くりバカ日誌
 豪華で多彩で愉快な執筆陣を迎えてお贈りする連載コラム「くりバカ日誌」。“クリエイターたちによる場違いなほどカッコイイコラム”の略であって、けっして、“クリエイターたちがバカバカしい話を書く日記”ではありませんので要注意。
 さて、今回は谷口氏の第17回。みなさま夏風邪にはお気をつけください。(8/25)
 激励のお言葉はこちらから!

くりバカ座談会

お蔵入りかと懸念された「2008くりバカ座談会」。危ない部分を大幅カットでマイルドになってここに登場!

芝村裕吏氏の過去日誌 村山吉隆氏の過去日誌 内田明理氏の過去日誌 里見直氏の過去日誌 谷口篤士氏の過去日誌
各当番の過去日誌をめくる

谷口篤士の油田オーナーへの道

【第17回】
ピリオドの向こうへ

南国

茹だる様な熱帯夜が続き、エアコンを使う事に慣れてしまったアナタ。
最近は急激に涼しくなっているので体を壊さないように気をつけて下さいね。
ハクション!・・・谷口です。

以前から視野を広く持つ為に海外生活を勧めている僕ですが、
この度、弊社では某国某所でCGスタジオを設立しました。
そんなワケで折角過ごしやすくなった日本を離れて、
またまた暑い国に滞在しております。・・・ハクション!
こうやって海外に訪れると、
自分の足元しか見えなくなっている事に気づかされ、
同じ時間に違う場所では全く違う時間が流れている。
そんな当たり前な事を忘ている自分を振り返る事ができるのです。

社会に出て仕事をすると、次から次へと問題が襲い掛かってきます。
「よくもココまで問題を起こせるな・・・」と思える程にねw

問題の解決方法は様々で、どれが正解かは分かりません。
結局選択できる答えは1つだけだし、
それ以外の結果を見るのは難しいですよね。ハクション!
ですが人を魅了する答えには共通点がある気がします。
それは「想像を遥かに超えている答え」ではないでしょうか?

その答えを導く為には自分の足元だけを見ていると絶対に辿り着けない。
「これだけじゃない」という事を頭が理解していないと、
ありきたりの答えしか生まれてこない気がします。
そのベースになるのは個人個人の知識だったり経験だったりしますが、
それでも「自分の考えを凌駕する答え」があるという事を念頭に置くだけで、
魅力的でスマートな答えを掴めるチャンスが増えるのではないかと思うワケで。
とは言え、なかなか答えなんて出てくるモンじゃないけど、
その泥濘に足を取られた状況を楽しむ事ができたら。
それは問題を処理する能力だけでなく人間的にも成長できた証になるのではないかと。

結局何が言いたいのかというと、
折角南国に居るのに風邪気味で少々ブルーな自分はマダマダ甘いという事ですw

■谷口篤士氏プロフィール
ポリアセッツ・ユナイテッド・インク エグゼクティブプロデューサー
最近は東京でもスコールを体感できるので、
こっちの雨には驚かなくなりました。

村山吉隆の友だちになりたい

【第30回】
夏の定番

公園の緑

コンビニへ行く途中の公園の緑。こちらもヘタバっているように見えるのは暑くてボーッとしてるから?

 厳しい暑さが続いておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか? などと言っても日中はクーラーを寒いぐらいに利かせまくって遮光カーテンを閉めて電気を点けて極力外出はせず、夕方になってからモゾモゾと外へと出てくる生活を送っておきながら、それはどうなの? とも思いますが、それでも暑いものは暑いのです。
 さて、今回のお題「グルジア紛争の見せる古くて新しい戦争」「StreetViewerとGoogleの目指す世界」「弁当屋の女の子はなぜ可愛いと思えるのか?」と格調高いものが候補にあがっていたのですが、夏場になったら一度はやると決めている「怖い話」にします。ただ、持っているネタも少なくなってきたので流行の都市伝説風味混じりでね。

 浪人生時代、札幌で一人暮らしを始めた頃の話。アパート経営をしている親を持つ友人からバイトを頼まれた。入居者の一人が退去したんだが、家具などがそのままになっている。入居者の家族からは処分の許可が出てるのでその運び出しと掃除というのがバイトの内容だった。そんなことが数年に一回ぐらいはあるそうだ。
暑い夏の日、友人とともにその部屋へ向かった。しばらく、そのままにされていた部屋の鍵を開け中に入る。カーテンが閉められていたが、その部屋は異様な状態だった。

赤いのである。

 床、壁、天井、全てが真っ赤に塗られているのだ。友人によると、入居者はノイローゼになって入院したということだ。そんなことは最初に言ってくれと友人を呪いつつ、その気味の悪い部屋に入った。友人が良いと言うし、その床の赤が不気味なので土足でだ。薄暗い部屋の中で目を凝らすと、赤いのは部屋だけではなく木製の机、椅子、パイプベッド、一人暮らしにはありがちな家具が全て赤いのである。多分、何かしら本人にしかわからない意味があるんだろうな、と思いつつ、窓を開けるためにカーテンを開いた。
その瞬間、友人が悲鳴をあげた。わたしも、その場にて凍り付いてしまった。床、壁、天井、家具の全てがただ赤いと思っていたのは間違いだった。それらは、全てびっしりと小さな赤い文字で何かが書かれていたのである。部屋を真っ赤に染め上げるほど、書きつづられた意味のわからない文章。おそらく暗い部屋の中で、それを延々と書き続けていた人間がいること。そこにこもる怨念めいたものに吐き気がしてきた。

 わたしと友人はその場を逃げ出してしまった。まるでホラー映画の1シーンだが、そこには作り物とは較べモノにならない迫力があった。今でも、その光景を思い出すと寒気がしてくる。バイトは中止になり、その後その部屋がどうなったかは知らない。でも、リフォームしたとしてもあんな部屋には住みたくない。でも、あなたが住んでいる部屋が元はそんな場所だったとしたら……とか書いていると自分が怖くなるのでやめる。

 次の話

 先に書いた通り、わたしは一年浪人して予備校に通っていた。わたしは予備校近くのボロアパートに住んでいたのだが、近くには予備校の専用寮があった。予備校の友人の一人がそこに住んでいて、遊びに行った時に見せてもらったものがある。
寮入居時にはいろいろと書類を提出しなければならないのだが、その中にアンケートがあった。そのアンケートの問題用紙を見せてくれたのだ。そこには200問近くの問題が並んでいる。「生活は規則正しい方だ」「風呂には毎日はいる」「朝起きたら歯を磨く」……正直、どうでもいいと思える問題が羅列されているのだが、30問に1問ぐらい不思議な質問が混じっている「みんなが自分の悪口を言っている」「誰かが自分のことを陥れようとしている」「一人で部屋にいると誰かが話しかけてくる」……、これは心理テストの一種でその他の問題は意味がなくて、そこに紛れ込んでいる一部の問題のみが重要なんだろう。
友人によると予備校生ばかりのこの寮では一年に一人ぐらいの割合で自殺者が出るそうだ。

 次の話

 友人がアパートで寝ていたら、ドアを激しく叩く音。その尋常ではない叩き方に不思議に思った友人はドアの隣、小さな台所の窓を開けてそっと外の様子を確認してみると、そこには目を血走らせた男が包丁を持ち、ものすごい勢いでドアを叩き続けている。
その形相に腰が抜け(本人いわく、本当に怖い時は本当に腰が立たなくなるとのこと)必死に這いつくばって電話を取り警察へ連絡、急行した警察によって男は捕まったそうだ。

 やっと事が済み、警官の事情聴取に応じるためにアパートの扉を開けた友人は、屈強な警察官二人に脇をつかまれて外階段を降りていく、その男と目があった。
その瞬間、男が言った言葉。

 「覚えておけよ!」

 友人はすぐに、そのアパートを引っ越した。

 最後

 やっとマスター出しが終わって二週間ぶりに自分のベッドに入った途端、電話の呼び出し音が……

■村山吉隆氏プロフィール
ブルームーン・スタジオ、代表取締役。暑さにヘタバっている。

芝村裕吏のゲーム戦線異状なし

【第29回】
アリストテレス

 私は生命の神秘などにはあまり興味がない。

 尊敬はしているし凄いとは思うのだが、どうにも判らないことばかりで、ついでに判らないでも全然いいやなどと思っているせいである。私は猫が私の膝の上で丸まってもその仕組みを調べようなどとは思わないし、キスするときも同じである。

 自分で言うのもなんだが好奇心は旺盛な方だと思うのだが、それは生命にまでは及んでないようである。

 と言う話を、見事な屏風絵を見物に行った寺のお坊さんに話したら、それは畏れというものですよ。芝村さんは畏敬をご存知でいらっしゃるといわれた。なんの実感もないがそういうものかも知れないと、茶を飲みながら思った。畏れとはようするに、踏み込まないことなのだなと武道になぞらえて理解した。

 むろんのこと、生命に畏敬の念を持つのはこの国の人間なら当たり前であろう。当たり前すぎてよう分らんのであれば、それはそれで、理解の範囲内である。

/*/

 ペンギンは、なぜああいう色の塗り分けをされているかについて、深夜に話す。
なんでまた興味もないことを口にだしたかと言えば、相手が興味ありそうな話をしたせいである。

 興味も何もなくても、私の記憶力は論文や本の内容をよく覚えている。
  窓際に吹く風がペラペラめくった本であっても、私はその内容を記憶できる。いくつもの本を同時に思い出したり関連するものを繋げて何十年か先で同時に読書することも出来る。

 ついでに私は、かつて魚の自動生成を行ったことがある。深い理由はない。ただコンピュータの中で色々な魚が泳いでいたら楽しかろうと、芝村的に考えただけである。どれだけ知識があって知恵が巡ろうと、我ら猫の友、そんなものだろう。深く考えると己を偉そうに思うだけで本質を見失う。

 ペンギンのカラーリングはペンギンを見ていても意味が理解できない。
  動く姿を見なければ物の本質なんて判らないよとは、私の傍にいた猫達が教えてくれる。

 その通りだ。私は猫の隣で歌った。

 かつて南極に行った時には全然分らなかったが、10年後の今なら判る。
記憶を再生する。私が見たペンギンは地上で群れなすそれだけで、ペンギンの全部ではない。
  ペンギンの本領は水の中だろう。

 水を得た魚ならぬ鳥。地上とは比べ物にならない俊敏さで泳ぐペンギンは上面が黒、下面が白である。

 このカラーリングパターンはマグロや鯛、フナ、イルカやシャチ、鯨で確認できる。
  ペンギンのカラーリングは光さす海に生きるものとして一般的なカラーリングである。

 魚類でも哺乳類でもそうなのである。ガラパゴスで見かける海イグアナもほぼ同系だろう。
  ならば鳥類もそれになるに違いない。なぜ種族が違っても同じカラーパターンになるかは私にはわからないしその仕組みに興味はないが、まあこれぞ生命の神秘であろう。

 一億年前の水竜や首長竜も、同じカラーリングであった可能性が高い。
  私は図鑑を白黒コピーして色を塗ってみた。なんともユーモラスで親しみがわいた。
  こんな生き物はたしかにいたろうと、そんな感じがする図であった。

/*/

 光さす海と書いた。深海ではこのカラーリングパターンは通用しない。
  マッコウクジラは1000mクラスの潜りをするが、カラーリングパターンは同じだから、生活の基礎パターンは比較的浅いのだろう。それくらいは鯨と生活しなくても思いやることが出来る。

 光さす海に照らされる生き物達は上面の色が濃くなる。
  銀色に輝くイワシやニシンも同系である。

 おそらくこのカラーリングパターンは太陽の影響だろう。同じことを考えた人が過去にもいたはずだ。普段は注意深くしまいこまれている記憶の糸をたどると、いた。万学の祖アリストテレスが同じようなことを言っている。ウニをアリストテレスの灯りと言うように、あるいはイルカが魚類でなく哺乳類であることに気づいたように、この人は海に親しい人である。

 万学の祖は海辺を毎度ふらふら歩いては漁師と親しく語っていたに違いない。
  彼はイルカや鯨の寿命は25年から30年と推定しているが、これは恐らく、漁師の実体験を基礎にしているのだろう。漁師が良く見かけるご近所のようなイルカがいたはずである。

 今から2300年以上前にそんなことを聞いて寿命は25から30年と記録に残すアリストテレスは大変人であったが、愛されていたことは間違いない。でなければ漁師はイルカの話をしたりもしないし、今にいたるもウニにその名前は残らないだろう。

 ウニを熱心に調べるその姿を、漁師達は愛したに違いない。

 彼は後年、後にアレクサンドロス大王になる少年に教えたが、その影響が大王の言動によく出ている気がする。彼は師のかわりに軍勢を率いて世界の果てを見に行っている。

 時は今に戻る。

 いやはや、2300年前と同じようなことに再び気づいているようでは精神的子孫と失格だなあと思いつつ、万学の祖を近くに感じた。

 いや、さすがご先祖と俺はようにとるわ。

 人類皆アリストテレスの精神的子孫である。変人は愛され、イスラム圏で文献保存され、翻訳されてヨーロッパに広まり、今に至る学問の基礎となっている。

 この話のいいところは変人は宗教・時代を遙かに越えるというところで、キリスト教でもイスラム圏でも、もちろんリアルタイムであったギリシャ・ローマの神々の時代でも、アリストテレスの言葉や記録は可能な限り保存され、学問として繰り返し人に教えられていることである。この世のどんな宗教も、変人を罰する法は制定してないのだろう。これは頑迷で信心深い漁師達やその精神的子孫が、アリストテレスの心を後々まで守ったためと思われる。

 おかげでアリストテレスの名を知らない人々もその太陽のような影響は受けているわけだ。

 そうだ、今度、子供に何かを教える時があったなら、一人の大変人の話をしよう。
  顔立ちは海法に近く、ふらふらさ迷うのは私に近く、まなざしは桝田のそれであり、不思議を不思議と思うのは、お前たちに良く似ていたと。

■芝村裕吏氏プロフィール
バンダイグループの一社である株式会社ベック所属営業企画部次長岡本吉弘、バンダイ側正式呼称、2代目猛獣使いの猛獣として知られる、ゲームデザイナー。

里見直の七転八倒

【第26回】
暗い日曜日 act2

 テレビやネットを見ていても、最近何ひとつ良いニュースがない。悲しいことや頭に来ることばかりで気が滅入る。どいつもこいつも、殺し過ぎだし、値上がりしすぎだし、無駄遣いしすぎだし、ずさんすぎだし、無責任すぎだし、嘘をつきすぎだ。モラリストを気取るつもりはさらさらないが、なんかもう酷すぎるだろう。お前らいい加減にしろ!!

 そんなやり場の無い怒りを政権与党にぶつけると、毎回同じお礼のメールが返ってくる。
  「あなたの声が、日本を変える力です。自○党が、あなたの声をかたちにします。
   ○民党の懐刀は、あなたです」
  嘘をつけ! 俺の声がかたちになると言うのなら、即刻その懐刀で腹を切れ!! 早く解散して民意を問え。解散されても、入れたい党が無くてガッカリするだけなんだがな。でもしないよりマシだ! 自分らが下野するかもしれないという危機感がなければ、まじめに国民の声を聞こうとするわけがない。
  まぁ、こんなこと言っても国家転覆罪だかなんだかで逮捕されないだけ、どこぞの国よりはマシなのかもしれない。しかし、社会底辺のおっさんが一人で喚き散らしたところで、何にも変わらないのも事実である。世の中、どうにもならないことはどうにもならない。

 我々の世代は、バブル経済が景気良く弾け、日本が不景気の坂をズンドコ転げ落ちはじめたあたりに学校という楽園を放逐された。それから10年を「失われた10年」といい、その間に就職を迎えた世代を「失われた世代」と言う。
  何が10年だ。なんとか業界底辺の企業に潜り込み、二度の転職を経て働き盛りの20代30代を浪費して来た人間にとっては、失われたのは10年どころの話ではない。後世の学者からは、1991年2月以後はきっと「失われた20年」、いや「失われた30年」と呼ばれるだろう。それくらい、今のダメな若い世代の頭の上に圧し掛かっている停滞感は、延々続いていると言っていい。
  昨年あたりまで、いざなぎ景気も抜く好景気! なんちゃらセレブなんて言葉も踊ったが、本当にそうだったか? 銀行に金預けていてもまったく増えやしないし、好景気にふさわしいほど給料が増えたわけでもない。増税につぐ増税。値上げにつぐ値上げ。一方で非正規雇用者の数は年々増え続け、自殺者の統計は平成10年から毎年3万人超だ。
  こんな世相でありながら、ひとたび若い奴が事件を起こすと、やれゲームが殺人者を育てただの、ネットがどうたら〜だのしたり顔で語りだすマスコミや知識人が雨後の筍のように出てくるが、馬鹿かお前らは。
  お前らがリアルでやってきたことをリアルでできなかったのが、今の20代30代、これから辛い現実を嫌というほど味わうことになる10代だ。だから決して高くもない給料から、5%や時には10%の金を捻り出して、ゲームやネットのコンテンツを買っているのだ。それすらもままならないから、中古屋で定価6800円のゲームが380円で買えたと小さな幸せをかみ締めている。その意味を考えたことがあるか。
  現実で車が買えりゃ、ゲームなんか買わずにモノホン買うだろ。年々車の国内販売台数が右肩下がりらしいが、当たり前だ馬鹿。バターすら買えないのに買えるかボケ。
  現実の異性関係が充実してるなら、伝説の樹の下で突っ立てたりはしないだろ。少子化で財源が無くなるから移民引っ張ってくるとか、それは違うだろ。若い連中が家庭を持って子供を残せるような仕組みを考えるのが先だろうが。
  ちょっと先生が子供の頭ひっぱったいたくらいで問題になる世の中で、じゃあ子供はどこで暴力の痛みや悲惨さ、必要性を覚えるんだ? 見えないように建前で滅菌すれば、暴力事件が根絶されると本気で思っているのだとしたら、どうしようもない楽天家だ。
  そんな奴はナイフ一本持たせて、シャドーモセス島に送り込めばいい。自分が暴力と直面してから、その是非を問え。理想やアレルギーで死刑撤廃を訴えたり残酷表現を規制する前に、考えること、やることが山のようにあるだろう。

 何もかもゲームやケータイ、ネットのせいにするな。娯楽は時代を映す鏡でしかない。今の世の中にゲームやケイタイが無くても、必ず他の媒体に、歪で醜い時代…いや、人間の本性が写っているはずだ。年寄りの頃には、テレビや映画、小説がそうだった。感化されるツールが、デジタル化されただけの話だ。受け取る側にも変化があるとしたら、それはデジタル信号が変えたわけではない。社会とそれを作ってきた人間たちが変えたのだ。
  ツールではなく、ツールの影に潜んでいる奴らを暴き出して非難しろ。一方ではツールをもてはやして飯の種にし、一方では人殺しの道具のように喧伝する。乞われるままにツールを買い与え、事が起きれば自分の無責任を棚に上げ道具を非難する。これが大人のやっていることだ。
  それに乗っかって、さんざん快楽中枢を刺激して人を殺させたくせに、手のひら返したように人殺しの悲惨さを訴えるゲームも、やはり欺瞞でしかない。一回作ってみてわかったが、誰もそんなことまで考えやしない。自分の中では首尾一貫して殺人を否定していても、それがシステムとして気持ちよければ、やってる方はそんなことお構いなしなのだ。いかに効率よく、気持ちよく敵を殺すかしか考えない。気持ちよくないものは売れないから、そんな所で何をほざいても誰の耳にも届かない。こういうゲームはモラルを説くツールには向いていない。

 こんな世の中で、そんなものを手にする子供たちと与える我々は、その点を自覚する必要があるだろう。ゲームやネットが有害だとすれば、それが売れる社会そのものが有害なのだ。
  だからと言って、くだらないコンプレックスや不満を無関係の人間にぶつけるのは言語道断だ。そんな輩は苦しみぬいて死ねばいい。世の中は理不尽と不公平に満ちているが、それに折り合いを付けられない自分にも、また問題があるのだ。

■里見直氏プロフィール
色々と胸が痛い。

村山吉隆の友だちになりたい

【第29回】
ガーンズバックもしくはタツノコプロ連続体

 自衛隊も導入を目指している米軍の次期主力戦闘機F−22ラプターは、実質的な意味で最後の有人戦闘機と言われている。これは文学的な表現ではなく、次次期の開発プランは無人戦闘機しかないという話である。ネイビー・シールズに10年在籍したリチャード・マコウィッツがお送りしている「フューチャーウェポン」は現在の所このコラム連載陣視聴率40%の人気番組であるわけだが、でてくる兵器が次から次とロボットで遠隔操作でとっても安全! な、もう次の戦争は人間いらねーなぁというラインナップである。

 キリキリという甲高いキャタピラ音を響かせたロボット歩兵が、ライフル弾の火薬を舐めて半ラリ状態で頬を紅潮させた少年兵を、コンクリート壁越しの正確な射撃で撃ち抜くのは、もうSF映画の世界ではない。

 ラプターの話に戻る。この戦闘機はステルス性がウリで、レーダーに映りづらい。現代の航空戦はミサイル撃ったもの勝ちなわけで、朝鮮戦争の昔からあった「もう戦闘機って、ミサイル撃つ土台ってことで良いんじゃね?」というミサイルキャリアー幻想が現実になりそうな予感もする。
 相手から見えない所から、誘導ミサイル撃ってくるわけなんで、これが対戦ゲームだった場合は、なんというクソゲー、ちょwwwwバランスwwwwww、なわけなんだが、現実世界とは辛いもんだ。

 このステルス性を保つために、ラプターはミサイルを機体内のウェポンベイに内蔵して、必要時にハッチを開いて発射する仕組みになっている。

 これを見るたびに、昔のアニメの戦闘機もよく機体からハッチを開いてミサイルを撃っていたこと思い出す。連邦軍の次期主力モビルスーツRX78ガンダムのお腹の中のコアファイターも、ウルトラホーク一号も、ゼロテスター一号機もそうだった気がする。
 当時そういうギミックを、『いちいちハッチ開いて発射なんてリアルじゃない!』と思っていたものだ。
現在開発中のステルス水上艦も、傾斜平面で構成され余計な突起物なんか出ていないツルツルした形状は昔のアニメの宇宙船のようである。
 戦闘機搭載用のレーザーガンも戦車用のバリアーも開発中で、そこまでいくとそろそろ三機合体や変形してロボットになったりしない方がおかしい気までしてくる。

 未来というのは、わからないものである。 かつて古びた未来像だと思っていたものに現実世界が近づいていく幻視感だ。

 携帯電話に電子マネーをチャージしてのコンビニ支払いを試して、すげー未来っぽい!とニヤニヤしながら、早いところ貨幣単位が『クレジット』か『新円』に変わらないかなと思ったりもする。

 アニメや漫画があまり未来世界を描かなくなって久しい。精々は近未来まで、もしくは宇宙空間ということになっている現代社会と変わらないものだ。それは共有できる未来像が失われ、そこにワクワクするセンスオブワンダーを見いだせなくなっているからであろう。サイバーパンクでさえも、古くさいガジェットの集合体になってしまい色あせてゆく。

 お話作りを生業とする我々は、ストーリーを「それっぽく」するために現実的裏付けを意識しながら、時には踏み越えつつ時には現実に怯えつつ先へ進むのに、現実の方がそれをあっさり越えていってしまうのは、わたしの想像力が追いついていないからかね? と疑ってしまう。

 ミリタリーSFの戦闘機が加藤直之デザイン風ではなくてタツノコプロ風の方が正しいということになった場合、わたしは納得いくのかどうか、かなりの疑問だったりもするが、未来は多分すべてを裏切って藤子不二雄風になったりもするんだろうなと最近は思うようになった。ツルツルスーツ万歳。

 でも、30発近くのショットガンシェル(弾)を高速連射する銃は、さすがにチートくさいのでFPSで採用するのはやめてください。

■村山吉隆氏プロフィール
ブルームーン・スタジオ、代表取締役。アイディア出しのための散歩には良い季節。

内田明理のランブルSide

【第22回】
「キャラ設定」ってなに? 或いは、2nd Season 発売からそろそろ1ヶ月経ちますか……

お陰様で、『Girl'sSide2nd Season』も大好評いただいています!
大好評すぎて……。

ところどころ、売り切れのお店が出てしまいました。
『1stLove』のときも同じようなことになってしまったんで、今回は結構多めに作っておいたんですけど、それでも。
今回はちょっとタイミングが悪くて、期末商戦な上に中国の生産工場の正月休み(2月)の影響が重なったために、再出荷まで時間がかかってしまったということがあります。
でも、3月7日以降はまた店頭に並んでいたと思います。
「近所に売ってなかったよ!」という方。ゴメンナサイ!
すみませんけど、またちょっと店頭まで足を運んでみてください。

いやぁ……。
がんばってみるものですよ、皆さん。
がんばればいつか評価される。今回の制作ではそんなことを実感できました。

ところで、ここを読んでいる方の中には、もうご予約済の方も多いと思いますが、今月末には、お待たせし続けていたイラストレーションズが、2ndSeason攻略本、ノベルの第3巻と一緒にリリースされます。

イラストレーションズは、本当にお待たせしました。
小松原さん(GSシリーズのキャラデザ)を一昨年に続いて去年も本編制作の方で抱え込んでいたことが遅れの大きな原因の一つです。
そういった意味では、正に僕の差配の不味さに問題があります。

でも、その代りと言ってはなんですが、これまでのGSシリーズイラストの総決算とも言うべき全シリーズ、キャラクター網羅の記念すべき一冊になりました。
ちょっと値がはり(税込\2,762)ますが、内容的にはかなり充実しています。
ぜひ一度、見てみてくださいね。

小説の方も、もう大詰めです。
実は先週、正に真嶋編の監修をしていたんですが……。
泣けました……。

まあ、大体において僕は、自分の考えたキャラクターのお話を他所の人が書いた物を読むと何だか泣けてしまいますが、今回みたいに出来が良ければなおさらです。
あの限られた情報を元に、よくここまで真嶋と主人公の関係を掘り下げてくれたなと。

GSの脚本では、視点が主人公側からだけ(キャラクターの心情をト書きできない)という演出上の制約も去ることながら、方針として、キャラクターの環境詳細、それまでの人生細かい好み等々……所謂キャラ設定という物を、ゲーム中では必要最低限しか描かないようにしています。
もちろん、人物を描くにあたって自分の頭の中ではかなりカッチリと、語られない過去のエピソードを作っておきます。
でもそれも、現時点のキャラの行動原理になっているようなものに限っていて、それ以外の設定はほぼ作りません。
当然、自分が書けないキャラ担当のライターさんには、担当キャラ分のエピソードイメージは共有してから書いていただくんですが、自分担当分については教えない。というくらい徹底してます。
ライターさんも、僕からキャラ造形を渡された後、当然キャラ設定を肉付けして作っていくわけですが、それも、僕の方からは何か必要に迫られない限り聞かないようにしています。
なんでかな、と、考えてみたんですが、あまりハッキリした理由は思いつきません。
多分ですけど、誰にでも引き継ぎ可能にスペック化することによって、キャラクターが記号の塊みたいなものになってしまう気がするんだと思います。

だから、よくインタビューなんかで、「●●君は、つまり××系の△△キャラってことですよね?」といった質問をされると、「あぁ、そうなんですかね……」といった具合に返答に窮します。
一緒に仕事をするライターさんを探している時も、「◎◎みたいな△△キャラ大好きですよ!」というようなアピールをされると、「この方と一緒に仕事をするのは無理だろうな……」と思ってしまいます。実際、無理に仕事を初めても十中八九上手くいきません。
どううまくいかないかと言うと、まず、「設定と呼べるようなものは、これだけです。あとはシナリオ本編を参考にということで。スイマセン」という発注から始まる。
すると、大体、本編中にあった面白い言いまわしをやたらと繰り返したり、”△△キャラ”的なエキセントリックな感じなものが上がってくる。
で、

う「なんで◎◎は、こんなにキレちゃうんですか?」
(性格破綻者じゃん、コレじゃ……)

ラ「◎◎は、本編のあそこでもこれくらキレてますよね?」
(だって、△△キャラだろ……)

う「あそこは、ヤツのあの部分に触れちゃってる上に、前段でこういうイベントがあるから云々」
(つーか、△△キャラってなんだよ)

ラ「はぁ……そうですか」
(じゃ、設定作っとけよ)

みたいな泥沼になると。
まあ、書かされる側からしてみれば、わがままも大概にしとけよ、と。そうなるのも必定です。

その点、今回のノベライズの、ちゃいさんや、本編脚本の田島さんと出会えたことは、ホントにラッキーです。
いやぁ……なんつーか、楽させていただいてます。
フツーに、上がってくる本を読むのが楽しみですからね。こんなにありがたいことは無いですよ。

そう言えば……。
以前、お客様から「次回作ではこういうキャラクターを出してください!」というお便りをいただきました。
知的財産権上の問題から、制作にそういうお便りは回って来ないことになっているんですが、なぜか普通の応援のお便りの中に紛れていたんですね。

そこでもやはり、「キャラ設定:●●系の◎◎キャラで△△好き。でも本当はハラ黒系。常に××を着ていて、髪はロングで緩く結んでいる。CVは〜〜さん」
という内容がみっちりと書いてありました……。

こうして考えてみると。
そもそも、僕がそういった「●●系」的な分類、キーワードに疎過ぎることに問題があるような気もしてきますね……。
田島さんや、ちゃいさんがとてつもなく大人なだけで……。



で、何の話でしたっけ?
そうそう!

ノベルの話でした。
そういうことで、これから古森編の監修を始めます。
「発売日が3月28日なのに、今やってんの?」と思った方!
ピンポンです。

急ぎです。
大急ぎです。

ということで、現場復帰します。

艶男!

■内田明理氏プロフィール
株式会社コナミデジタルエンタテインメント・プロデューサー。代表作はPS2『ときめきメモリアル Girl's Side』、PS2『ランブルローズ』、Xbox 360『RumbleRoses XX』、DS『ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love』等。DS『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Season』も大好評発売中!

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