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2007年4月27日(金)

任天堂、当期決算説明会を実施。2008年3月期の予想売上高は、1兆1,400億円

 本日4月27日、任天堂は千代田区の東京會舘にて、2007年3月期の決算説明会を行った。

 説明会の冒頭で、任天堂取締役社長・岩田聡氏は、4月26日のニュースでお伝えした2007年3月期の連結業績について発表。続いて、DSの長期好調や、来期の展望について述べた。以下に、ポイントとなる項目ごとに分けて紹介していく。

■ニンテンドーDSの長期好調に関して
 DSが今期だけで累計販売台数の58%を超える2,356万台を売り上げたことや、DSのタイトルが好調な推移を見せていることに関しては「ゲーム業界ではリアルタイムでパラダイムシフト(価値観の変化)が起こっており、“ゲームソフトは発売開始から3カ月経つとまったく売れなくなってしまう”、“ビデオゲームは主に子どもと若い男性が楽しむものである”、“ソフトビジネスの主流はあくまで据え置き型ハードのソフト”といったこれまでのゲーム業界における常識が通用しなくなってきている」と指摘。続いて「DSの好調は、任天堂がここ数年の基本戦略として掲げてきた「ゲーム人口の拡大」が広まってきていると見ていいでしょう。DSは、ゲームの定義を従来のものよりも大きくしてきましたが、これからは「所有者の生活を豊かにするマシン」という提案を展開していき、1家に1台から、1人に1台という流れを作って行きたい。その結果、過去の限界普及台数の壁を破るチャンスが出てくるかもしれません。今後も、さらにいろいろな分野でDSを応用してもらえるよう、さまざまな提案をしていくつもりです」と、DSはまだまだポテンシャルを持っているハードだという自信をのぞかせていた。

■来期以降の展望について
 まず、GBAの地域別本体出荷台数でアメリカがほぼ50%(日本は25%程度)を占めているのに対し、DSの地域別本体出荷台数はアメリカと日本の出荷台数がそれぞれ約30%と同程度であることを取り上げ「日本では「ゲーム人口の拡大」が広まってきており、それが数字として現れているが、アメリカ市場は元々変化がゆるやかなので、まだ反映されていない」と分析。「アメリカはこれから成長が期待できる市場。今年はアメリカ市場に注力していきたい」とアメリカ市場に寄せる期待をあらわにした。
 次に、現在同社の最新据え置き型ハードであるWiiについて話が及ぶと「Wiiは、発売後5カ月間の売り上げ台数が最も多く、勢いのあるハードです。とはいえ、まだまだ多くの方々に可能性をアピールしていく必要があると考えております。ハードの発売から1、2年間の間にどれだけユーザーをひきつける提案ができるかが勝負となるでしょう」と、すでに584万台も売り上げているWiiだが、今後も攻め手を緩めずに行くことをうかがわせる発言が飛び出した。「今後は多彩なパッケージソフトをリリースすることは当然として、「チャンネル」機能を充実させていくなど、「取り巻く人々を笑顔にするマシン」としてさまざまな提案をしていきます」とコメント。またソフトに関しては「今夏から年末にかけては、いわゆるコアユーザー層と呼ばれる、ゲームを熱心にプレイしている消費者にアピールできるソフトも続々とリリースしていくつもりです」と述べた。
 来期を含めた中長期スパンでの展望については「そもそも、ユーザーはゲームを楽しむためにハードを買うわけです。我々がハードを販売する目的は、ソフトが売れる土壌を作るためのもの。そして、ゲーム人口を拡大するということは、すなわちソフトを売る仕組みをきちんと作り上げるということになります。当期、DSとWiiのソフトは1億5千万本売れましたが、今後は、DSとWiiを合わせて年間3億本のソフトを販売できる市場を確立するということが、今後の中期的目標になります」と発言。これまでの基本戦略である「ゲーム人口の拡大」を今後も貫いていく姿勢を見せた。


 また、説明会後に行われた質疑応答でモノリスソフトの株保有率が80%を超えたこと(リンク先はバンダイナムコホールディングスのリリース)に関する質問が飛び出すと、岩田氏は「ゲーム開発会社の価値というものは、会社という容器ではなく、所属している人間によって決定されます。したがってゲーム開発会社のM&Aを普通に行ったとしても、必ず欲しい人材を手に入れられるというわけではありません。今回の場合は、モノリスソフトの社長である杉浦氏と長い付き合いがあり、氏の考え方やゲーム作りが、任天堂の求めるものと合致しているということから、中長期的に見て任天堂に利益をもたらすと考えてM&Aを行いました。場当たり的なものではなく、そういった見極めを行ったうえでのM&Aは今後も起こりうるかもしれません」と答えた。

 本日行われた決算発表会の模様は、任天堂公式サイトで本日夜に動画配信されるとのこと。今後の展望などについて語る岩田社長の姿を見たいという人は、ぜひアクセスしてみよう。

写真は演説台に登壇した岩田社長。DSの累計出荷台数が4,000万台を超えたことに関して、「我々の予想をはるかに超えた異常な状況」と、驚きと喜びをあらわにしていた。





今後のDSおよびWiiの展望について、さまざまなグラフを示して語る岩田氏。「いわゆるアメリカのパーティ文化とWiiはとても相性がいい」と、アメリカ市場におけるWiiの今後に自信ありげな様子を見せていた。

(C)2007 Nintendo

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■関連サイト
任天堂「平成19年3月期 連結決算短信」リリース(pdf)
任天堂「平成19年3月期 決算説明会資料」(pdf)
任天堂