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2007年10月10日(水)

萌え格闘ゲーム『アルカナハート』生誕秘話を開発者からバーンと聞いちゃうよ!その4

 10月11日に発売予定のPS2用FTG『アルカナハート』について、開発スタッフにインタビューを行った。

 『アルカナハート』は、同名の人気業務用格闘ゲームと、その新バージョン『アルカナハートFULL!』のPS2移植作品。アーケードでは不可能だった、旧バージョンと新バージョンのキャラクター同士による対戦が楽しめる。
 この他にも、ストーリーモードの音声がフルボイスになっていたり、ギャラリーモードが追加されていたりと、移植にあたってさまざまな点がパワーアップしている。

 今回お話を伺ったのは、1回目2回目3回目に続き、アーケード版『アルカナハート』と『アルカナハートFULL!』の開発を担当したエクサム企画統括・さくらいとおる氏と、PS2版企画立案およびトータルプロデュースを行ったAQインタラクティブ宣伝企画部・たけざわたろう氏、PS2版の開発指揮や追加仕様の企画を担当したキャビアの牧野隆一氏。PS2版が発売されるに至った経緯や追加要素の話まで、さまざまな制作秘話を語ってもらった。

――格闘ゲームシステム「アルカナシステム」と「ホーミングシステム」について伺います。まず、「アルカナシステム」が生まれた経緯について教えてください。

さくらい氏:完全新作の格闘ゲームだったのでそもそも作業量は膨大なんですが、スタッフの実際にこなせる作業量を割り出せば、実際に制作できるキャラクターの数はおのずと決まります。もちろんキャラクターの数は、多いほど遊びの幅は広がります。キャラクター10体より20体の方が遊べる要素は多くなりますし、ゲームの寿命も単純に長くなります。でも10体しか描けないという時に、どうやって遊びの幅を広げていこうかという話になったんです。それで、そのキャラクターに選んで追加できるシステムがあったとして、それがいっぱいあって、それを変えると同じキャラクターでも性能が大きく変わるのであれば、遊びの幅はぐっと広がりますよね。10人のキャラクターに10種類の「アルカナ」があれば、100通りのキャラクターがいることになり、そこを売り出せばインパクトもあるのではと考えたのがきっかけです。実際に必殺技を変えたり、性質を変えることができれば、単純にキャラクターを増やすよりも少しは楽だったというのもあるでしょうね。調整はつらいですが、なんとか頑張ってやりたいということで「アルカナ」を用意しました。実際、その「アルカナ」を使えばキャラクターの性格付けという演出もできるので、僕もおいしいと考えました。

――では、「ホーミングシステム」はどういった経緯で生まれたのですか?

さくらい氏:空を飛び回るように空中戦をしたいというのもあったり、ボーンって打ち上げた相手を追いかけたり、地面に叩きつけた相手を追い討ちしたりという、そういう動きを表現したいという話があったんです。それぞれを専用のシステムで作ったらそれはそれで楽なんですけど「わかりやすさ」や「簡単な操作で」ということなどを考えた時に、ボタン1個で汎用的にできるのがいいだろうと。弱、中、強という既存の攻撃ボタンに、このゲームならではの要素を詰め込んだボタンがひとつあったら、わかりやすい。そんな理由で、1つのボタンに集約したシステムを作ったのが「ホーミングシステム」ですね。

――ロケテストをした時には、Web上で本作のことが話題になりましたね。

さくらい氏:千葉のゲームセンター「ラッキー」さんでこっそりと行いました。せっかくのお披露目だったので、本当は大々的に発表したかったんですが、販売との兼ね合いでこっそりとファーストロケテストをやることになりました。その後、秋葉原と千葉と大阪と福岡で行われ、僕は福岡に行ったんですよ。実は、千葉のロケテストが終わって「全国一斉ロケテスト、東京と千葉と大阪だ!」って言われまして。それで「どこが全国一斉ロケテストなんだ!」って思って「全国一斉ロケテストって看板を掲げるなら、せめて福岡と仙台と札幌を追加してくれ」と上に掛け合いました。基板の数やスタッフの人数にも限りがあるんで、それ以上は押せませんでした。本音を言えば、四国や名古屋方面でも同時にやりたかったんですが。そうしたら福岡だけ申請が通ったんですよ。「あれ? 福岡だけ?」って(苦笑)。それで発案者ですし、九州出身の地の利もあったので「じゃあ僕が行くよ」ということで基板を担いで行きました。

――福岡での反応はどうだったのですか?

さくらい氏:「カジノ京町」さんというゲームセンターだったのですが、朝8:30に開店するんですよ。8:30にはユーザーさんも来てくれないだろうと思ってビクビクしていたんですが、外を見たら3人もいてくれたんですよ。涙が出そうになりましたね。ホントうれしかったです。それから徐々に人が増えてきて、10人~20人くらいの人が並んでくれるようになって「ありがたいな」って素直に思いました。そんな現状を他のスタッフに報告しようとして、各方面に連絡したら「100人並んでます」とか「40人いました」とか訳がわからない言葉が返ってくるんですよ。「おかしいなあ、こっちは最初3人だった」って(笑)。後に福岡から戻ってから、各地のスタッフから大変だったいう話を聞きました。

――次に、コンシューマ化についてお伺いします。アーケードで稼動してすぐに、PS2で出したいと考えたのですか?

たけざわ氏:そうですね。稼動当初からコンシューマで『アルカナハート』をやりたいと考えていました。弊社グループ会社のキャビア・牧野が当時のアトラティーバ・ジャパンさんと懇意にしていたこともあり、つながったという経緯ですね。

牧野氏:まずハードを決めるところから難産でした。最初に内容を見せてもらった時に、「これはPS2には乗りませんよ」と断言されました(一同笑)。その後、ソースを見せてもらって容量計算をしたところ「ギリギリ乗るかな」っていうことがわかったのですが、タイミング的に次世代機のソフトも出揃いそうな頃だったので、どうするか迷いましたね。ただうちとしては、PS2という誰もが持っているハードで出したいという意向がありました。結局、開発がスタートしたのは3月くらいですね。それまではどうやろうかとか、コンシューマに移植に当たってどういう付加価値をつけようかとか話し合っていました。

――そのような中で、開発にアーケードやPS2版格闘ゲーム『メルティブラッド アクトカデンツァ』などを手がけたエコールソフトウェアさんが加わってきた経緯について、お伺いしたいのですが。

たけざわ氏:とある方から紹介していただいたのがきっかけですね。

牧野氏:エコールさんが以前手がけられたPS2版『メルティブラッド アクトカデンツァ』が非常に良い移植でしたので、「ぜひとも」と思いました。ホントに全くと言っていいほど手がかかりませんでした。問題があっても先方で解決してくれるという感じで、安心感抜群でしたよ。

たけざわ氏:始まるまではいろいろ困難もありましたが、動いてからは早かったですね。格闘ゲームという性質もあるのかもしれませんが、途中までなかなかできてこなくて、ある時からガンガン組み上がってくるんです! 定期的にロムも更新してくれたというのもわかりやすかったですね。

牧野氏:あとは、最初にもらったアーケードのソースがキレイだったというのもありますね。それに移植の作品では珍しいくらいに、エクサムさんが情報を本当に全部くれたんですよ。それもあって、やることはゲームを組み上げるだけでしたね。

――さくらいさんから、移植に関して注文したことなどはありますかか?

さくらい氏:完全忠実移植ができるならやってくださいということと、協力できることは何でもしますということですね。ということで、フルボイスはホントに疲れました(笑)

――フルボイスにしたいというのはどちらから?

牧野氏:コンシューマに移植するにあたって、家でプレイする人は落ち着いて文章を読むだろうって思ったんですよ。それであれだけキチンと考えられた設定の文章があるんだから、どうせならフルボイスにしたほうがいいだろうと企画しました。

――PS2版の追加要素としてオープニングアニメがありますが、これはどういった経緯で追加されたのですか?

さくらい氏:妄想としては、そういうのができたらいいなと思うじゃないですか。そんな時、アニメ制作会社のGONZOで僕の知り合いが働いていまして、ひょんな縁で上の人とお話する機会ができたんですね。聞いてみると「できないことはないですね」という話になって、いろいろ企画が動きました。作ってもらえて本当にうれしかったですね。

牧野氏:最初から決まっていれば楽だったんですけどね(全員苦笑)。開発中期になってから決まったので、容量の問題で「も~~~う!!」って(苦笑)。

たけざわ氏:いや~~スケジュール的にも危なかったですね(笑)。なんとかなりましたが、どうなることかと心配しました。

牧野氏:そこはGONZOさんの底力ですよね。追い込みの仕上がりはすさまじいものでした。

――ゲーム以外の展開についてお聞きしたいと思います。ドラマCDが2巻まで発売されることは決定していますよね?

さくらい氏:収録はかなり頑張りましたよ。

――ドラマCDのシナリオは、さくらいさんが書かれたんですか?

さくらい氏:書きました! 久々に4日ほど徹夜をして(笑)。ドラマCDが1巻の発売日がPS2版が発売されて2週間後なんですが、シナリオ上の時系列もエンディングの2週間後なんです。僕が「これは『アルカナハート』の2週間後の話です」って話したら「じゃあ発売日は、PS2発売から2週間後にしましょう」って。その発想はなかったですね(笑)。

――すごいですね。それは気がつきませんでした。

さくらい氏:ちょっと感動しましたよ。感動したというか、発想で負けたというか(笑)。今後の展開としては、そうですね、少しずついろいろなところで展開する予定です。

――皆が気にしているところだと思うのですが、次回作などはどうなっているのでしょうか?

さくらい氏:『アルカナハート2』についてですね(笑)。詳細に関しては近いうちにキチンとした形でお伝えするので、そちらをご覧いただければと思います。今はこれぐらいで許してください。

――では、これまで格闘ゲームをさわってきてないという人に、本作をプレイする上でのアドバイスなどいただけますか?

さくらい氏:ゲームの作りとして、他の格闘ゲームユーザーもプレイしやすいように、他の格闘ゲームでもやれることはたいてい入れるように心がけました。A、B、Cの弱、中、強の攻撃ボタンとDのアルカナボタン。このアルカナボタンにアルカナハートならではの要素を集約してあるので、まずはこのボタンを忘れてもらってプレイすると普通の格闘ゲームとして遊べます。これで基本操作に慣れてもらい、その後でホーミングするおもしろさなどを知ってもらえればと思います。

――初心者にオススメのキャラクターや「アルカナ」などありますか?

さくらい氏:見た目で“リーゼロッテ”を最初に選ぶのはオススメしません(笑)。極めると楽しいんですが、しばらくは修羅の道です(一同爆笑)。初心者であれば、必殺技をふくめ“はぁと”はわかりやすいのでいいと思います。あとは、リーチと速さを持った“神依”もいいのではないでしょうか。CPUを相手にプレイするなら“フィオナ”の「立ち強攻撃」を振り回すのもオススメですよ(笑)。大きな剣を豪快に振り回して当てていればそれなりにCPU相手には勝てますから、まずはCPU相手に「勝つ楽しさ」を知ってもらうのもアリかと思います。

――逆に、初心者にはオススメできないキャラクターは?

さくらい氏:“舞織”、“リーゼロッテ”、“頼子”はトリッキーなので、難しいかもしれませんね。あと投げキャラの“キラ”は、1回転入力ができればぜひ使ってください。「アルカナ」だと、「愛」と「火」と「雷」かな。コマンドとアルカナボタンでアルカナ技が発動するんですが、真っ直ぐビームが出るとか、相手の場所に雷が落ちるとかわかりやすいんです。最初に使うには、そういうのがいいと思います。世間的には「闇」が強いというのがあるんですが、慣れないと使いこなせるものではないんで。

――では最後に、発売を待ち望んでいたファンへメッセージをお願いします。

さくらい氏:いろいろなハードの制約がある中でPS2に移植され、フルボイスになり、さらにオープニングアニメーションまで入れていただき、追加要素満載です。シナリオパートを声優さんたちが頑張って演技してくれていますし、ゲストイラストレーターさんたちの絵もすばらしいですし、アーケードで遊んだ人にも家庭用ならではの要素を楽しんでいただけると思います。明日発売のPS2版『アルカナハート』をよろしくお願いします。

――本日はありがとうございました。


左からAQインタラクティブ宣伝企画部・たけざわ氏、エクサム企画統括・さくらい氏と、キャビアプロデューサー・牧野氏。移植に関して苦労したところや、格闘ゲーム初心者講座なども飛び出し、ボリューム満点のインタビューであった。


(C)EXAMU Inc. /AQI

データ

▼『アルカナハート』
■発売元:AQインタラクティブ
■開発:エコールソフトウェア
■対応機種:PS2
■ジャンル:FTG
■発売日:2007年10月11日
■価格:6,090円(税込)

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