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2003年5月13日(火)

カプコンがLAでカンファレンス開催!プロデューサー7人のプレゼンを詳細レポート

 米国ロサンゼルスで現地時間5月14日から開催されるE3に先駆け、カプコンUSAが本日(現地時間5月12日)ロサンゼルス市内のホテルでプレス向けのカンファレンスを開催。「CAPCOM PRODUCER'S DAY 2003」と題されたこの発表会では、カプコン所属のプロデューサー7名が登場し、それぞれの担当タイトルについてプレゼンテーションを行った。

 最初に壇上に上がったのは、『Dino Crisis 3』と『P.N.03』を手がけるカプコン第四開発部の小林裕幸氏。多くの海外プレスが見守る中、最新作の『Dino Crisis 3』について映像を交えてプレゼンテーション。それに続き、プロデューサー陣が続々登場し、開発中のタイトルについて解説を行った。以下で各プロデューサーのコメントを紹介していこう。

■小林裕幸氏(カプコン第四開発部)
Xbox『Dino Crisis 3』

 「『Dino Crisis 3』は、Xboxでの発売ということで、アメリカのみなさんには特に喜んでもらえると思います。今作のコンセプトはスピード感、スケール感、ソリッド感の3つ。スピード感の演出としては、主人公が背中にジェットエンジンのようなものをつけていて、今までのシリーズにはないスピードで戦えるということ。またスケール感については、3D空間を自由に動き回ることができ、宇宙船を舞台にした戦いが用意されているということ。ソリッド感の演出としては、Xboxの特徴であるギラギラした表現を多用して、SF的な雰囲気を高めているということが挙げられます。また、ゲームシステムに関しては、巨大な(全長何10kmもある)宇宙船が登場して、主人公は状況に応じてそれを変形させます。それによって進むことのできる場所やフォーメーションが変化して、ゲームの攻略が変わってくるわけです。ボリュームもたっぷりあって、プレイ時間もファーストプレイで10時間はかかるでしょう。今回ゲームのなかに60分のCGムービーがあるんですが、これは日本で有名な特撮映画「ガメラ」を手がけた2人にやってもらっていますので、ひとつの映画並みのクオリティ・大作感があると思います。ゲームのタイトルは『DINO』なんですが、今回の敵は恐竜ではなく“クリーチャー”です。巨大なクリーチャーがたくさん登場します。期待してください」

■稲葉敦志氏(カプコン第四開発部)
GC『Viewtiful Joe』

 「このゲームはキャラクターデザインに特徴があって、日本のヒーローものをモチーフにしています。それをアメコミタッチの太い線で描いて、それを2頭身にしてみました。ぼくらはこのキャラクターにとても自信をもっています。ゲームの設定は映画の世界を舞台にしていて、映画の中でしか使えないスーパーパワーで悪と戦う、というものになっています。たくさんの映画から、ヒントというかモチーフというかパクリというか(笑)、いろんなものをもらっています。ディレクターは『デビルメイクライ』の神谷英樹で、彼の考えるかっこよさを追求したら、こういうゲームになりました。ゲームシステムは、普通に見ていると横スクロール型のアクションゲームにしか見えないと思うんですけど、ゲームが進むと特殊なパワーをいろいろと使えるようになります。それは「SLOW」と「MAX SPEED」と「ZOOM」の3つのパワーです。例えば「SLOW」というのは世界がスローモーションになって、自分がその中で自由に動き回れるというものなんですが、それによってヘリコプターのプロペラがゆっくりになって墜落してしまうとか、そういうおもしろい仕掛けもいろいろ入れています。画面写真だけを見ると普通のアクションゲームに見えるかもしれませんが、実は今までにない遊びや気持ちよさを追求したゲームです」

■須藤克洋氏(カプコン第一開発部)
GC『Gotcha Force』

 「このゲームは4人で対戦するアクションゲームです。第1開発部はアクションを得意とするチームなんですが、今回その一番得意なジャンルで勝負しています。ストーリーは、ある日子供たちが拾った“ガチャボール”というロボットを使って地球制服をたくらむ敵と戦っていく、というものです。今そのガチャボールを100体くらい作ってるんですが、制作の目標としては1,000体くらい作ろうかと思っています。基本的には2対2で戦うシステムで、友だちと協力し合いながら遊ぶことができます。また、メモリーカードを使って、ガチャボールを友だちにあげたり交換したりすることができます。自分の作ったガチャボールはカードゲームのデッキのように組み合わせておくことができ、それを使って対戦していくことになります。ガチャボールにはいろんなタイプがあって、装甲が厚かったり羽が生えていたりと、それぞれの特徴をいかした戦い方を楽しむことができます」

■稲船敬二氏(カプコン第ニ開発部)
GC『Megaman Battle Network Transmission(ロックマンエグゼ トランスミッション)』

 「『Megaman Battle Network Transmission』はゲームキューブで初の『メガマン(『ロックマン』のアメリカでのタイトル名)』ということで、原点に立ち返って作ってみました。“原点に立ち返る”というのはどういう意味かというと、『メガマン』の持つアクションの楽しさを追及して、すごく“細かいアクション”をさせるゲームにしてみました。先ほど『Viewtiful Joe』のプレゼンテーションで“普通のアクションゲームに見えるけどそうじゃない”という話がありましたが、これは“普通に見えて、本当に普通のアクションゲーム”です。そしてそれがマイナスポイントだとはぜんぜん思っていません。昔からの『メガマン』のファンの人や、最近のゲームがおもしろくないと思ってる人には、懐かしい気持ちで楽しんでもらえると思います。また、クラシックなゲームといっても、見た目の派手さや進行のおもしろさはまったく損なわれていないので安心してください。難しいけどおもしろいものを目指して作っていますので、ぜひプレイしてみてください。また『メガマン』自体がアメリカで15周年ということで、今年はいろいろなイベントも企画しています」

PS2『Onimusha 3(鬼武者3)』
 「以前の発表からさらに開発は進んでいます。今回は現代フランスが舞台として登場するということで、ジャン・レノさんのかっこよさや、現代の武器と過去の武器の融合などに気をつけて制作しています。今回は『鬼武者』シリーズ初のフル3Dということで、プリレンダリングの美しさに負けない映像を目指しています。フル3Dになったことで、カメラを自由に動かせるということもあり、より映画的な作りが実現できていると思います。また、ゲーム自体では、ジャン・レノさんが使うムチのような武器など、今までの『鬼武者』になかったアクションを追求しています。登場人物に関しては、2人の主人公の他にもたくさんのキャラクターが出てきて、中にはプレイヤーとして使えるキャラクターもいるかもしれません。今後の制作では、金城武さんのボイスやジャン・レノさんのボイス収録も行う予定でいます。前回の発表会の際にはジャン・レノさんの声は使わない予定だったんですが、その後みなさんからの要望を受けて、フランス語の場面で一部ですがジャン・レノさんの声を使うことになりました。日本での発売が来年の3月ということで時間があるので、まだまだ作りこんでいきたいと思っています」

PS2『Onimusha Blade Warriors(鬼武者 無頼伝)』
 「この『鬼武者 無頼伝』は、友だち同士でチャンバラのおもしろさを楽しめるものとして制作しています。カプコンといえば対戦格闘というイメージがあるかもしれませんが、僕たちのチームは対戦格闘を作った経験はありませんし、そういうノウハウを使ったものではありません。また、対戦格闘はやればやるほど強くなっていくという要素がありますが、このゲームではどちらかというと、魂を吸って一発逆転というような部分のおもしろさを大事にしています。血を流すようなバイオレンスな表現は極力使わず、幅広い年齢層に楽しんでもらえるものを目指しています。4人対戦のおもしろさを味わってほしいですね。このゲームだけのオリジナルキャラクターもたくさん登場しますので、シリーズのファンでなくても楽しめると思います」

■中嶋浩二氏(カプコン第三開発部)
PS2『Mega Man X7(ロックマンX7)』

 「『Mega Man X7』はシリーズで初めてのフル3Dという形をとっていますが、単に3Dにしただけではなく、2Dと3Dの良いところを融合した新しいゲームを目指しています。3D化したことによる最大の特徴は、360度すべてから敵の攻撃を受けたり、こちらから攻撃したりできるという点で、これによってプレイの自由度が大幅にアップしています。また、今回の新しい特徴として“ダブルヒーローシステム”という要素を導入しています。プレイヤーはキャラクター3人のなかから2人を選んで、いつでも瞬時にキャラクターチェンジができるというシステムになっています。さらに今回はAXL(アクセル)という新キャラクターが登場します。彼は拳銃タイプの武器を持っており、ダッシュやジャンプ以外にホバーリングアクションも使えます。そして、AXLの一番大きな特徴として、コピー能力を持っているということがあります。これによって、敵キャラクターに変身したり、敵を召喚して自分を有利にすることができます。ストーリーも謎に満ちたおもしろいものになっているので、ぜひ期待していてください」

■マーク・ロジャース氏(カプコン第八開発部)
PS2『Maximo vs.Army of Zin』

 「このゲームのサブタイトルになっている“Army of Zin”というのは幽霊ロボットの軍隊です。人間は500年前の戦いでその軍隊を完全に倒すことができず、封印しておいたのですが、今回それが復活して戦うことになります。ゲームを進めていくと、なぜマキシモの顔に傷があるのか? Army of Zinとの関係は? といったマキシモのバックグラウンドがわかってくる仕掛けになっていますので、そこにも注目してほしいと思います。また、今回はゲームの途中で助けを求める人たちが登場し、周りの人間たちを助けて新しいステージに進む、などといった新要素も盛り込まれています。戦闘のバリエーションとしては、必殺技を30個ほど増やしていますので、これによって自分なりのプレイスタイルを作ることができ、自分だけの特徴ある戦い方ができるようになっています。また、『マキシモ』といえば、やられたときにパンツだけになるという特徴がありますが、今回は新しいパンツが用意されていて、例えば宝石つきのパンツをはいていると力が強くなったり、パンツの種類によっては、近くのアイテムに気づきやすくなる、などのパワーを得ることができます」

■田中剛氏(カプコン第一開発部)
PS2『Resident Evil Outbreak(バイオハザード アウトブレイク)』

 「これまでアメリカでは『Resident Evil Online』、日本では『ネットワークバイオハザード』と呼んでいたタイトルです。今回、スタンドアローンでもプレイできる形にしたのにともない、タイトルを変更しました。一番の特徴であるネットワークモードでは、それぞれに能力の違う8体から自分のキャラクターを選び、最大4人での協力プレイを楽しむことができます。各自が銃や鉄パイプなどの武器を持って、独自に行動しながらゾンビを倒していきます。チャットはできませんが、その都度いいタイミングでそれぞれの会話テキストが表示されるシステムになっています。なお、キャラクターが死んだ場合は、ある一定期間だけゾンビになって操作することができます。ゲームのボリュームは現在調整中ですが、今のところ1人用のシナリオが5本くらいになる予定です。日本での発売日は今年の冬、アメリカでも順調に行けば今年中に出したいと思っています」

 また、以上のタイトルの他に、『MONSTER HUNTER(モンスターハンター)』という新作の映像もお披露目された。これは古代をモチーフにした美しいグラフィックの中、独特でカッコイイ武器を持ったハンターたちがところ狭しと動き回るネットワークゲーム。田中プロデューサーによると、発売日等はまだ未定だが「PS2のネットワークゲームは『バイオハザード アウトブレイク』だけじゃない。期待していてください」とのことだ(←この発言から、モンスターハンターのプラットフォームはPS2なのだろうか?)。

 というわけで、約3時間半に渡ってみっちりと行われ、カプコンの主要タイトルの詳細が一挙公開された今回のカンファレンス。E3会場ではさらに多くのタイトルがプレイアブルの状態で出展される予定になっており、こちらもまた世界中のゲームファンの注目を集めることになりそうだ。

海外プレスが多数参加。日本からも主要メディア各社が訪れていた。

GC版『バイオハザード』などを手がける小林氏は『Dino Crisis 3』の魅力をアピール。

『Dino Crisis 3』の映像。スピーディな動きはこれまでの『Dino Crisis』シリーズとは一線を画すものとなっている。

昨年のE3では『鉄騎』のプロデューサーとして登場した稲葉氏。「『Viewtiful Joe』が売れないと次が作れなくなっちゃうのでよろしく」。

ユニークなキャラクターが話題の『Viewtiful Joe』。アメリカでの評判もよさそうだ。

カプコン第一開発部で多くの対戦格闘アクションを手がけてきた須藤氏。

登場メカ「ガチャボール」のキャラクター商品化も検討しているとのこと。

稲船氏は代表作の新シリーズ3タイトルをプレゼンテーション。

『Megaman Battle Network Transmission』は『ロックマン』シリーズの原点に返った作品。

『鬼武者3』も、最新バージョンでデモンストレーション。オープニングムービーでは、『鬼武者2』の時代に左馬介がどうしていたかの謎も明かされるとか。

4人対戦が楽しい『鬼武者 無頼伝』。会場では実際にデモプレイも行われ、白熱した戦いを見せていた。

第三開発部の中嶋氏。『Mega Man X7』以外にも今回のE3では『GUNSURVIVOR BIOHAZARD HEROES NEVER DIE』や『グレゴリーホラーショウ』なども出展。

『Mega Man X7』はフル3Dで描かれる新しい『ロックマン』。新キャラクターAXLのアクションが海外プレスの注目を集めていた。

本日登場した中では唯一の外国人プロデューサー、マーク・ロジャース氏。前作『マキシモ』も担当していた。

会場には『マキシモ』シリーズのキャラクターデザインを担当するイラストレーターの松下進氏も出席。

『Maximo vs.Army of Zin』の敵キャラクターはロボット。攻撃時の金属音がゲーム中に響く。

『デビルメイクライ2』がプロデューサーとしての第1作となる田中氏。会場では4人同時プレイの模様が初披露された。

『バイオハザード アウトブレイク』のプレイヤーキャラは、ウエイトレスや配管工などさまざま。協力しあってのプレイが新鮮だ。


データ

■カプコンの主なE3 2003出展タイトル
▼PS2
『Resident Evil Outbreak(バイオハザード アウトブレイク)』
『Resident Evil Dead Aim(GUNSURVIVOR BIOHAZARD HEROES NEVER DIE)』
『Gregory Horror Show(グレゴリーホラーショウ)』
『Chaos Legion(カオスレギオン)』
『Mega Man X7(ロックマンX7)』
『Maximo vs.Army of Zin』
『クリムゾンティアーズ』(カプコン・スパイク)

▼Xbox
『Steel Battalion Line of Contact(鉄騎大戦)』
『Dino Crisis3(DINO CRISIS 3)』
『Pro Cast Sports Fishing (LAKEMASTERS)』
『Group S Challenge(CIRCUS DRIVE)』

▼GC
『Viewtiful Joe』
『P.N.03』
『Megaman Battle Network Transmission(ロックマンエグゼ トランスミッション)』

▼GBA
『Mega Man Zero 2(ロックマンゼロ2)』
『Mega Man Battle Network Blue(バトルネットワーク ロックマンエグゼ 3 BLACK)』
『Disney's Aladdin(アラジン)』
『Disney's Magical Quest 2 starring Mickey & Minnie(ミッキーとミニーのマジカルクエスト2)』

■関連サイト
カプコン
E3 2003