点を、キャスパー氏が会話一つをとってもストーリーに入り込めるよう、深いストーリー性をどう楽しんでもらうか工夫した点を挙げた。

 また薬師寺氏によれば『ZIPANG』のサービスは当初、海外で最初に展開し、その後日本に逆輸入しようと考えていたらしい。そのため開発陣にはアメリカ人のリッチー氏、韓国人のキム氏をはじめ、中国、カナダと多国籍なスタッフが在籍しているとのこと。国籍が違えば笑いのツボ1つをとっても異なるため、ベストな表現方法を求めて何時間も話し合うそうだ。

 続けて薬師寺氏プロデューサーは、今回のTGS2009に出展している『ZIPANG』の試遊台について「現在のデモ機は、本来ならば映像出展で出すレベルです。通常のプレイに耐えうるクオリティだとは一度も言っていないので、そこは勘違いしないでほしい。TGSバージョンをもって評価してほしくない」と述べた。では、なぜ開発途中のクライアントを出展したか、については「早い段階で見せることで、来場者の反応や生の意見を聞き、それをフィードバックさせるため」「この後会場で我々を見かけたら、捕まえてぜひ意見や要望を聞かせてください」と語った。

「今はまだ評価してほしくない」――MMORPG『ZIPANG』開発者トークショー 「今はまだ評価してほしくない」――MMORPG『ZIPANG』開発者トークショー

 最後に、ユーザー向けのメッセージとして竹本氏は「より詳しいシナリオや世界観をWeb上で順次発表していきたい。開発はまだ始まったばかりで、この時代の正義とは何か、この世界に生きるということは何かを表現していきたい」、キャスパー氏は「レベルが上がるとどんな侍になるのか、どうやって大名まで成り上がれるのか、今後の情報公開を楽しみにしてほしい」と述べた。

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 TGSの3日目にして、ようやくシナリオやゲーム性の片りんが語られた『ZIPANG』だが、その全ぼうが見えてくるのはまだまだ、だいぶ先のことになりそうだ。また、今回のプレイアブルについての「あくまで開発途中のモノなので、勘違いしないでほしい」という薬師寺氏のコメントだが、確かに公式パンフレットにも開発度35%と掲載されているものの、会場まで足を運んだユーザーにとっては試遊台こそが今わかる『ZIPANG』のすべてだ。「ガチの意見を聞きたい」と言いつつ、一方で「評価しないでほしい」という言葉には、矛盾をはらんでいるようで、どうしても疑問が残る。まずは1日も早く、より完成度を高めたバージョンの『ZIPANG』にお目にかかりたいところだ。

■東京ゲームショウ2009 開催概要
【開催期間】2009年9月24日~27日(ビジネスデイ:24~25日、一般公開:26~27日)
【開催時間】各日10:00~17:00(一般公開日は開場時間が前倒しになる可能性がある)
【会場】幕張メッセ(千葉県)
【入場料】前売1,000円/当日1,200円、小学生以下は無料
【主催】社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)

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