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■ 第6回「そうは言っても、人間だもの」
月に1回だけの更新でしたが半年もの間、お付き合い下さり誠に有難う御座います。
僕がゲーム業界に入って感じた事や自分自身が直面した問題、それに諸先輩方から教えて貰ったことを題材にツラツラとコラムにしてみました。
そんな『山あり谷口』は今回で最終回。
最後は総括という意味で実体験に基づく【忘れないで欲しいこと】を2つ書き出してみようかと思います。それでは最終回、はじまりはじまり〜♪
僕はこの業界に入ってから10年が立ちますが、入社当時に比べると随分物事を深く考える癖はついたと思っています。(当然かw)
様々な状況を経て多少は知識も増えたんじゃないかなぁ〜と思っています。(これも当然かw)
これらをベースにジャッジすれば多少は精度の高い答えを導き出すことができるはず。
そうは言っても僕らは人間です♪
その時の雰囲気や欲によって冷静な判断ができなくなることもあります。
争いに敗れたり揉め事に巻き込まれて心が疲れることもあります。
そんな時に相談できる人や叱ってくれる人、諭してくれる人や助けてくれる人が居るか居ないかで、見失った道を照らしてくれるかどうかが分岐点になるのではないでしょうか。
アナタにはそんな知人がいますか?
例えマイノリティーな意見であっても、そこにいるメンバー全員が納得できるのならソノ場では本当の正解だと思います。どうせなら自分の意見を押し通したいと思いますよね?
折角みんなで頭を痛めて捻り出したアイデアを形にしたいと思いますよね?
しかし、どんな意見にも必ず反対意見があるということを忘れてはいけないのです。
そこで導き出した答えよりも精度が高い答えがあるんだということを忘れてはいけないのです。
そんな思いを重ねてきた僕は
『自分の意見を通したいときこそ沢山の人に話しを聞く』
ということを極力行なうようになりました。
当然ですが、悔しいときやムッとすることばかりです(w
しかし、その反対意見を出した人でも『それならイイ』という対応策があるハズ。
賛成意見を出した人なら『それなら尚イイ』というアイデアを貰えることもあるハズ。
最終地点までの経緯が変わったとしても、そこに辿り付くまでの道のりに色が添えられるなら良いのではないでしょうか。
そうして形成された物と、全てを拒絶して固執した物、アナタならドッチを選びますか?
こんな物事の考え方はゲームプロデューサーを目指す人だけに関わらず、プランナーもグラフィッカーもプログラマーも、みんなみ〜んなに【忘れないで欲しいこと】の1つ。
そして、もう1つは、自分の思いを形にするときこそ人に感謝して欲しいということ。
何故なら今のゲームは『1人で作れる物ではない』からです。
数十年前はシナリオを書きプログラムを書きグラフィックを書きと、少数メンバーでゲームを作るのが一般的で、下手すると1人で全てを担当していたなんて話も耳にします。(所謂、マンションカンパニーというやつですね)
それが今はどうでしょう?
ハンドヘルド型のゲーム機であっても数十人のスタッフを編成したり、次世代機になると数百人規模のチームを構成して製作にあたります。
その上、各セクションに求めるスキルが高くなっており、物理的にも能力的にも1人で対応できる量ではありません。
そんな時は自分以外の誰かがサポートしてくれているワケで、目に見えない所で努力してくれている人がいるという事実を忘れてはいけないと思うのです。
直接言葉にしないと伝わらないという人もいますが、恥かしくてソウソウ言えることではありません。
でもそういった気持ちを持っているだけでも行動や対応が違うはず。
自分の目が届く範囲でも『ありがとう』、目が届かない範囲でも『ありがとう』
そんな気持ちが【忘れないで欲しいこと】の2つ目です。
まだまだ歴史は浅いとは言え、エンターティメントというカテゴリーの中では1ジャンルを確立したゲーム業界。その勢いは衰えを見せず、いまだに物凄いスピードでゲームを取り巻く環境全てが変化しています。
そんなに変化が激しいのに打ち勝つ為にも、イロイロな人と積極的にコミュニケーションをはかって欲しいです。
自分の意見に自信があるのなら、それこそ沢山の人に話しをしてみましょうよ。
貶されて嫌な思いをするかもしれません、でも納得して貰えないということは完全な答えに至っていない証拠であり、まだまだ精度を高められるチャンスでもあるのです。
意見の反芻に疲れた時も沢山の人に話しを聞いて貰いましょうよ。
自分では知らない対処方法のヒントを貰えるかもしれませんし、余計嫌な思いをしたとしても、そう思う人がいるという事実を受け止めた先に何かを見出せるかもしれません。
楽に飛び越えられる水溜りもあれば、迂回しないと進めない程の崖もあります。
それでも【作品の精度を少しでも上げること】をゴールとして見据えるなら、スタートからゴールまでをボードゲームのように上空から眺めることができるなら、それまでの道はドコを通っても同じなはずですからね。
さて冒頭でもお伝えした通り『山あり谷口』は今回で終わります。
今まで僕のコラムを読んでくれた人の中には「納得が行かない!!」と言う人もいるでしょう。そりゃーそーですよ、だってマダマダ僕も勉強中なんですからね(w
最後になりますが、こういった場を提供して下さった電撃オンラインの方々、ならびに、この企画を持ってきてくれたウチの広報に感謝しつつ『山あり谷口』は本日を持って閉じたいと思います。みんな元気でね!!
※谷口篤士氏プロフィール:
1974年、東京生まれ。3Dモデラーとしてフロム・ソフトウェアに入社し、2000年にPS2『くりクリミックス』で初プロデュースを担当。その後GC『RUNE』シリーズを手がけ、2004年春『九怨-kuon-』をリリース。2005年10月28日には最新作『義経英雄伝 修羅』が発売された。
◇ 過去のコラムはコチラ ◇
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■ 第8回「お外に出よう!」
小宮英武の中濃コラム PART2 第8回です。
今回のお題は「お外に出よう!」
先日、もう1人のコラムニスト、フロム・ソフトウェアの谷口さんに“たまには先にネタフリを”と言われましたので、今回は僕が先に書こうかなっと。でも、実は、今回のネタって谷口さんの“赤提灯”にリンクしてる気もしなくもないです。それくらい、物事を進める上で重要なことですな。
この冬はとっても寒いので、外に出るのがどうしても面倒くさくなります。僕だって学校に来る時の寒さはイヤで、一瞬でも長く布団の中にいたいと思います。でも、玄関から外に出て空を見上げる。すると青空が広がっている。“ああ、今日も空気が澄んでるんだな”と感じる。とっても単純な行為と、感想なんだけど実は重要な認識をしている瞬間です。
この前、僕の講義の中でXbox 360のあるソフトを20分見続けて“なんでリアルに見えるか? をあらいざらい書き出せ”と言うことをやってみました。最低、1人20個ってことだったんですが、出るわ出るわ……。で、面白いのが、クラス全員が同じ20個を書き出しているわけではない。注目したり着目したところが違うからです。
さて、“注目したり着目したり”、“なぜリアルなのか考える”ために必要なこと、ひいてはリアリティあるように創るために必要なこと。
これは、リアルワールド=現実世界をどこまできちんと見つめているかによって決まってきます。
最初に書いた、朝、外に出て外気に触れた瞬間の状態を分析してみましょう。
室内灯がついている玄関から外に出る。まず、太陽光と室内の照明の光の差が訪れます。冬の太陽は低い位置にあるので意外に照り返しがまぶしかったりします。次に室内の温度から10度近く下がる外の気温。コートなどを着ている部分は徐々に寒さが訪れますから、むき出しの手や顔に寒さがやってきて体温を奪われた個所は白く変化します。吐く息は、36度の体内から寒いところに吐き出されたため白く見え、吐き出した呼吸の勢いが大気中に表示されます。勢いがあれば真っ直ぐ。勢いがなければ大気に分散するために拡散する。そして朝の澄み切った空を目にする。なぜ澄み切っているかと言うと……ね、たった5秒の間に、これだけの変化があなたを取り巻きます。
正直、朝の忙しい5秒に僕が一々こんなことを考えているかといえば考えていません(笑)
でも“記憶”しているのですよ。その記憶を小学生の時の理科にあてはめて書いただけ。同じように、朝、寒い中、外に出たならば皆さんにもできるはず。さて、ここが重要です。
もし、朝、外に出なかったとしたら“記憶”そのものがないことになります。外に出れば入ってくる情報が入らなければ分析のしようがありません。仮にあなたがゲームの1シーンとして“寒い朝のひと時”を描かなければならないとして、その記憶がないと……そりゃもう大変ですよ!(笑) だから「お外に出よう!」です。
ファンタジーやSFの世界を描くから、どうでも良いと考えるのは間違いです。ファンタジーは歴史(人類の記憶)の上に創造を加えて構築されていますしSFは現実世界の体験の延長上に世界が構築されるからです。モニターから見える物だけを現実と認識するととんでもないことがおこります。なぜならモニターを通じて入ってくる情報は、なんらかの人の意識が入った情報なのですから。自分の感じた記憶。コレを大切にし、その記憶の物量を増やして欲しいと思います。
さて、あなたは、記憶の充実のために「お外に出よう!」を実行する人ですか?
※小宮英武氏プロフィール:
東京・恵比寿にあるゲームスクール「アミューズメントメディア総合学院」で教務・就職指導を担当。生徒からの信頼も厚い兄貴肌。
◇ 過去のコラムはコチラ ◇
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▲プログラマーとして名作タイトルを多数手がけるゲームクリエイター。電撃PlayStation誌でのレビュアーを経て、現在はコラムを連載中。
▲株式会社フロム・ソフトウェア コンセプトデザイン部 係長。ゲームの世界観構築からパッケージイラストまで、多くの分野でその才能を発揮する。
▲電撃オンラインで記事を執筆する編集者たち。ゲーム業界の最前線を独自の視点でレポートします。
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