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2008年4月17日(木)

映画「真・女立喰師列伝」のDVD発売!総監修を務めた押井守氏にインタビュー

 ジェネオン エンタテインメントから4月23日に発売される、DVD「真・女立喰師列伝」の原作・総監修を務めた押井守氏にインタビューを行った。

 押井氏は、映画「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」や「アヴァロン」を手掛けたことで有名な監督。「真・女立喰師列伝」は、同氏が原作・総監修を務めるオムニバス形式の実写映画だ。6人の女優が演じる6つのエピソードが収録されており、ラブストーリー、SF、西部劇、ブラックコメディなど、多彩なジャンルで女立喰師たちの活躍が楽しめる。

 4月23日に発売されるDVDには、初回限定生産のコレクターズBOXが存在。BOXに入っている3枚のディスクには本編に加えて、超ロングメイキングや各エピソードの監督と主演女優へのインタビューをはじめ、押井守氏への100問100答、樋口真嗣監督との本音対談、これまでなかなか聞けなかった押井監督の告白的女優論など、ボリューム満点の映像が収録されている。

 今回、本作の監督・押井氏にインタビューを行った。オムニバス映画という形式を採用した理由やDVDの特典映像についてなど、本作の魅力についてお聞きしたので、本作に興味がある人や、押井監督のファンはぜひチェックしておこう。

――「立喰師列伝」は小説から映画化され、その後、短編作品「女立喰師列伝 ケツネコロッケのお銀 -パレスチナの死闘編-」や今回の「真・女立喰師列伝」がリリースされましたが、そもそも「立喰師列伝」が生まれた経緯を教えてください。

押井氏:あんまり覚えてないなあ(笑)。「立喰師」という作品をやりたいと考えてから15年くらい経っています。「やろう」と言ってくれるプロデューサーがいれば、いつでもやれた状況ではあったんですが……なかなかそうもいきませんでしたね。

――なるほど。では、今回の映画化の経緯を教えてください。

押井氏:小説を書いたことですね。あれがなかったら、映像化は実現しなかったでしょう。書いている時点で、映像として撮りたいと思っていたので、小説の連載を許可してくれた当時の「ザ・スニーカー」の編集の英断です。あとは、ひし美さん(※女優のひし美ゆり子さん)かな。彼女と出合ったことが、はずみになったのは確かです。その2つですね。

――「真・女立喰師列伝」を、オムニバスものにした理由は?

押井氏:長編は作ろうとするとボロが出やすいんですよ。さらに言えば「立喰師」を映像にしようとすると、長編では成立しにくい。もともと「立喰師」という職業自体が、必要的な鋭意としてあるだけで、お金は稼げない。ようは、パフォーマンスなんですよね。それを考えると、長編としては支えきれないので、オムニバス形式で歴史をつないでいく方法を選び、前作は「戦後史」という形式で撮ったんです。「真・女立喰師列伝」はキャラクターの幅の中で、作品を広げてみようというテーマで作られています。だからスピンオフした作品ではあるんですが、むしろ狙いを逆にして、女優さんが持っている存在感を前面に出そうと考えました。その方がエンターテインメントとして説得力が増すだろうと。そして、その上で女優さん1人1人の魅力を出すにはどうしたらいいか。シチュエーションを用意した方がいいだろうという観点から、こういう形式にしています。ちなみにパッケージやオープニングに“お銀”役の兵藤まこさんを起用したのは、「女立喰師列伝 ケツネコロッケのお銀 -パレスチナの死闘編-」の象徴的な存在だったので、彼女しかいないだろうと思い、お願いしました。ですから、彼女の存在の上に今作の6人がいることになります。

――押井監督はどういう立ち位置で本作に臨まれたのでしょうか?

押井氏:監督が何を望んでいるかに、賭けただけです。ボクはキャスティングとプロットを監修しただけで、あとはそれぞれの監督に好きに撮ってもらいました。オムニバス作品というのは、難しいんですよ。いろいろな作品があるんですが、どれもうまくいかないかもしれない。今回うまくいったのは、ボクが何も機能していなかったからだと思います。

――機能しなかったのが、いい方向につながるのでしょうか?

押井氏:1人の監督がオムニバスを作っても、似たような作品ばかりになることが多いんです。ところが、それではオムニバスにならない。この作品は、キャスティングが重要なので、そこには僕も噛みました。似たタイプの女優さんを集めないことに注意しましたね。女優さんを差別化した上で、女優さんに忠実な作品であれば、必ず違う作品になる。そこに自信があったから、何をする必要もなかったし、実際に何もしなかった。そういうことです。

――本作は「金魚姫」、「荒野の弐挺拳銃」、「Dandelion」、「草間のささやき」、「歌謡の天使」、「ASSAULT GIRL」という6つのエピソードから成っていますが、それぞれの見どころは?

押井氏:全部で5人の監督が6本の作品を撮っていますが、それぞれの女優さんの魅力が見れることですね。例えば、水野美紀さんの演じた話なら、彼女のアクションを見てほしいし、それを中心に作った作品。ボクの作品なら、伝統的な日本映画の世界と、SFですね。ゆうこりんに関しては何も言うことないよね、そのまんまなんだから(笑)。まんまをやることで、自動的にフィクションになる。それは彼女の存在が、フィクションに近いからだろうね。

――特典映像が充実した内容になっています。これは監督から提案されたのですか?

押井氏:エグゼクティブ・プロデューサーである森さんのアイデアです。彼自身が一番見たいものを詰め込んだ結果ですね。ボクはそれに協力しただけです。

――実際に撮影されてどうでしたか? 100問100答は、100問以上受け答えしていましたが……。

押井氏:いや~~……しんどいよね(笑)。「ここまでやるの?」という感じはしました(笑)。特典映像とはいえ、あれだけしゃべったのは初めてだと思うよ。逆に他でしゃべることがなくなっちゃった。何を聞かれても「詳しくは特典映像を見てね」ってくらいに(笑)。これだけ内容がいっぱいあって、尺が本編より長いと、本末転倒に近いよね(一同笑)。

――少しプライベートについてお聞きします。100問100答の中で、最近楽しみなことは、「空手」と「麻雀」ということですが、他に最近楽しみなことはなんでしょう?

押井氏:最近は、仕事ばかりでプライベートがないからね(苦笑)。楽しみ……浮かばないなあ(笑)。

――では、これから挑戦してみたいことなどありますか?

押井氏:アニメーションの方は、自分の作風のタイトルをコンスタントに出していきます。実写の映画の方は短編がちょっと続きます。それはそれで楽しいけど、そろそろ長編の作品を撮りたいですね。

――次回作である「スカイ・クロラ」は、映画以外にWii用ゲームソフトでも発売されます。お聞きしたところ、実際にプレイしたとのことですが、遊ばれてどうでしたか?

押井氏:『エースコンバット』チームが作っているんですが、いい出来です。『エースコンバット』シリーズは難しかった。それに比べると。僕みたいな人間でも遊べる『スカイ・クロラ』は、プレイしやすいというのもありがたいですね。

――なるほど。では最後にファンへのメッセージをお願いします。

押井氏:それぞれの監督が、責任を持って女優さんを作品にしました。オムニバスとして成立しためずらしい作品で、ボク的にはすごく満足しています。作品が6本あったら、普通、おもしろい作品は1、2本になりそうですが、今回のは、それぞれに見どころがあります。その結果として「立喰師」からは、相当乖離しているんですが、それでいいんです。監督5人が集まって文化祭をやっているような作品になっています。どれかしらお気に入りのタイトルがあると思うので、それを楽しんでいただけたら幸いです。
 今の日本の映像コンテンツにおいて、こういう作品が商業として成立するかどうかが試されていると思うので、よければ買ってください。


インタビューに応じてくださった押井監督。「オムニバスとして、今までにない作品になった」と同氏が語る「真・女立喰師列伝」のDVDは、4月23日に発売される。


 なお、ジェネオン通販限定の「真・女立喰師列伝DVDスペシャルセットA」と「真・女立喰師列伝DVDスペシャルセットB」も同時発売される。「スペシャルセットA」には、映画本編を収録したスタンダード・エディションに、「ひし美ゆり子 直筆サイン入り・大判カラー生写真」ほかが付属。「スペシャルセットB」には、スタンダード・エディションに、劇中に登場する“ケンタッキーの日菜子”のパイロットスーツフィギュアが付属する。スペシャルセットの予約は、現在ジェネオン エンタテインメントの通販サイト「e-shop」にて行っているので、欲しい人は予約してみては?

(C)2007 八八粍・デイズ/ジェネオン エンタテインメント

データ

▼「真・女立喰師列伝 コレクターズBOX」
■発売・販売元:ジェネオン エンタテインメント
■品番:GNBD-1481
■価格:9,975円(税込)
■発売日:2008年4月23日
■セット内容:Disc3枚組
 ●Disc1:本篇、予告篇、TVCM、OPテーマ「樹海」PV(約130分)
 ●Disc2:全6話の超ロングメイキング、各監督&主演女優インタビュー(約200分)
 ●Disc3:特別オリジナル映像「押井守マニフェスト または、押井守のベールを剥ぐ!」(約110分)
  ・「押井守 100問100答」
  ・「押井守×樋口真嗣 激辛対談/逆襲!! 牛丼の牛五郎! ~押井守暗殺指令」
  ・「押井守 告白的女優論」

■「真・女立喰師列伝 コレクターズBOX」の予約・購入はこちら
Amazon

▼「真・女立喰師列伝 スタンダード・エディション」
■発売・販売元:ジェネオン エンタテインメント
■品番:GNBD-1480
■価格:4,935円(税込)
■発売日:2008年4月23日
■セット内容:Disc1枚
 ・本篇、予告篇、TVCM、OPテーマ「樹海」PV(約130分)

■「真・女立喰師列伝 スタンダード・エディション」の予約・購入はこちら
Amazon

▼「真・女立喰師列伝 DVDスペシャルセットA」
■発売・販売元:ジェネオン エンタテインメント
■価格:10,500円(税込)
■発売日:2008年4月23日
■セット内容:・「真・女立喰師列伝 スタンダード・エディション」
・ひし美ゆり子直筆サイン入り大判生写真
・4P解説書
※ジェネオン通販限定商品(300セット完全限定)

▼「真・女立喰師列伝 DVDスペシャルセットB」
■発売・販売元:ジェネオン エンタテインメント
■価格:11,550円(税込)
■発売日:2008年4月23日
■セット内容:・「真・女立喰師列伝 スタンダード・エディション」
・“ケンタッキーの日菜子”パイロットスーツフィギュア
・4P解説書
※ジェネオン通販限定商品(300セット完全限定)

■関連サイト
「真・女立喰師列伝」公式サイト
ジェネオン エンタテインメント