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2007年9月2日(日)

雛見沢で竜騎士07氏に直撃インタビュー!「原点に帰ることができてうれしい」

 2008年に公開が予定されている劇場映画「ひぐらしのなく頃に」の撮影が、長野県伊那市高遠町の鉾持(ほこじ)神社で行われた。

 本映画は、PC用同人ソフト『ひぐらしのなく頃に(以下、ひぐらし)』を実写映画化するもの。今回、鉾持(ほこじ)神社では「綿流し祭」の撮影が行われた。
 現場には、原作者の竜騎士07氏も駆けつけ、エキストラとして参加。その合間を縫って、氏に今回の映画化についてなどいろいろとお話を伺ったので、以下に掲載する。

▲左から及川中監督、飛鳥凛さん(“園崎魅音”役)、前田公輝さん(“前原圭一”役)、あいかさん(“古手梨花”役)、松山愛里さん(“竜宮レナ”役)、原作者・竜騎士07氏。


――映画化の経緯について教えてください。

竜騎士07氏:『ひぐらし』は最初、PC用のノベルゲームとして出したものですが、そこからたくさんの方に作品の内容をご理解いただいて、漫画化やアニメ化などいろいろなメディアに展開することができました。そうした中で、「実写でも『ひぐらし』を見てみたい」という声が出てきたんです。
 実は、『ひぐらし』という作品は、そもそも舞台台本として書いたものなんです。『ひぐらし』自体がアニメ化・漫画化されたことで、多くの方がアニメや漫画の印象を強くお持ちだと思うのですが、私の中では舞台の上で役者さんか演じるもの、というものを想定して書いていました。そういう意味では、映画化ということで初めて「原点」に帰ってきたような気がして、うれしいような懐かしいような、そんな気持ちになっています。

――キャストについての印象はいかがですか。

竜騎士07氏:変な話なんですけど、私は「物書き」じゃないですか。「物書き」は、キーボードやパソコンの前でずっとにらめっこするわけで、私の頭の中では、雛見沢という世界があり、“圭一”や“レナ”といったキャラクターが動いているのですが、それは頭の中にあるだけで、目の前にはモニターしかないわけです。そうしたものが、キャストのみなさんとお会いして初めて「ああ、(“圭一”や“レナ”が)ここにいるんだ」という気持ちになれたんですよ。
 当然、俳優の方は人間ですから、汗もかくし、疲れるし、動いたり座ったり、歩けば当然足音もする。そんな、すごく当たり前のことを思い出しました。「人が演じる」ということは、なににも勝るのだと感動しました。
 配役についても、すごく合っていると思います。漫画やアニメでは、それぞれのメディアに合ったやり方で作品を描いているんです。だから、原作や漫画、アニメと比較してしまうと「映画は印象が違う」と感じてしまうこともあるかもしれません。ですが、私としてはもともと頭の中にある世界観にぴったりで、撮影にも何度か立ち会わせていただいておりますが、みなさんよく演じていただいていると思います。「“圭一”が確かにあそこにいた」ということを、すごく実感しています。

――監督のお話によると、映画版にもまだ先がありそうな、続編が作られそうな印象を受けるのですが、その点はいかがですか。

竜騎士07氏:『ひぐらし』の原作は、全部で9編にわたる非常に長い物語です。映画では、その第1部にあたる「鬼隠し編」を描くことになります。原作の1/8のような形ではりますが、さすがに全編を2時間程度の映画に詰め込むことはできませんので、特に冒頭の「鬼隠し編」を再構成しようということになりました。まあその、続編とかそういうのは別の話になるんじゃないかと(笑)。
 ですので、「鬼隠し編」の部分を映画で見ていただいて、「これはどうなるの?」というように関心を持っていただいた方には、コミックやアニメなどを見ていただけるとよいと思います。そうすれば、また別の話が広がって、内容をご理解いただけるようのではないでしょうか。そういう意味で、映画は『ひぐらし』という世界への新しい入口になってくれればいいな、というのが私の願いです。

――映画の脚本を作る際、いろいろ監督やスタッフの方から相談を受けていたということですが、脚本で注意していた点はありますか?

竜騎士07氏:脚本については、監督ともかなり入念にやりとりをさせていただきました。脚本のキャッチボールとでもいいましょうか。この脚本は、原作者として見ても自信を持ってお勧めできるレベルです。私なりに納得のいかない部分は、徹底的に監督に返しましたし、監督からは「実写はこういう表現でこうするもの」という部分を戻していただきました。今日この場でくつろいでいられるのは、私としてやれることをすべてやりきっているからです。あとは監督の腕の見せどころですので、私はリラックスして撮影を見させていただいていますよ。
 伏線の話についても、やはり原作の1/8ということもありますので、鬼隠し編以外のエピソードも若干交えています。綿流し編や祟殺し編にかかる伏線だけを張るという方法もなくはないのですが、「次に続く」という形ではなく、映画ではあくまでも「1本の話として見られる」ようにしようじゃないかという意図です。

――原作のファンに向けてコメントをお願いします。

竜騎士07氏:これまではアニメのセル画や漫画といった形で表現されてきたので、ややもすると『ひぐらし』はおとぎ話ではないかと誤解されてしまうかもしれない。でも、『ひぐらし』はファンタジックなところもあり、現実的なところもあるのですが、実際には「人間が描いている」物語なんですよ。ですので、人間に演じてもらいたいという考えが強くあります。アニメや漫画から入っていただいた方は、実際の俳優さんが演じることに違和感がある方もおられるかもしれませんが、私としては、人間が演じる『ひぐらし』の方が原点だと考えています。ですので、ぜひ『ひぐらし』の原点を楽しんでいただきたいです。

――逆に、これまで『ひぐらし』に触れたことがない方に向けてのメッセージもいただけますでしょうか。

竜騎士07氏:『ひぐらし』は……初めての方にはどう説明すればいいやら(笑)。そうですね、『ひぐらし』はミステリーとはちょっと異なるのですが、ある謎に挑んでいただきたい作品なんです。特に鬼隠し編、つまり今回の映画にあたるストーリーには、大きな謎があるんです。
 原作をご存じの方にはピンとくるかもしれませんが、主人公の“圭一”が非常におかしな目に遭っていて、最後に悲惨な目に遭うという物語です。最後に“圭一”が、どうしてこんな狂った物語になったのかを自問自答しながら幕を閉じてゆく。ある意味これが、鬼隠し編の謎にあたります。ぼんやりと見てしまうとホラーやサスペンスになってしまうのですが、どうして“圭一”がこうなったのか、どうしてこの世界はこんなにも歪んでいたのかを考えながら見ると、より楽しめるのではないでしょうか。


(C)2008竜騎士07/オヤシロさまプロジェクト

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■関連サイト
「ひぐらしのなく頃に」実写映画化決定
「オヤシロさまドットコム」
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