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カプコン 小林裕幸氏が語る人気キャラクターを生み出す“きっかけ”

■あらゆるところがネタの“きっかけ”に!

――実際に「プロデューサーってどういう仕事なの? 何やっているだろう?」と思ってる人も多いと思いますが、その仕事内容を教えていただけますか?

その制作チームの責任者で、まとめる人と思ってもらえたらいいんじゃないかと思います。最終的な判断はしないといけないですが、だからと言って常に開発の現場に朝から晩までいるわけでないですね。普段は、営業との打ち合わせだったり、プロモーションの人間との会議だったり、あとは映画で言うところの監督にあたるディレクターの山本と毎日何時間も話をしています。自分で立ち上げた企画なので、可能な限り『戦国BASARA』には時間を費やして、現場も回って何か面白いものを見つけたら「これ何?」とか聞いたり、当然報告もいろいろ聞きながら現場の様子をチェックしています。まぁふらふらしているので、何をしているのか多分誰も把握してないと思いますが、いろいろやってます(笑)。

――『戦国BASARA2』は何人くらいのスタッフで制作していますか?

前作は社内だけで言えば2、30人で、CGムービーやアニメーション、音関係は外部にお願いしていたんですよね。で、『2』では短期間にものすごいボリュームを作らないといけなかったんで、倍で60人くらい制作しました。最初からではないんですけど、比較的早い段階で60人くらいにはなりましたね。会社のビジネスフロアが1フロア全部『戦国BASARA2』チームになりましたからね。

――今回はかなりの短期間で制作したとお聞きしましたが、その辺で苦労されたことなどは?

『戦国BASARA』に関しては意外とスタッフのみんなが勝手にやっていますので、暴走を止める方が大変かなっていう部分がありましたね。ストッパー役なので、やりすぎていたら止めるし、やりすぎていないともっとはっちゃけたら? っていうところもありますし。でも、やっぱりアイデアはどんどん出してほしいですね。いいアイディアが出ない時が一番困ってて、もう1回考えてよっていうときに、考えても考えても出ないものを繰り返しててもしょうがないので、違う部分からアイデアをひっぱってこようかとか、こんなのどう? とか話をしますね。僕もアイデアマンではないですが、「こういうのはどう?」っていうものをいくつも出して、そこから揉んでもらって違うものが出てきたりとか。ネタはホントにいくつあっても足りることはないので、日々そのへんは苦労している点です。でも、最初は結構気軽にいろいろと決められるところが『戦国BASARA』のよいところで、この子は死んでもコレやりたいなというネタは、問題がなければ絶対にやらせてあげたいなって思うんですよ。でも、それが行き過ぎて作品のイメージを壊してしまうものはダメですけれども。例えば宇宙に飛び出しちゃうとかいう話もあって(笑)

――宇宙ですか(笑)

飛んでくわけですよ。飛んでるやつもいるけど、飛んでいって宇宙、地球から出ちゃうと(笑)。それはやめてくれと。世界観壊れるから(笑)。そういうときはちゃんと止めたり、あとはそのキャラクターを壊しちゃうような行動は止めたりすることが結構ありましたね。“前田利家”と“まつ”の話だと、夫婦で仲がよいんですが、今回決めポーズでバーンと登場するんですよ、ムービーだとハートで。これは最初、デモで2人の上にバラが咲いてたんですが、バラが咲くのは“上杉謙信”と“かすが”っていうキャラクターとかぶるから外してくれとか。今回『2』で戦隊モノみたいな5人衆の槍舞台が登場しますが、これも判断に悩んだんです。「やりすぎてるんじゃないのか?」、「いや『戦国BASARA』だったら、ここまではっちゃけても……」みたいな感じで。それで、やっぱり揉めたりしますね。あとは作りながらアイデアが出てくることも結構あって、開発期間の関係もありますが、僕のやってるチームでは、制作しながら要素を増やしていくことが多いですね。

――小林さんは『戦国BASARA』シリーズ以外にもいろいろなゲームをプロデュースされていますが、作品によって作る過程の面白さとか苦労は、それぞれどのように違いますか?

シリーズものと新規ものがあって、僕は結構シリーズものが多いですが、最初に『戦国BASARA』を動かしたときは「ゴールが見えない」、「ウケるのかウケないのかわからない」という点で苦労がありましたね。『2』の場合はすでに『1』のときに受け入れてもらえたので、あとは足りなかったものを足して、パワーアップさせてと、明確にわかりやすかったので、『2』ではそんなに悩まずに作れた部分はあります。ですが、『2』は時間が厳しかったですね。昨年秋に、今年の夏に発売するということが決まって、短期間にいかに『1』以上のボリュームを作るかというところが大変でした。『バイオハザード』シリーズで言えば、『バイオハザード4』がかなり大変でしたね。こっちは『1』が国内で100万本以上、『2』も200万本以上売れて、派生タイトルやナンバリングタイトル以外の『バイオハザード』作品をたくさん発売してきましたが、やっぱりだんだん売れなくなってくる。ファンが『バイオハザード』に飽きてきたという中で、『4』をどのようにプロデュースしていこうか、ホントに苦労しましたね。思い切っていろいろ変えなくちゃならないなという部分がありまして、どう変えたら新しい『バイオ』になるのかとか。『バイオハザード4』はすごく高いところを目指していて、もう普通のゲームだったら「ああ、これでいいんじゃないの?」となるところですが、すでに発表して映像とか出しているのにもひっくり返したりして。落ち着くまでは、もう本当に地獄の日々でしたね。ゴールがないのに走り続けていくような感じでした。

――なるほど。最終的な判断はどのようにするのでしょうか?

何回も失敗して作り直していることで、僕も含め、スタッフの不安がずっと付きまとっていたんですが、新しい主人公の視点でゲームを作るという方向で話が進んだときに、僕自身は「コレはいける」と自信を持てた部分があるんです。で、当時カプコンはラスベガスで海外プレス向けの発表会を開催して、そのときに『バイオハザード4』の試作版を出展したんですが、それがすごく評判がよかったので、「よし! 思った通りだ!」と実感しました。でも、実は僕の「コレはいける!」という自信が、現場のスタッフの気持ちとズレていたんですよ。現場はかなり不安で、どういう反応だったかすごく気にしてて。そのときに初めて現場の気持ちと自分の気持ちがズレていたことが分かって、失敗したかなぁと思いましたね。

――そういう現場と気持ちがズレているときは、どのようにそのズレを縮めるんですか?

例えば、開発スタッフはプレスの方と会う機会がないわけで、雑誌なりネットの反応しか見られないんですよね。だから、ちゃんと出版関係の方や他のメーカーの方の反応を直に伝える。反応の伝言役として、チームには逐一反応を伝えながら、モチベーションを上げて頑張ってもらうというのも、プロデューサーとしての僕の仕事ですね。よっぽどひどい反応は、かなり丸めて伝えますけど(笑)。

――物作りをしていると、そうした反応にすごく左右されてしまいますからね。

大阪で実施する店頭試遊会であれば、「大阪なんだからいったら?」と言いますし、流通説明会とかもユーザーに近い立場の方たちが来るので「それを見たら?」と言って、反応を肌で感じてもらうようにしていますね。最近で一番よかったのは、「Zepp東京」で開催した「バサラ祭 2006 夏の陣」ですね。ファンの反応を肌で感じられるいい機会でした。

――話は変わりますが、今クリエイターを目指している人たちは、学校の授業とは別にこういうことをしておいた方がいいよというのはありますか?

やっぱりいろいろな作品を見たり、読んだりすることですね。僕自身、当然今でもいろいろなものを見たりしていますが、10代後半、20代前半は見たり触ったものの影響は大事だし、吸収しやすい時期だし。もちろんゲームでたくさん遊ぶことも重要ですね。そういうことが自然とネタ出しに活きてきますから。よくクリエイター同士や出版関係の方と話をする場合、何かを説明するときに例えば「映画のこういうシーン」とか「あの映画のキャラクター」というのが出てきたりしますので、その辺が知っていないとついていけなかったり、理解できなかったりするので。「ベルセルク」という漫画がずーっと話題になってたんですが、僕は読んだことがなかったんですよ。で、ゲームを作るときに「ベルセルクのガッツがこうでこういう技をね……」っていうのがあったんですが、最初は流してたんですよ(苦笑)。で、『デビルメイクライ4』のストーリーの打ち合わせのときに、やたらと「ベルセルク」の話が出てきて、さすがにこれは読まないとやばいなぁと(笑)。

――そういったことがネタの“きっかけ”になることも多いですからね。

そうですね。例えばこの漫画が今すごく流行っていて、読んだけど俺は嫌いっていうのはいいんです。いろいろなものを吸収していく中で、好きなものだけ見たり読んだりするのではなくて、嫌いなものでも流行モノだったら読んでみてほしいですね。当然、好き嫌いという感情も大事なので、嫌いであれば、何が嫌いなのかを自分の中でしっかりと分析する。『戦国BASARA2』チームは発売を無事に終えて、まだ休暇をとっている人間もいるんですけれども、1日中朝から晩まで映画ずっと見てたりとか、漫画を読んでる人がいます。で、この作品が面白い面白くないとか、そういう話ができますよね。ゲームソフトの開発が終わったら休みをもらえるわけですが、そういうときも遊ぶなかで吸収していくものがたくさんありますね。あと、長く休みを取れるときは海外に行ってもいいと思いますね。

――海外に?

海外に行って、例えばヨーロッパでいろいろな建物を見たりとかね。ヨーロッパのいろいろな技法を直に見てきて、後で資料を見たときに「あ〜〜これがあーだったなぁ」とか思いながら、お城つくったりすればいいと思いますし。そういうのも作品作りになにかしらの影響が出るんじゃないかなと思います。

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