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2008年3月14日(金)

【OGC2008】XboxLIVE開始から5年、MSが見据える次の「LIVE戦略」が明かされる

 本日3月14日に東京・千代田区で開催されている「オンラインゲーム&コミュニティサービス カンファレンス 2008(略称:OGC 2008)」。その中で、「Xbox LIVE 5th サービスの変遷と進化」の講演が行われた。

 講演者は、マイクロソフトのホーム&エンターテイメント事業本部 XNAグループ部長の田代昭博氏。ここでは、XboxやXbox 360で利用できるオンラインサービス「Xbox LIVE」をどのように発展させ、今後どのように施策を打つかの一部が明らかとなった。

 Xbox LIVEは2003年1月にスタートして以来、今年1月で5周年を迎えた。田代氏は冒頭、2003年の最初からサービスをADSLやFTTHなどのブロードバンド専用でスタートしたことについてふれ、「当時はナロー(バンド)を切り捨てたことについていろいろと言われましたが、イノベーションを起こすべく(ブロードバンド専用を)選択した」と逸話を披露。「我々が5年前に選んだことは間違っていなかったなと思う」と、現在の状況を鑑みながら自信を見せた。

 話はXbox LIVEの進化に移る。すでに1,000万人を超えるユーザーがXbox LIVE会員となっており、田代氏によれば「(有料の)ゴールドメンバーシップと(無料の)シルバーメンバーシップでは圧倒的にゴールド会員の方が多い」とのこと。

 氏は、サービス開始以来、ボイスチャットやビデオチャット、各種コンテンツをダウンロードできる「Xbox LIVE マーケットプレース」、カジュアルゲームを購入できる「Xbox LIVEアーケード」などをつぎつぎと実装してきたことを説明。最近では、昨年末に初代Xboxのソフトをダウンロードで購入できる「Xbox クラシックス」、Xbox関連情報を動画で配信する「インサイド Xbox」を追加するなど、積極的に進化し続けていることを説明した。

 このXbox LIVE上では、オンライン対戦に始まり、各種FPSでのCOOP(共闘)、『DEAD OR ALIVE4』などでの「オンライン対戦の観戦」、『Forza Motorsport 2』でのカーデザインのやりとりなど、「新しい遊び方やビジネスが生まれている(田代氏)」ことを説明。さまざまな楽しみをユーザーに提供しているという。

 こうした流れをXbox 360だけでなくWindowsPCでも展開するブランディング施策として、2007年に「Games for Windows」を立ち上げたという。マイクロソフトでは、『Shadowrun』や、本日発表されたカプコンの『ロスト プラネット コロニーズ』など、Windows XP/VistaとXbox 360のユーザー同士がプラットフォームを意識することなくオンラインプレイできる仕組みも進めている。また、Windows Vistaには、PCにインストールされているすべてのゲームを一覧表示できる「ゲーム エクスプローラ」機能を搭載するなど、PC上でゲームを遊びやすくする仕組みを導入しているとのことだ。

 また、Xbox LIVEはセキュリティも非常に強固であるという。田代氏によれば「LIVEサービスは一度も(セキュリティを)破られていない」ほど。マイクロソフトはこうした環境をライブラリとして制作者・制作会社に提供しているため、プログラマはライブラリを使うだけで多機能なオンラインサービスをプログラムから利用できるようになっている。田代氏は「安全に、かつ簡単にゲーム開発ができる環境を提供している」と説明した。

 ここで、先日オープン化が発表された「XNA Game Studio」関連の話題に。「XNA Game Studio」は、Xbox 360やPC上で動くゲームソフトを個人でも開発できるツール。Xbox LIVEのネットワークを通じて、アマチュアの制作者たちによって作られたゲームをプレイしたり、レーティングを付けたり、共有できるようにしたりすることが決定している。こうしたオープン化は、コンシューマ用プラットフォームで初の試みだ。

 講演の中で、この「ソフト制作のオープン化」が今冬には正式にサービスインする予定であることが明かされた。今春にベータテストを実施した上で、「今夏には何らかの方向性を発表したい(田代氏)」とのことだ。このことから、2008年のXbox LIVEはXNAを積極的に推進していく同社の戦略が透けて見える。

 さらに、今後のXbox LIVEの展開について田代氏は、開発者から独自仕様の機能を拡張してほしいと要望を受けてゲートウェイソフトを提供していることを例に挙げ、「ユーザー、メーカー、販売店のご意見をうけて、さらに進化を続けていく」とアピール。Xbox LIVEが「時代のニーズに合ったプラットフォームへと進化していく(田代氏)」と強く感じられる講演だった。
「OGC 2008」
マイクロソフトのホーム&エンターテイメント事業本部 XNAグループ部長・田代昭博氏。
「OGC 2008」

「OGC 2008」
Xbox LIVEが5年間で歩んできた道のりを図示。これまでにさまざまなサービスが追加され、会員数も順調に伸びている。
「OGC 2008」

「OGC 2008」
「Games for Windows」ブランドのソフトにより、全世界にある11億台のPCをゲームのプラットフォームとして利用できることになる。
「OGC 2008」
Xbox LIVEでは、開発者向けに多くのAPIを提供している。さらに、サードパーティ独自の拡張仕様にも対応するゲートウェイを提供している強みもあるという。
「OGC 2008」

「OGC 2008」
いよいよ今年中に、「XNA Game Studio」で作られたゲームのオープン化が正式に始まる。2008年は「アマチュアゲーマー台頭」の準備が着々と進みそうだ。

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■関連サイト
「OGC2008」公式サイト
ブロードバンド推進協議会
「XNA」公式サイト
「Games for Windows」
Xbox.com